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特別寮
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その日、学園全体がざわめいていた。
朝から廊下に緊張感が漂い、M候補生たちは一様に落ち着かない表情をしていた。
「調教師候補による“専属指名”が始まる」と噂が流れたからだ。
――調教師候補の中でも特に成績優秀な者には、ひとりだけ“完全専属の奴隷候補”を選ぶ権利が与えられる。
選ばれたM候補は、通常の授業を離れて特別寮へ移される。
そこは日常生活すべてが調教師候補に管理される環境で、より高度な調教と訓練が施される場所。
(僕が選ばれるなんて……ありえないよね)
正直、自信はなかった。
確かに最近、聖弥さんに褒められることが増えてきた。実技も失敗しなくなった。
でも、他にも綺麗で器用な子たちはたくさんいる。
――それでも、少しだけ期待してしまっている自分がいた。
◇ ◇ ◇
昼の講堂。全調教師候補生、全M候補生が集められた。
壇上には教官が立ち、淡々と告げた。
「今年度、最優秀成績の調教師見習いは――」
間を置いて、教官の口から名前が読み上げられる。
「――結城 聖弥。」
(……やっぱり……)
心の中で何度もそう思っていた。成績表を見なくても分かる。
彼は誰よりも冷静で、技術があり、圧倒的だった。
聖弥さん――結城 聖弥は、静かに前へ出て、壇上へと上がる。視線は誰とも交わさず、真っすぐだった。
「結城、お前には“専属指名”の権利が与えられる。候補を一名、ここで指名しろ。」
一瞬、講堂が静まり返った。
その中で、聖弥さんの視線がこちらを射抜いた。
「俺の専属奴隷候補は――」
(まさか……)
「玲だ。」
……その瞬間、頭の中が真っ白になった。
◇ ◇ ◇
「うそ……」
隣にいた子が呟いた。
ざわめきの中、僕は立ち上がることすらできなかった。
でも壇上の聖弥さんは、微動だにせず、はっきりと続けた。
「玲は愚かで、怯えやすく、どこにでもいそうな奴隷だと思われるかもしれない。
だが――あいつは、自分の価値を知ろうとする努力を、決してやめなかった。」
言葉が胸に突き刺さった。
「俺が求めたのは“完璧な奴隷”じゃない。俺の手で仕上げられる、“純粋な素質”だった。」
「玲は俺の手で育った。これからも俺の手で仕込む。それだけだ。」
その言葉に、教官たちも頷き、拍手が起こった。
一部のS候補たちは険しい表情をしていたけれど、それ以上に――何よりも――僕の心が震えていた。
(聖弥さんが……僕を、選んでくれたんだ……)
涙が勝手に溢れてきた。恥ずかしい。でも、隠そうとも思わなかった。
これまでの羞恥、痛み、努力、涙――すべてが報われた気がした。
◇ ◇ ◇
その日の夕方、僕は特別寮に移された。
個室ではなく、聖弥さん専用の広い部屋。その一角に小さなベッドと、飼い犬用のような低い寝台が並んでいた。
「これからはここが“お前の居場所”だ。」
「……はい……」
「全部俺の管理下に入る。生活、訓練、奉仕、感情。……一つ残らず、な。」
「……はい、聖弥さん……」
「安心しろ。もう誰にも触らせない。お前は、完全に俺だけの奴隷だ。」
その言葉に、僕は胸がいっぱいになって頷いた。
◇ ◇ ◇
夜――
聖弥さんが部屋の鍵を閉め、僕の髪を撫でた。
「今夜は“専属になった記念”だ。……可愛がってやるよ。」
ベッドに引き上げられ、何度も何度も名前を呼ばれた。
僕は泣きながら頷いた。嬉しくて、嬉しくて、身体が勝手に聖弥さんを求めた。
「……僕、頑張ります……」
「知ってる。だから選んだんだ。」
「……ずっと、そばにいさせてください……」
「もうお前に選択権はないよ。……俺が“そばにいさせる”だけだ。」
