10 / 24
第一章 腐蝕の魔女イデア
9話 真夜中の旅立ち
食事を済ませ、言われた通り店の前で待っていると、遠くからやってくるルークを捉える。
ルークと合流した後、翔は開口一番文句を垂れた。
「遅い!いつまで待たせんだよ!」
「ごめんね。話が長引いてしまった」
ルークは簡潔に謝罪の言葉を述べたあと、はい。と、手にしていた黒い布のようなものを翔に手渡す。
「?……なんだよこれ」
「ローブだよ。キミの見た目はこの世界では目立つからね。気休めにしかならないけど、これで少しでも身を隠して」
その言葉に、翔はハッと思い出したかのようにルークを睨みつけ、酒場で感じていた疑問を次々に投げかけた。
「なあ!そういえばずっと気になってたんだけど、なんでさっきのオカマ野郎は平然とあんなところで店やってんだよ?器候補だがなんだか知らねえけど、魔物を引き寄せる~とか、魔女の供物~とか、村人だって恐れているんだろ?だったら……」
「翔、その話はここを出てから話そう」
またもルークは翔の言葉を遮りはぐらかす。
変化球を喰らい翔はムッとなりつつも、ルークの言葉に驚愕する。
「テメ、質問に……てか、は?今から?もうこんな時間なのに?明日の朝でもいいだろ。夜なんてモンスターがうじゃうじゃいそうじゃねーか」
「うん。その通りだよ。だから、早くここを発つんだ」
「え?」
「ここはレティ様の加護と、僕の防御魔法によって、村全体に結界が張られている。村の中は確かに安全だけど、もうすぐ、キミの濃い器の匂いにつられて、村の外は無数の魔物たちで覆い尽くされる」
「っ!?」
翔は言葉に詰まる。
ルークは固まって動けない翔の手を取り、逃げるように村を後にした。
去り際に、立ち並ぶ家屋から漏れる鋭い視線、安堵の溜息が翔の鼓膜を掠め、自身が如何に招かれざる客でいるのか、前を急ぐこの男に守られているのかが、その身をもって実感した。
⚪︎ ×
村から出てすぐに、錆ついた血の匂いが鼻を支配する。
目線を送ると、野生の動物とは明らかに違う死骸が、そこかしこに転がっていた。
「ヒッ!」
地に伏せていても、初めて目にする『魔物』の存在に、翔は足を竦める。
ルークはすぐに怯えて動けずにいる翔に気付き、宥めるように優しい口調で呼びかけた。
「大丈夫だよ。みんなもう死んでる。コレは仲間を呼ぶ習性があるから危険だったんだ。動ける?」
「へ……それって、」
(コイツが戻るのが遅かったのって、ここのモンスターを倒してたからなのか!?)
「村長と話してたんじゃ……」
「……うん。話もしたよ、少しね。でも翔にママのご馳走を食べて貰いたかったから……少し時間稼ぎをしていたんだ」
数が多くて思ったより長引いてしまったけど、とルークはバツが悪そうに言う。
口籠る翔に、ルークは手を差し伸べた。
「翔?悪いけど、急いでここを離れなきゃ。遠くで魔物の蹄の地鳴りがする。動けそうもないなら、背中におぶるけど……」
「そ、それはいい!!行けばいいんだろ!?さっさと行くぞ!早く案内しろよ!」
「うん。ありがとう」
「……っ」
翔の口から出るはずだったその言葉を、ルークに先を越される。
己の天邪鬼さに心底呆れつつも、これはどうすることもできない性質なんだと、翔は心の中で自分に言い訳をした。
ルークと合流した後、翔は開口一番文句を垂れた。
「遅い!いつまで待たせんだよ!」
「ごめんね。話が長引いてしまった」
ルークは簡潔に謝罪の言葉を述べたあと、はい。と、手にしていた黒い布のようなものを翔に手渡す。
「?……なんだよこれ」
「ローブだよ。キミの見た目はこの世界では目立つからね。気休めにしかならないけど、これで少しでも身を隠して」
その言葉に、翔はハッと思い出したかのようにルークを睨みつけ、酒場で感じていた疑問を次々に投げかけた。
「なあ!そういえばずっと気になってたんだけど、なんでさっきのオカマ野郎は平然とあんなところで店やってんだよ?器候補だがなんだか知らねえけど、魔物を引き寄せる~とか、魔女の供物~とか、村人だって恐れているんだろ?だったら……」
「翔、その話はここを出てから話そう」
またもルークは翔の言葉を遮りはぐらかす。
