【R18】若衆歌舞伎の花、檻に憧れる

ましゅまろ

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静かな狂気

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夜更け、正典の屋敷。
月も灯りも消えた座敷の中、ただひとつ、屏風の奥にわずかな灯火が揺れていた。

その灯りの下で、千弥は着物の紐を解かれ、膝の上に座らされていた。

「……他の男に、指一本でも触れられたと思うと、吐き気がする」

正典の声は静かだった。
怒気でも、嫉妬でもない。
それはただの、支配欲の告白だった。

「今夜の宴では、私が刻んだ痕を、誰にも見せるな。もし見せたなら――お前の美を、壊してしまうかもしれん」

「……御主様のためにある身です。それ以外に、晒すつもりはございません」

千弥の声は従順で、低く、艶があった。
まるで言葉さえ、快楽に仕込まれたように。

正典は、千弥の腰に手を回した。

「お前の口、指、首筋、後ろ――すべて、私だけのもの。今日、それを改めて教え込む」

「……はい」

千弥が返事を終えるより早く、正典の唇が喉元を這った。
甘くも優しくもない。
まるで刻印のような、支配の口づけ。

「なぜそんな目をする?」

「……怖くはないのに、震えます。御主様に壊されるのが……嬉しいのか、恐ろしいのか、自分でもわかりません」

「答えは要らぬ。お前は“従えばよい”」

正典の手が千弥の腰を押し倒した。
音もなく襦袢が滑り落ち、白い肌が灯火のもとに晒される。

「声を出すな。息だけで悦びを示せ」

千弥は頷き、唇を噛んだ。
正典の指が、太腿をなぞり、奥へ進む。
押し込むような動きの中に、寸分の容赦もない。
千弥はそのたびに、喉を震わせ、身体を反らせる。

(これは痛みではない。命令の悦びだ――)

そんな風に思ってしまう自分に、ひどく安心していた。

やがて正典が低く囁く。

「ほら、もうお前は、自分の意思など忘れている」

「……はい」

「私は、お前を“生かす”。誰にも渡さず、誰にも見せず。――お前の最期の声すら、私の中に閉じ込めてやる」

その言葉に、千弥の身体がびくりと震えた。

怖くはなかった。
だが、涙がこぼれた。
それは悲しみでも苦しみでもない、完全に“所有される”ことへの歓喜だった。

「御主様……私を、すべて、奪ってください」

その夜、ふたりは言葉より深いところで、契りを交わした。
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