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小さな気付き、転じる未来
1-13 転じる未来
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何度か、男が食事を持って来たがその都度来る男の顔ぶれが
変わっていた。人員を増やして、見張りをし何が何でも逃亡を
阻止したいらしい。
その内の一人に、リリシは頼み込んだ。
「私達は、姉妹なんです。だから、売る時は一緒に……
どうか、お願いっ!」
勿論、アミルアと姉妹と言うのは大嘘だったがこうでも言わないと
引き離されて別々の行動を取らされそうだった。
そして、二度と会えないかもしれない──リリシは、
それを考えると涙が出そうな程悲しくなるのだ。
「何でお前の頼みを聞かなきゃならないんだよ。
だが、姉妹セットで売り出しと言うのも悪く無いかもな。
よし、一応はリーダーに言っておいてやるぞ」
上手く行くかどうかは、分からないが一縷の望みはある。
そして、闇オークションの当日が来た。
この日まで、全く逃げる隙がなくて困っていたアミルアだが
もしかしたら奴隷として買われ移動する時に逃げられるのでは、
と微かに活路を見出していた。
だが、自分一人が逃げるのでは意味が無い。
リリシと一緒でないと。
その為にも、リリシがついた嘘の姉妹と言う肩書は、利用出来るのだ。
オークションの前に水浴びをして、奴隷用の白い上っ張りを着せられた
リリシとアミルアは、オークションのステージへと進んで行く。
そこで男が、声を張り上げてアピールを始めるのだ。
「お次は、青髪とピンク髪の姉妹のセット品~っ!
肌は、健康その物、髪はつやつやのお買い得品!家事に労働、その他
旦那様奥様のお望み通りに働きますよ。
さぁ、1万シルバからどうですか!」
リリシは、視界に映る人の群れを異様だと思った。
老人、中年、青年。皆、ギラギラした目で値踏みするかのように
こちらを見て居る。
オークション会場は、かなり広く劇場の中のような造りとなっている。
男の、張り上げる声がキンキンと壁に反響した。
「1万2千!」
「1万5千だ!」
入札され、徐々に値段が上がって行く。
「さあ、さあ。欲しい方は居ませんか?」
男が、ぐるりと会場の席を見回す。値段は3万シルバまで
上がっていた。
「……6万シルバ」
突如、低く唸るような男の声が会場に響き渡る。
ぎょっとしてリリシが、そちらを見ると席の後ろの方に
一人の大男が、腕を組んで座っていた。
身の丈およそ2メートル。顔には、フルフェイスの鉄仮面を
付けている。
いきなりの高額の提示に、会場がどっと沸く。
「6万シルバ以上は居ませんか?……そちらのお客様の
落札で御座います!それでは、お客様。ステージにお越しいただき
契約書にサインを」
のっそりと、ステージに上がる大男は酷く目立っていた。
赤と水色で構成された不思議な柄の服はこの辺りでは
あまり見かけない。
こうしてリリシとアミルアは、買われた。
この後、更に二人の運命が流転する事は、当人達には
分からない事だった。
<2章に続く>
変わっていた。人員を増やして、見張りをし何が何でも逃亡を
阻止したいらしい。
その内の一人に、リリシは頼み込んだ。
「私達は、姉妹なんです。だから、売る時は一緒に……
どうか、お願いっ!」
勿論、アミルアと姉妹と言うのは大嘘だったがこうでも言わないと
引き離されて別々の行動を取らされそうだった。
そして、二度と会えないかもしれない──リリシは、
それを考えると涙が出そうな程悲しくなるのだ。
「何でお前の頼みを聞かなきゃならないんだよ。
だが、姉妹セットで売り出しと言うのも悪く無いかもな。
よし、一応はリーダーに言っておいてやるぞ」
上手く行くかどうかは、分からないが一縷の望みはある。
そして、闇オークションの当日が来た。
この日まで、全く逃げる隙がなくて困っていたアミルアだが
もしかしたら奴隷として買われ移動する時に逃げられるのでは、
と微かに活路を見出していた。
だが、自分一人が逃げるのでは意味が無い。
リリシと一緒でないと。
その為にも、リリシがついた嘘の姉妹と言う肩書は、利用出来るのだ。
オークションの前に水浴びをして、奴隷用の白い上っ張りを着せられた
リリシとアミルアは、オークションのステージへと進んで行く。
そこで男が、声を張り上げてアピールを始めるのだ。
「お次は、青髪とピンク髪の姉妹のセット品~っ!
肌は、健康その物、髪はつやつやのお買い得品!家事に労働、その他
旦那様奥様のお望み通りに働きますよ。
さぁ、1万シルバからどうですか!」
リリシは、視界に映る人の群れを異様だと思った。
老人、中年、青年。皆、ギラギラした目で値踏みするかのように
こちらを見て居る。
オークション会場は、かなり広く劇場の中のような造りとなっている。
男の、張り上げる声がキンキンと壁に反響した。
「1万2千!」
「1万5千だ!」
入札され、徐々に値段が上がって行く。
「さあ、さあ。欲しい方は居ませんか?」
男が、ぐるりと会場の席を見回す。値段は3万シルバまで
上がっていた。
「……6万シルバ」
突如、低く唸るような男の声が会場に響き渡る。
ぎょっとしてリリシが、そちらを見ると席の後ろの方に
一人の大男が、腕を組んで座っていた。
身の丈およそ2メートル。顔には、フルフェイスの鉄仮面を
付けている。
いきなりの高額の提示に、会場がどっと沸く。
「6万シルバ以上は居ませんか?……そちらのお客様の
落札で御座います!それでは、お客様。ステージにお越しいただき
契約書にサインを」
のっそりと、ステージに上がる大男は酷く目立っていた。
赤と水色で構成された不思議な柄の服はこの辺りでは
あまり見かけない。
こうしてリリシとアミルアは、買われた。
この後、更に二人の運命が流転する事は、当人達には
分からない事だった。
<2章に続く>
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