31 / 31
第一部
きらいな、 ②
しおりを挟む
体の違和感に気がついたのは、授業も中盤の頃だった。最初は周りを見たくなくて意図的に下げていた頭が異様に重く感じる。
ぐわんぐわんと頭に響く感じがして、まるで熱でも出ているみたい。少し不調を自覚すればその違和感は強くなってくる。
もう、このまま寝てしまったらどんなに楽だろう。
「そこ!何ぼうっとしてる!」
でもそんなのただでさえ目の敵にされてる僕が許されるわけないし。
「すみません…」
「先生、篠原くん体調悪そうですよ。保健室行かせていいですか?」
スッと間に入ってくれたのはクラスの委員長…と呼ばれてる三葉智紀だった。「なんか見た目が委員長タイプだから!」という理由で、中学に委員長に三選されてからついたあだ名らしい。
中身もまさに委員長タイプで、生真面目で、あまり噂に左右されたくないんだと僕にはっきり告げた人でもある。あまり近しいわけではないけど、中立を貫く姿勢は尊敬も覚えている。
「何言ってる。お友達のところ泊まり歩く元気があるやつが体調崩すか?」
ビニール袋をボンボンと叩かれる。
「でも……」
「三葉くん、大丈夫だから……」
あまり注目されるのも嫌で大丈夫、と答えると三葉は不満そうにこちらを見た。
でも、俯いてやり過ごしていれば授業も終わるし、そしたら休み時間に寝ればいい。休み時間なら夢を見るほどの長い時間もないだろうし。
ふっと養護教諭の……早川先生に朝言われたことを思い出した。無理せずに保健室に来るようにと言った目は真剣なものだった。
でも、わざわざ行くほどじゃないし。
行ってたらもしかしたら今夜他の場所に移れないかもしれないし。
そっと先生の言葉を頭から追い出して、また始まった嫌味のパレードを黙って受け止めた。
ぐわんぐわんと頭に響く感じがして、まるで熱でも出ているみたい。少し不調を自覚すればその違和感は強くなってくる。
もう、このまま寝てしまったらどんなに楽だろう。
「そこ!何ぼうっとしてる!」
でもそんなのただでさえ目の敵にされてる僕が許されるわけないし。
「すみません…」
「先生、篠原くん体調悪そうですよ。保健室行かせていいですか?」
スッと間に入ってくれたのはクラスの委員長…と呼ばれてる三葉智紀だった。「なんか見た目が委員長タイプだから!」という理由で、中学に委員長に三選されてからついたあだ名らしい。
中身もまさに委員長タイプで、生真面目で、あまり噂に左右されたくないんだと僕にはっきり告げた人でもある。あまり近しいわけではないけど、中立を貫く姿勢は尊敬も覚えている。
「何言ってる。お友達のところ泊まり歩く元気があるやつが体調崩すか?」
ビニール袋をボンボンと叩かれる。
「でも……」
「三葉くん、大丈夫だから……」
あまり注目されるのも嫌で大丈夫、と答えると三葉は不満そうにこちらを見た。
でも、俯いてやり過ごしていれば授業も終わるし、そしたら休み時間に寝ればいい。休み時間なら夢を見るほどの長い時間もないだろうし。
ふっと養護教諭の……早川先生に朝言われたことを思い出した。無理せずに保健室に来るようにと言った目は真剣なものだった。
でも、わざわざ行くほどじゃないし。
行ってたらもしかしたら今夜他の場所に移れないかもしれないし。
そっと先生の言葉を頭から追い出して、また始まった嫌味のパレードを黙って受け止めた。
20
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
秋くんの健気さに涙が止まらない。早く秋くんの報われるところが見たいです。
初めまして、読んでいてずっとアキくん頑張っててすごいなって思います(இдஇ; )
素敵な作品をありがとうございます!
コメントありがとうございます!