聖獣の絆

モカココ

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第0章『プロローグ』

翠狗と白姫

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「あーあぁ~だっるいなぁ~…。そんな長い時間も座ってられるかってんだ」

また部屋を抜け出して散歩中な白姫。“長い時間”と言うが、実際椅子に座ってた時間は僅か5分にもなっていない。

「面倒臭いんだよねー。好きなことしてる時だったら普通に座ってられるんだけどなぁー。…ん?あれ?」

少し出た東側の庭はとても自然が綺麗な所で、東方の様子も天気と目がよければ見える場所である。もっとも、その場所から東方の人々の様子までもが分かるのは白姫と黒輝だけなのだが…

「………」
「何描いてるの?」
「わっ!?…白姫様…、気配を消して後ろに立たないでよ…」
「ごめん、ごめん。で?何描いてるの?」
「…特にテーマは考えてなかったんだけど…」
「…随分悩んでる感じだね」
「え?」
「そういう絵でしょ?お前の絵はお前の心境を顕著にあらわしている。この絵…どう見たって混沌としてるようにしか見えないんだけど」
「…」

「…戦うのは嫌か?」
「じゃあ白姫様は好きなの?」
「いや?」
「そういうもんでしょ?戦いを好む人なんてそういないでしょ。…けど…、…ウチには信じられないぐらいに争いを好む奴が沢山いる。人間と共存なんて…反対の奴の方が多い」
「…お前自身はどうなの?」
「…俺は…、………正直どっちでもいい。でも、皆がそれを望むなら、俺だってそうしたい。…東方の人達は皆、俺に滅殺をさせてくれないけど、…俺は、あの人達を守るためなら、誰を殺してもいい。俺はもう、子供じゃない」
「なら、それでいいじゃん」
「え?」
「子供じゃないんでしょ?だったら自分で判断が出来るはず。それで滅殺が必要ならすればいいし、嫌ならしなきゃいい。…そう割りきっとけばいいよ。お前が悩めばその分アイツらも悩む。自分ももう、守られるだけの立場が嫌なら、お前は、…お前も自分の思った通り、したい通りにすればいい。それで出た結果を後悔する必要はない」
「………なんでだろうね…白姫様って本当、…普段は何の役にも立たないのに、」
「おいヽ(`Д´)ノ」
「でも…、誰よりも力強い言葉で背中押してくれるんだよね」
「ま、伊達にここでお前らのこと見守ってるわけじゃないからね」
「…そういうことにしとくよ」

「見つけたぞハク、ココヤロー」
「ゲッ…見つけんの早いよ~」

「また抜け出してきたの?」
「だってつまんないんだもん」
「…そういうとこ子供っぽいよね」

「さっさと戻るぞ」
「えぇ~」
「テメェな…、」
「ま、もういいや、そろそろ戻ろ。お前達は好きなだけいていいからね。じゃあ」

白姫は黒輝に促されるまま動き出し、少し風が吹いたと同時に2人の姿はそこから消えていた。

「…。…ん?お前、達?……まぁ、いっか…」

白姫が残した最後の言葉に少し引っ掛かりを感じたが、気にせずに絵の続きを描き始めた。

「………やっぱ分かんねぇな…」
「わっ!あ、」

突然かけられた声にビックリして、描いてた筆を思わぬ所に滑らせてしまった。

「あ…悪い…」
「んーん、大丈夫。ズレたことは全然いいんだけど、いきなり話しかけないでよ。ビックリするじゃん。…この短時間で2回も…」
「話しかけるつもりはなかったんだけど…悪かった」
「いいってば。何か定めて描いてたわけじゃないし。…あ、“達”ってそういうことことか…」
「あ?」
「んーん、なんでもない」

「…白姫様と何話してたんだ?」
「…見てたの?」
「見てたっつーか、お前探してたら居たっつーか…」
「俺のこと探してくれてたの?」
「…」
「なんで?」
「…別に。…理由なんているのかよ?」
「んーん。ふふっ…ありがと。…あ、もう帰る?ちょっと待ってね、片付けるから」
「その前に、」
「ん?…んっ………」

怪訝そうな翠狗の腕を蒼猫は引っ張り、唇を合わせた。腕にあった手は翠狗の首の後ろに回り、引き寄せ更に口付けを深くする。

「ん…、…ソウミョウ…?」
「ん…?」
「…どうしたの?…こんな所で…、…ん」
「シたくなったからシた」
「っは…」
「いいだろ別に。もう黙ってろ」
「何そ、…んんっ……ん、…んぅ…は、ん…」
「…ん…」
「んは…、ゥんむ……んぅ…、…ん……もっ……」
「ん………、…帰るぞ」
「は…。…自分勝手…」
「うるせぇ」
「んも…最悪…。…片付け、手伝ってよ…」
「しょうがねぇな」
「…ムカつく…」

「あ、今日お前んとこ泊まるから」
「は?」
「それとも俺んとこ来るか?」
「………俺んとこがいい…」
「そうだろうな」
「…ホント、ムカつく……」

……

「…って俺達はなんでさっきからこんな覗きみてぇなことしてんだ…」
「いいじゃない。減るもんじゃないんだし」
「そういう問題じゃないだろ…」
「…ありゃ妬いてんなぁー」
「誰が?」
「分かんないの?アンタもまだまだだね」
「お前もムカつくな」
「…蒼猫に決まってんじゃない。じゃないとあんなことしないよ」
「…お前に妬いてんのか?」
「モテるって辛いねー」
「何言ってんだ(呆」
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