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初めての約束
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その日は珍しく、朝から快晴だった。
「ねえ、おにいちゃん、今日どこか行かない?せっかくの土曜日だし!」
はるはテーブルの上にあったサンドイッチをもぐもぐと食べながら、楽しそうに言った。
蒼はコーヒーを飲みながら、少し考えてから答える。
「そうだなぁ。たまには少し遠出してみる?水族館とか、どう?」
「えっ、水族館!? 行きたい!イルカ見る!あとクラゲも!」
はるは目を輝かせて両手をあげた。その無邪気な反応に、蒼も自然と笑みがこぼれる。
「よし、じゃあ準備して出かけよう」
⸻
電車に揺られて約30分。はるは車窓の外を興味津々で見つめながら、何度も「もうすぐ?」と聞いてくる。
到着した水族館は、休日ということもあって家族連れで賑わっていた。
はるは中に入るなり、「わぁーっ!」と声をあげて、色とりどりの魚たちの前を走り回る。
「ねえ見て!この魚、しっぽがハートみたいだよ!」
「本当だ。よく見てるね」
「ねぇ、おにいちゃんって、さかなになったらなにがいい?」
「え?俺?うーん……地味だけど、クラゲとか」
「えーっ!なんでクラゲ?」
「ふわふわしてて、なんか癒されそうじゃん?」
「じゃあ、僕はイルカになる!いっぱい泳いで、疲れてるおにいちゃんを乗せてあげるんだ!」
「……はは、それは助かるな」
そう言って蒼が笑うと、はるはどこか誇らしげに胸を張った。
⸻
水族館の最後にあるイルカショーを見終え、出口に向かう途中、ふたりはベンチに腰かけて休憩を取っていた。
「今日は楽しかった?」
蒼がそう尋ねると、はるは力強く頷いた。
「うん!すっごく楽しかった!おにいちゃんと出かけるの、だいすき!」
「そっか、それならよかった」
しばらく沈黙が流れたあと、はるがふいに口を開いた。
「……おにいちゃん、約束してくれる?」
「ん?何を?」
「……僕がもっと大きくなっても、ずっといっしょにいてくれるって」
蒼は少しだけ目を見開いて、それから静かに微笑んだ。
「もちろん。はるがどれだけ大きくなっても、俺はずっとそばにいるよ」
「……ほんと?」
「ほんとだよ。これは、ふたりだけの“初めての約束”だな」
はるは照れたように笑ってから、小指を差し出した。
蒼も自分の小指を出し、優しく絡める。
「指切りげんまん、嘘ついたら……」
「針千本飲ます!」
ふたりの声が重なり、小さな約束がそっと結ばれた。
蒼の胸の奥が、不思議なほど温かくなる。
この関係に名前はいらない。ただ、そばにいること、それだけでいい。
「ねえ、おにいちゃん、今日どこか行かない?せっかくの土曜日だし!」
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蒼はコーヒーを飲みながら、少し考えてから答える。
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「えっ、水族館!? 行きたい!イルカ見る!あとクラゲも!」
はるは目を輝かせて両手をあげた。その無邪気な反応に、蒼も自然と笑みがこぼれる。
「よし、じゃあ準備して出かけよう」
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電車に揺られて約30分。はるは車窓の外を興味津々で見つめながら、何度も「もうすぐ?」と聞いてくる。
到着した水族館は、休日ということもあって家族連れで賑わっていた。
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「ねえ見て!この魚、しっぽがハートみたいだよ!」
「本当だ。よく見てるね」
「ねぇ、おにいちゃんって、さかなになったらなにがいい?」
「え?俺?うーん……地味だけど、クラゲとか」
「えーっ!なんでクラゲ?」
「ふわふわしてて、なんか癒されそうじゃん?」
「じゃあ、僕はイルカになる!いっぱい泳いで、疲れてるおにいちゃんを乗せてあげるんだ!」
「……はは、それは助かるな」
そう言って蒼が笑うと、はるはどこか誇らしげに胸を張った。
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水族館の最後にあるイルカショーを見終え、出口に向かう途中、ふたりはベンチに腰かけて休憩を取っていた。
「今日は楽しかった?」
蒼がそう尋ねると、はるは力強く頷いた。
「うん!すっごく楽しかった!おにいちゃんと出かけるの、だいすき!」
「そっか、それならよかった」
しばらく沈黙が流れたあと、はるがふいに口を開いた。
「……おにいちゃん、約束してくれる?」
「ん?何を?」
「……僕がもっと大きくなっても、ずっといっしょにいてくれるって」
蒼は少しだけ目を見開いて、それから静かに微笑んだ。
「もちろん。はるがどれだけ大きくなっても、俺はずっとそばにいるよ」
「……ほんと?」
「ほんとだよ。これは、ふたりだけの“初めての約束”だな」
はるは照れたように笑ってから、小指を差し出した。
蒼も自分の小指を出し、優しく絡める。
「指切りげんまん、嘘ついたら……」
「針千本飲ます!」
ふたりの声が重なり、小さな約束がそっと結ばれた。
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この関係に名前はいらない。ただ、そばにいること、それだけでいい。
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