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そこは、南国。獣人の里
2-4 海賊の船で
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カヌーから、海賊船に移った三人を船長が満面の笑顔で
出迎えた。
「よう、あっしの名前はマグナ。この船の船長だ。
困った事があれば何でも聞いてくれよ。お嬢ちゃん達」
想像と違って物凄く気さくなその調子にリリシとアミルアは、
最初ぽかんとしていたが、裏表の無い様子の陽気なマグナに対し
瞬く間に打ち解けるのであった。
その後、船室に案内された三人は、顔を突き合わせて話していた。
「海域には、魔物が出ル。しかシ、こちらには秘密兵器があるからナ」
「秘密の兵器?」
船室に入った、鉄仮面を外したダクザとリリシ達の会話だ。
ダクザは、リュックの中から骨で出て来た一本の大きな笛を取り出す。
「これが魔物除けの魔浄笛ダ。魔物が、嫌う音域の音を出ス」
「そんなのがあるんですのね。一応こちらも準備はありますが」
と、アミルアはダクザからあらかじめ受け取った銀装飾の短剣を
取り出しぎゅっと握り締めた。
「君は戦えるのカ?ふむ、あまり無理はしない事ダ」
「ダクザさん。質問なのですが創成魔法について知ってる?」
唐突な、リリシの言葉にダクザは大きく目を見開いた。
暫く考えていたが、軽く頭を横に振り。
「いや、魔法については全く分からなイ。そもそも獣人の里には
魔法を使える者が居ないのダ。それどころか、人間の住む大陸にも
魔法は一切存在しないと聞いて居るガ……」
「私、創成魔法の使い手なの。水を生み出す事が出来るのよ」
「それは本当カ?」
俄かには信じられぬと、ダクザが疑問を持つのも当然だ。
それじゃあ、とリリシはテーブルの上に置いてあったコップの上に
掌をかざし水を出現させて見せる。
たちまち清浄な真水が、コップの中を満たした。
ダクザは、それをじっと眺め黙り込んでいた。
「ね、これで信じてくれる?」
「無論、信じるガ……不思議だナ。君は、普通の少女に見えるのニ
世界の何処にも存在しないであろう魔法が使えるとハ」
「私だけが、使い手じゃないよ。もう一人、居る筈なの。
私達は、その人を助けたくて住んでいた所から逃げ出して来たの」
流石に教団についての話は、ぼかしてしまったが少年を助けに行く
話は本当だ。
「だから、最終的には獣人の里を出てツジヤ王国に向かう予定ですわ。
それを許してくださる?ダクザさん」
アミルアの問い掛けに、ダクザは渋面を作った。
「里を出る事は、難しいと思うガ──出来るだけ君達の意思を
尊重しよウ。今言える事は、それだけダ」
「難しいってどう言う事?」
「獣人の里に来て貰う理由に、関係がある事ダ」
それっきりダクザは、黙ってしまった。
リリシは、思った通りダクザが魔法を使える事に対して
こちらを利用しようとしたり特別扱いして来なかった事に対し
安堵していたが、それでも里を出る事が難しいと言った彼の言葉には
一抹の不安を覚えていた。
出迎えた。
「よう、あっしの名前はマグナ。この船の船長だ。
困った事があれば何でも聞いてくれよ。お嬢ちゃん達」
想像と違って物凄く気さくなその調子にリリシとアミルアは、
最初ぽかんとしていたが、裏表の無い様子の陽気なマグナに対し
瞬く間に打ち解けるのであった。
その後、船室に案内された三人は、顔を突き合わせて話していた。
「海域には、魔物が出ル。しかシ、こちらには秘密兵器があるからナ」
「秘密の兵器?」
船室に入った、鉄仮面を外したダクザとリリシ達の会話だ。
ダクザは、リュックの中から骨で出て来た一本の大きな笛を取り出す。
「これが魔物除けの魔浄笛ダ。魔物が、嫌う音域の音を出ス」
「そんなのがあるんですのね。一応こちらも準備はありますが」
と、アミルアはダクザからあらかじめ受け取った銀装飾の短剣を
取り出しぎゅっと握り締めた。
「君は戦えるのカ?ふむ、あまり無理はしない事ダ」
「ダクザさん。質問なのですが創成魔法について知ってる?」
唐突な、リリシの言葉にダクザは大きく目を見開いた。
暫く考えていたが、軽く頭を横に振り。
「いや、魔法については全く分からなイ。そもそも獣人の里には
魔法を使える者が居ないのダ。それどころか、人間の住む大陸にも
魔法は一切存在しないと聞いて居るガ……」
「私、創成魔法の使い手なの。水を生み出す事が出来るのよ」
「それは本当カ?」
俄かには信じられぬと、ダクザが疑問を持つのも当然だ。
それじゃあ、とリリシはテーブルの上に置いてあったコップの上に
掌をかざし水を出現させて見せる。
たちまち清浄な真水が、コップの中を満たした。
ダクザは、それをじっと眺め黙り込んでいた。
「ね、これで信じてくれる?」
「無論、信じるガ……不思議だナ。君は、普通の少女に見えるのニ
世界の何処にも存在しないであろう魔法が使えるとハ」
「私だけが、使い手じゃないよ。もう一人、居る筈なの。
私達は、その人を助けたくて住んでいた所から逃げ出して来たの」
流石に教団についての話は、ぼかしてしまったが少年を助けに行く
話は本当だ。
「だから、最終的には獣人の里を出てツジヤ王国に向かう予定ですわ。
それを許してくださる?ダクザさん」
アミルアの問い掛けに、ダクザは渋面を作った。
「里を出る事は、難しいと思うガ──出来るだけ君達の意思を
尊重しよウ。今言える事は、それだけダ」
「難しいってどう言う事?」
「獣人の里に来て貰う理由に、関係がある事ダ」
それっきりダクザは、黙ってしまった。
リリシは、思った通りダクザが魔法を使える事に対して
こちらを利用しようとしたり特別扱いして来なかった事に対し
安堵していたが、それでも里を出る事が難しいと言った彼の言葉には
一抹の不安を覚えていた。
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