その支配の言葉が、何よりも優しく聞こえた。
朝から廊下に緊張感が漂い、M候補生たちは一様に落ち着かない表情をしていた。
「調教師候補による“専属指名”が始まる」と噂が流れたからだ。
――調教師候補の中でも特に成績優秀な者には、ひとりだけ“完全専属の奴隷候補”を選ぶ権利が与えられる。
選ばれたM候補は、通常の授業を離れて特別寮へ移される。
そこは日常生活すべてが調教師候補に管理される環境で、より高度な調教と訓練が施される場所。
(僕が選ばれるなんて……ありえないよね)
正直、自信はなかった。
確かに最近、聖弥さんに褒められることが増えてきた。実技も失敗しなくなった。
でも、他にも綺麗で器用な子たちはたくさんいる。
――それでも、少しだけ期待してしまっている自分がいた。
◇ ◇ ◇
昼の講堂。全調教師候補生、全M候補生が集められた。
壇上には教官が立ち、淡々と告げた。
「今年度、最優秀成績の調教師見習いは――」
間を置いて、教官の口から名前が読み上げられる。
「――結城 聖弥。」
(……やっぱり……)
心の中で何度もそう思っていた。成績表を見なくても分かる。
彼は誰よりも冷静で、技術があり、圧倒的だった。
聖弥さん――結城 聖弥は、静かに前へ出て、壇上へと上がる。視線は誰とも交わさず、真っすぐだった。
「結城、お前には“専属指名”の権利が与えられる。候補を一名、ここで指名しろ。」
一瞬、講堂が静まり返った。
その中で、聖弥さんの視線がこちらを射抜いた。
「俺の専属奴隷候補は――」
(まさか……)
「玲だ。」
……その瞬間、頭の中が真っ白になった。
◇ ◇ ◇
「うそ……」
隣にいた子が呟いた。
ざわめきの中、僕は立ち上がることすらできなかった。
でも壇上の聖弥さんは、微動だにせず、はっきりと続けた。
「玲は愚かで、怯えやすく、どこにでもいそうな奴隷だと思われるかもしれない。
だが――あいつは、自分の価値を知ろうとする努力を、決してやめなかった。」
言葉が胸に突き刺さった。
「俺が求めたのは“完璧な奴隷”じゃない。俺の手で仕上げられる、“純粋な素質”だった。」
「玲は俺の手で育った。これからも俺の手で仕込む。それだけだ。」
その言葉に、教官たちも頷き、拍手が起こった。
一部のS候補たちは険しい表情をしていたけれど、それ以上に――何よりも――僕の心が震えていた。
(聖弥さんが……僕を、選んでくれたんだ……)
涙が勝手に溢れてきた。恥ずかしい。でも、隠そうとも思わなかった。
これまでの羞恥、痛み、努力、涙――すべてが報われた気がした。
◇ ◇ ◇
その日の夕方、僕は特別寮に移された。
個室ではなく、聖弥さん専用の広い部屋。その一角に小さなベッドと、飼い犬用のような低い寝台が並んでいた。
「これからはここが“お前の居場所”だ。」
「……はい……」
「全部俺の管理下に入る。生活、訓練、奉仕、感情。……一つ残らず、な。」
「……はい、聖弥さん……」
「安心しろ。もう誰にも触らせない。お前は、完全に俺だけの奴隷だ。」
その言葉に、僕は胸がいっぱいになって頷いた。
◇ ◇ ◇
夜――
聖弥さんが部屋の鍵を閉め、僕の髪を撫でた。
「今夜は“専属になった記念”だ。……可愛がってやるよ。」
ベッドに引き上げられ、何度も何度も名前を呼ばれた。
僕は泣きながら頷いた。嬉しくて、嬉しくて、身体が勝手に聖弥さんを求めた。
「……僕、頑張ります……」
「知ってる。だから選んだんだ。」
「……ずっと、そばにいさせてください……」
「もうお前に選択権はないよ。……俺が“そばにいさせる”だけだ。」
その支配の言葉が、何よりも優しく聞こえた。
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