BAD ENDしかないゲームの世界で、俺は幸せを掴んでみせる 〜導きのカケラと呪われた転生者〜

🍚🐴

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第一章 腐蝕の魔女イデア

9話 真夜中の旅立ち

食事を済ませ、言われた通り店の前で待っていると、遠くからやってくるルークを捉える。
ルークと合流した後、翔は開口一番文句を垂れた。
「遅い!いつまで待たせんだよ!」

「ごめんね。話が長引いてしまった」
ルークは簡潔に謝罪の言葉を述べたあと、はい。と、手にしていた黒い布のようなものを翔に手渡す。

「?……なんだよこれ」

「ローブだよ。キミの見た目はこの世界では目立つからね。気休めにしかならないけど、これで少しでも身を隠して」

その言葉に、翔はハッと思い出したかのようにルークを睨みつけ、酒場で感じていた疑問を次々に投げかけた。

「なあ!そういえばずっと気になってたんだけど、なんでさっきのオカマ野郎は平然とあんなところで店やってんだよ?器候補だがなんだか知らねえけど、魔物を引き寄せる~とか、魔女の供物~とか、村人だって恐れているんだろ?だったら……」

「翔、その話はここを出てから話そう」

またもルークは翔の言葉を遮りはぐらかす。
変化球を喰らい翔はムッとなりつつも、ルークの言葉に驚愕する。

「テメ、質問に……てか、は?今から?もうこんな時間なのに?明日の朝でもいいだろ。夜なんてモンスターがうじゃうじゃいそうじゃねーか」

「うん。その通りだよ。だから、早くここを発つんだ」

「え?」

「ここはレティ様の加護と、僕の防御魔法によって、村全体に結界が張られている。村の中は確かに安全だけど、もうすぐ、キミの濃い器の匂いにつられて、村の外は無数の魔物たちで覆い尽くされる」

「っ!?」

翔は言葉に詰まる。
ルークは固まって動けない翔の手を取り、逃げるように村を後にした。
去り際に、立ち並ぶ家屋から漏れる鋭い視線、安堵の溜息が翔の鼓膜を掠め、自身が如何に招かれざる客でいるのか、前を急ぐこの男に守られているのかが、その身をもって実感した。



⚪︎ ×



村から出てすぐに、錆ついた血の匂いが鼻を支配する。
目線を送ると、野生の動物とは明らかに違う死骸が、そこかしこに転がっていた。

「ヒッ!」
地に伏せていても、初めて目にする『魔物』の存在に、翔は足を竦める。

ルークはすぐに怯えて動けずにいる翔に気付き、宥めるように優しい口調で呼びかけた。
「大丈夫だよ。みんなもう死んでる。コレは仲間を呼ぶ習性があるから危険だったんだ。動ける?」

「へ……それって、」
(コイツが戻るのが遅かったのって、ここのモンスターを倒してたからなのか!?)

「村長と話してたんじゃ……」

「……うん。話もしたよ、少しね。でも翔にママのご馳走を食べて貰いたかったから……少し時間稼ぎをしていたんだ」
数が多くて思ったより長引いてしまったけど、とルークはバツが悪そうに言う。
口籠る翔に、ルークは手を差し伸べた。

「翔?悪いけど、急いでここを離れなきゃ。遠くで魔物の蹄の地鳴りがする。動けそうもないなら、背中におぶるけど……」

「そ、それはいい!!行けばいいんだろ!?さっさと行くぞ!早く案内しろよ!」

「うん。ありがとう」

「……っ」

翔の口から出るはずだったその言葉を、ルークに先を越される。
己の天邪鬼さに心底呆れつつも、これはどうすることもできない性質なんだと、翔は心の中で自分に言い訳をした。

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