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そこは、南国。獣人の里
2-5 死の蝶
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そんな複雑な心境のリリシを見るのが、少し申し訳なく思ったのか
ダクザは、俯いていた。そして船室のドアを開けると、
「ワシは、甲板でマグナ船長と話をして来ル。
ゆっくり二人で寛いでいてくレ」
残された二人は、部屋に備え付けられた椅子にそれぞれ座り
寛げる時間を堪能する。
「ねえ、アミルア。さっきアミルアは、戦えるって言ってたけど
訓練なんて何処で受けたの?普通のメイドかと思ってたけど……」
「ああ、その事ですか?もうお話しても良いかもしれませんわね。
リリシは、死の蝶の名前を聞いた事は?」
「えーと、まさか……教団の影の仕事を任されている集団?
詳細は、あんまり分からないけど」
「その通りですわ。死の蝶は、暗殺者集団。教団は、各地から孤児を集め
その孤児を一人前に育てる。そして身体能力に優れた者が選ばれ
戦闘のスキルを徹底的に叩き込まれ、試験に合格した者だけが死の蝶に所属
する事が許されるのです」
「何で私、少し知ってたんだろう。不思議」
「教団で生活して居れば自然と耳に入ろうと言う物ですわ。
そして私は、死の蝶の暗殺者ですの。メイドに扮したのは、リリシの
身辺に危険が迫ったら守れるように、との幹部の指示だったのです。
それが、こんな事になるとは思いませんでしたが……」
「ずっと、私の事を見張って守ってくれてたんだね」
ありがとう、とリリシは純真な目を向ける。
その真っすぐな目が、少々くすぐったくてアミルアは照れて頬を
染めた。
「教団に居た頃は、上からの指示がありましたけど今は自由の身。
私個人の判断に基づいて、リリシを護衛します。
いざと言う時には、創成魔法で援護してくださいな」
「勿論!」
既にダクザには、魔法が使える事を明かしてある。
この魔法の力を、身を守る為に使った事は無いけれど。
水を武器として操る事なんて考えた事は無い。
それでも、いざと言う時は大切な人を守る為に魔法を使えるように
と覚悟を決めなくてはならない。
「二人とも、歓迎パーティーとして焼肉を振る舞ってくれるそうだゾ」
部屋に入って来たタグザが、そう知らせると途端にリリシのお腹が
ぐうっと鳴った。
「うふふっ、しっかり食べて元気を保たないといけませんわね」
「焼肉、美味しそうっ」
その後、日が沈む前に海賊船の上では密かにパーティーが
開かれていた。鉄板の上に乗せられた、大小様々な肉に野菜。
良い香りが辺りに充満し、食べれば心が幸せだ。
「ダクザ、飲まねえのか」
マグナは、ワインの瓶を傾けて既に出来上がっている。
部下の海賊も数人居たが、こちらは酒を飲んでいる様子は無い。
「いや……ワシは、今日は酒は要らン。
とびきり美味い肉だけで十分ダ」
「なら、あっしが全部飲んじまうぜ。ういー」
グビグビと、豪快に瓶を飲み干すとマグナは上機嫌で
口元の髭を拭った。
そして、すん。と鼻を上に向けて空気の匂いを嗅ぐ。
「魔物の匂いがして来やがった」
長年船長をして来たマグナは、何度も嗅いだ事のある匂いに
眉間に皺を作った。
「マグナ、預けていたワシの戦斧を一旦返してくレ」
「あいよ、了解!」
ダクザは、俯いていた。そして船室のドアを開けると、
「ワシは、甲板でマグナ船長と話をして来ル。
ゆっくり二人で寛いでいてくレ」
残された二人は、部屋に備え付けられた椅子にそれぞれ座り
寛げる時間を堪能する。
「ねえ、アミルア。さっきアミルアは、戦えるって言ってたけど
訓練なんて何処で受けたの?普通のメイドかと思ってたけど……」
「ああ、その事ですか?もうお話しても良いかもしれませんわね。
リリシは、死の蝶の名前を聞いた事は?」
「えーと、まさか……教団の影の仕事を任されている集団?
詳細は、あんまり分からないけど」
「その通りですわ。死の蝶は、暗殺者集団。教団は、各地から孤児を集め
その孤児を一人前に育てる。そして身体能力に優れた者が選ばれ
戦闘のスキルを徹底的に叩き込まれ、試験に合格した者だけが死の蝶に所属
する事が許されるのです」
「何で私、少し知ってたんだろう。不思議」
「教団で生活して居れば自然と耳に入ろうと言う物ですわ。
そして私は、死の蝶の暗殺者ですの。メイドに扮したのは、リリシの
身辺に危険が迫ったら守れるように、との幹部の指示だったのです。
それが、こんな事になるとは思いませんでしたが……」
「ずっと、私の事を見張って守ってくれてたんだね」
ありがとう、とリリシは純真な目を向ける。
その真っすぐな目が、少々くすぐったくてアミルアは照れて頬を
染めた。
「教団に居た頃は、上からの指示がありましたけど今は自由の身。
私個人の判断に基づいて、リリシを護衛します。
いざと言う時には、創成魔法で援護してくださいな」
「勿論!」
既にダクザには、魔法が使える事を明かしてある。
この魔法の力を、身を守る為に使った事は無いけれど。
水を武器として操る事なんて考えた事は無い。
それでも、いざと言う時は大切な人を守る為に魔法を使えるように
と覚悟を決めなくてはならない。
「二人とも、歓迎パーティーとして焼肉を振る舞ってくれるそうだゾ」
部屋に入って来たタグザが、そう知らせると途端にリリシのお腹が
ぐうっと鳴った。
「うふふっ、しっかり食べて元気を保たないといけませんわね」
「焼肉、美味しそうっ」
その後、日が沈む前に海賊船の上では密かにパーティーが
開かれていた。鉄板の上に乗せられた、大小様々な肉に野菜。
良い香りが辺りに充満し、食べれば心が幸せだ。
「ダクザ、飲まねえのか」
マグナは、ワインの瓶を傾けて既に出来上がっている。
部下の海賊も数人居たが、こちらは酒を飲んでいる様子は無い。
「いや……ワシは、今日は酒は要らン。
とびきり美味い肉だけで十分ダ」
「なら、あっしが全部飲んじまうぜ。ういー」
グビグビと、豪快に瓶を飲み干すとマグナは上機嫌で
口元の髭を拭った。
そして、すん。と鼻を上に向けて空気の匂いを嗅ぐ。
「魔物の匂いがして来やがった」
長年船長をして来たマグナは、何度も嗅いだ事のある匂いに
眉間に皺を作った。
「マグナ、預けていたワシの戦斧を一旦返してくレ」
「あいよ、了解!」
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