ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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ひみつのプレゼント

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春の風がやわらかく吹き抜ける朝。
その日は蒼の誕生日だった。

「おにいちゃん、今日って……なんかあったっけ?」

はるは朝から何度も蒼の顔を覗き込んでくる。蒼はにやりと笑いながら、わざとらしく肩をすくめた。

「んー、特になにもない日かな」

「ふーん……そうなんだ」

そう言いながらも、はるはなぜかそわそわと落ち着かない様子だった。
何かを隠しているようで、何かを待っているような――そんな空気をまとっている。



昼過ぎ、蒼が洗濯物を干していると、隣の部屋からコソコソと音が聞こえてきた。

「……うわ、これ曲がってる……あっ、でもまあいいか……あ、リボン……」

不思議に思って覗こうとした瞬間、はるが慌ててドアを閉めた。

「だめ!いま見ちゃだめだから!」

「えっ、何かしてるの?」

「……ひみつ!」

はるは頬をふくらませながらも、どこか誇らしげだった。



そして夕方。
「おにいちゃん、ちょっとこっち来て!」と手を引かれ、蒼はリビングに連れて行かれた。

部屋の真ん中には、小さなプレゼントの箱。
黄色い折り紙で包まれ、赤いリボンがぎこちなく結ばれている。

「これ……ぼくが作った。おにいちゃん、たんじょうび、おめでとう!」

はるの声は少し照れていて、でも一生懸命だった。
蒼は目を見開き、そして、やさしく微笑んだ。

「……ありがとう。覚えててくれたんだ」

「もちろんだよ。ぼく、おにいちゃんがうまれてきてくれてよかったって、いっつも思ってるから!」

蒼の胸が、じんと熱くなった。
箱を開けると、中にははるの描いた絵が入っていた。

ふたりが並んでベンチに座っている絵。笑っているふたりの顔に、はるの気持ちが詰まっていた。

「……すごく、うれしいよ」

「ほんと?」

「うん。世界で一番うれしいプレゼントだ」

蒼はしゃがんで、はるの目線と同じ高さになった。

「ありがとう、はる。俺のことを、こんなに大切に思ってくれて」

「えへへ……これからも、ずっといっしょにいようね」

「もちろん。これはもう、約束済みだろ?」

はるはにっこり笑って、小指を差し出した。
ふたりの小指が再び重なる。

指切りげんまん――
言葉のいらない信頼と、やさしい気持ちがそこにはあった。
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