ショタに癒されたいんです。

ましゅまろ

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お兄ちゃんのお嫁さんになりたい

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「ねえ、おにいちゃん。将来の夢って、ある?」

それは、なんでもない日の午後。
ふたりで公園のベンチに座り、アイスを食べながら、はるがふと口にした言葉だった。

「夢……か。そうだなあ。仕事で出世するとか、どこかに家を建てるとか……でも、今は“はるのそばにいたい”ってことが、いちばん大事かも」

蒼が少し照れくさそうに笑って答えると、はるはにこにこと笑いながら言った。

「じゃあ、ぼくの夢も決まった」

「うん?」

「おにいちゃんのお嫁さんになること」

――その言葉に、蒼の心臓が、ドクンと音を立てた。

「……お、お嫁さん?」

「うん。だって、おにいちゃんのことがいちばん好きだもん。
一緒に暮らして、ごはん作って、ぎゅーして、キスして、毎日いっしょに寝て……それって、お嫁さんでしょ?」

はるは、まるで“正解”を言うように、満面の笑みを浮かべていた。
だけど――蒼はその笑顔を、まっすぐに見返すことができなかった。

「……はる、それは……」

「だめ?」

「……そうじゃない。だめじゃないんだけど……でも……」

心の中に、理性と感情がせめぎあう。
こんなにもまっすぐに“好き”をぶつけてくれるはるに、どう応えたらいいのか。

(俺が今、その言葉を受け止めてしまったら――)

(この子の未来を、俺が狭めてしまうんじゃないか)

「……はるは、きっともっといろんな人に出会うと思う。
俺なんかよりずっといい人も、もっと優しくて、もっとちゃんと愛してくれる人も」

「やだ!」

はるが叫ぶように言った。

「ぼくは、おにいちゃんがいいの! だれがなんて言っても、ぼくの一番はおにいちゃんなんだ!」

はるの瞳が、怒りと涙で濡れている。

「……ごめん。うれしかったよ。ほんとに。でも……今は、ちゃんと考えさせて」

蒼はそっと立ち上がり、はるの頭を撫でた。
その手のぬくもりが、どこか遠くに行ってしまいそうで、はるはぎゅっと蒼の手首を掴んだ。

「……ちゃんと、待ってるから。
ぼく、大きくなるから。そしたらもう一回言うから、そのときは――」

蒼は黙って、はるの手を握り返した。

未来の約束はできない。
けれど、はるの想いを軽く扱うことだけは、絶対にしないと心に誓った。
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