変化球を喰らい翔はムッとなりつつも、ルークの言葉に驚愕する。
「テメ、質問に……てか、は?今から?もうこんな時間なのに?明日の朝でもいいだろ。夜なんてモンスターがうじゃうじゃいそうじゃねーか」
「うん。その通りだよ。だから、早くここを発つんだ」
「え?」
「ここはレティ様の加護と、僕の防御魔法によって、村全体に結界が張られている。村の中は確かに安全だけど、もうすぐ、キミの濃い器の匂いにつられて、村の外は無数の魔物たちで覆い尽くされる」
「っ!?」
翔は言葉に詰まる。
ルークは固まって動けない翔の手を取り、逃げるように村を後にした。
去り際に、立ち並ぶ家屋から漏れる鋭い視線、安堵の溜息が翔の鼓膜を掠め、自身が如何に招かれざる客でいるのか、前を急ぐこの男に守られているのかが、その身をもって実感した。
⚪︎ ×
村から出てすぐに、錆ついた血の匂いが鼻を支配する。
目線を送ると、野生の動物とは明らかに違う死骸が、そこかしこに転がっていた。
「ヒッ!」
地に伏せていても、初めて目にする『魔物』の存在に、翔は足を竦める。
ルークはすぐに怯えて動けずにいる翔に気付き、宥めるように優しい口調で呼びかけた。
「大丈夫だよ。みんなもう死んでる。コレは仲間を呼ぶ習性があるから危険だったんだ。動ける?」
「へ……それって、」
(コイツが戻るのが遅かったのって、ここのモンスターを倒してたからなのか!?)
「村長と話してたんじゃ……」
「……うん。話もしたよ、少しね。でも翔にママのご馳走を食べて貰いたかったから……少し時間稼ぎをしていたんだ」
数が多くて思ったより長引いてしまったけど、とルークはバツが悪そうに言う。
口籠る翔に、ルークは手を差し伸べた。
「翔?悪いけど、急いでここを離れなきゃ。遠くで魔物の蹄の地鳴りがする。動けそうもないなら、背中におぶるけど……」
「そ、それはいい!!行けばいいんだろ!?さっさと行くぞ!早く案内しろよ!」
「うん。ありがとう」
「……っ」
翔の口から出るはずだったその言葉を、ルークに先を越される。
己の天邪鬼さに心底呆れつつも、これはどうすることもできない性質なんだと、翔は心の中で自分に言い訳をした。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
追放された没落貴族、拾った通信水晶で神々の配信者になる〜規格外チートと温かいご飯で古代竜もテイムして無双〜
黒崎隼人
ファンタジー
名門アークライト家の三男リオンは、魔力がないという理由で二十歳の誕生日に理不尽に家を追放されてしまう。
行くあてもなく彷徨い込んだ辺境の森で、彼は落ち葉に埋もれていた古びた通信水晶を見つける。
なんとその水晶は、天上界で退屈していた神々の暇つぶし用ネットワークに繋がっていたのだ!
「あなたの姿、神様たちがみんな見てるわよ!」
少し抜けた女神アリアのうっかりミスにより、リオンの生き抜くための姿は神々に生配信されることに。
生きるために危険な迷宮へと足を踏み入れたリオンだったが、神々からのお詫びの「祝福」により、彼自身も驚くほどの規格外の身体能力を手に入れる。
魔物を圧倒的な力で討伐する華麗な身のこなし。
迷宮の片隅で火を熾し、温かく美味しそうな食事を作る素朴な風景。
天上界には存在しないその新鮮な光景に、神々はたちまち大熱狂!
「これ、神様たちからの贈り物よ!」
配信のコメント欄が盛り上がるたび、強力な武器や未知の魔法、そして温かいパンや新鮮な食材といった「投げ銭」が天上界から次々と降り注ぐ。
迷宮で危機に陥っていた誇り高きエルフの弓使いルミナを温かいスープで救い、
配信から漏れ出る神々しい光を感じ取った純白の聖女クレアからは「神の御使い様」と崇められ、
ついには迷宮最深部で数千年の眠りについていた伝説の古代竜の孤独な心をも、その優しさで溶かしていく。
これは、すべてを失った青年が、神々と仲間たちの温かい光に導かれ、新しい領地で笑顔あふれる日々を切り拓いていく――世界で一番温かい神話の始まりの物語。
「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。