江戸城に咲いた天使達 〜ショタコン家光と可愛い小姓達の日常〜

ましゅまろ

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蒼馬のぬくもり

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夜の帳が落ち、江戸城中奥には静けさが満ちていた。

将軍家光の御寝所。
ふたつ敷かれた布団のうち、一方に――蒼馬が座していた。
着ていた紺の小袴はすでに脱ぎ、白湯帷子(しろゆかた)一枚。
まだ乾ききらぬ髪をそっと整えながら、身を縮めるようにして静かに待っていた。

その手はわずかに震え、顔には緊張の色が残る。

襖が開く気配。
家光が、湯上がりの寝衣姿のまま入ってくる。

「……もう脱いでおったか」

「は……はい。城のしきたり、と伺いましたので……」

「心得ておる。よい心がけだ」

家光は蒼馬の向かいに腰を下ろし、その肩越しに静かに視線を落とした。
薄布の下に浮かぶ細い鎖骨、まだ少年らしさの残る肩の線。
その身体には、戦の傷も苦労もなく、ただ“素直な美しさ”があった。

「緊張しておるな」

「……はい。あの、どうしても、身体が……思うように、動かず……」

蒼馬は恥じ入るように視線を伏せた。
だがその仕草さえも、家光にとっては魅力のひとつだった。

「よい。動かずとも。余が、お前を抱く」

そのまま家光は布団に入ると、蒼馬の手をとり、己の寝所へと引き寄せた。

「っ……!」

「嫌か?」

「……いえ。むしろ……こうしていただけることが、光栄で……」

家光は蒼馬を胸元に抱き寄せ、
布団の中で、そっと背に手を添えた。

その手は温かく、だが支配の気配を隠してはいなかった。
蒼馬は緊張したまま目を閉じ、ふと、声を絞り出す。

「……将軍様。もし……わたしが、わからぬまま動けずとも……嫌いにならないで、いただけますか?」

家光は笑うことも、怒ることもせず、ただ低く応じた。

「それは余が決めることだ。だが……“わからぬまま”というのは、可愛いものだ」

そのまま、蒼馬の額に口づけを落とした。

そして、言葉はないまま――
ただふたりの温もりだけが、布団の中に広がっていく。

家光の腕の中、蒼馬は、ぎこちなく身体を預け、
やがてその震えがゆっくりと静まり、
ふたりの呼吸がひとつに重なっていった。

(……これが、“将軍様と共に過ごす夜”)

蒼馬の頬には、うっすらと紅が差していた。

家光は、その横顔を眺めながら、目を細めた。

「今宵は――よく眠れそうだ」
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