つよくてもろい君たちへ

そうな

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第一部

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side:アキ

 目が覚めて、見知らぬベッドに寝ていたことに体が固まる。

「あ…れ」

 たしか、ソファで寝落ちしたんだ。自分が寝てるということは、先生がソファで寝たということだと気がついて一気に顔が青ざめる。昨日から迷惑しかかけてない!

 慌てて飛び起きてリビングに行くと、そこには味噌汁のいい匂いが漂っていた。

「あの……」
「ん?ああ、おはよう」

 そっと様子を窺えば、既にワイシャツ姿に着替えている先生がキッチンから声をかけてくる。

「あ…おはようございます」

 とりあえず挨拶を返せば、先生はフッと笑った。

「何その頭。もはや芸術か?」

 その言葉に一瞬考えて、それから慌てて頭に手をやると髪があちこちに飛び跳ねているのが見なくてもわかる。
 多分、昨日乾かしきれなかったせいだ。急に恥ずかしくなって頭を手で押さえつけると先生はさらに笑った。

「あ、あの僕昨日先生のベッド……」
「んー?ああ寝落ちしたからベッドに連れてった」
「すみません、先生ソファで寝たんですよね」
 先生は気にしてない、と優しく答える。
「元々ベッドまで行くのが面倒な時はそのままソファで寝るからなー」
 几帳面そうだし、それは嘘じゃないかなと思ったけど朝から食い下がる気にもなれなくてもう一度お礼を言う。

 そのまま洗面所を借りて数分格闘するとなんとか見るに耐える程度に髪型もなおった。急いで支度の手伝いをしようとリビングに戻れば先生がちょうど朝食を並べ終えたところだった。
「すみません、僕お邪魔しておいて手伝いも…」
「いいよ、どうせ普段は1人でも食事は作ってるし」
「…ありがとうございます。……うわ、おいしそう……」
 その言葉通り、白米とネギと豆腐の味噌汁、卵焼きに鮭の切り身。まさに日本人!という感じの食事が並んでいてなんだか旅館にでもきている気分でドキドキした。
「それは良かった。飯食ったら学校行くし早く食べちゃいな」
 言われて時計を見れば普段よりも遅い時間でびっくりする。思ってたより寝てしまっていたんだ。
 慌てて箸を取りご飯を食べ始める。想像通りの優しい味に心がぽかぽかしてきた。
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