維新竹取物語〜土方歳三とかぐや姫の物語〜

柳井梁

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第2章 再会と始まり

京の都は西のハズレにある壬生村で、
ある男の人生の幕が下ろされようとしている。



その男の名を芹沢鴨と言う。



今宵島原でしこたま飲んだ芹沢は仲間の男たちに両脇を抱えられて寝室へと運ばれていく。

その様子を茂みの陰から眺める4人の男たちがいた。

4人の男たちにとって幸いであったのは雨が強く地面を叩いていたことであろう。

草履が地面を擦る音も刀を鞘から抜く音も全て雨の音で中にいる芹沢の耳に届くことはなかった。

男たちは茂みを抜け出し、芹沢の眠る寝室前に息を殺して近づく。

空が光り、雷が鳴った。

決死の男たちの表情が闇夜に浮かび上がる。

4人の頭である1人が深く頷くと、障子がスパァンという乾いた音を立てて開いた。

布団に刀が突き刺さったかと思うと掛け布団が宙を舞った。



芹沢鴨と言う男もただでは死なない男である。

泥酔したと言っても、修羅場を掻い潜った野性的な勘が鈍ることはなかった。

再び雷が轟き、ぎょろりとした芹沢の顔を照らした。


さも、生死のやり取りを楽しんでいるかのような顔を、である。


隣に寝ていた芹沢の妾である、

お梅は黄色い悲鳴を上げて先ほど芹沢を連れ帰ってきた仲間を呼び戻そうと部屋を出て行った。

その間も芹沢と4人の男は白刃を交え戦い続けた。


そして、とうとう芹沢の腹部に刀が突き立てられ、果てた。

お梅も仲間の男たちも気づけば屍となっていた。


男たちは芹沢の果てたのを確かめると、彼の寝室を飛び出した。

否、飛び出そうとした。

そのときである。



地響きのような音を立てて雷が落ちた。

男たちはその眩しさに思わず手で顔を覆う。

一瞬の稲光が消えた時、眼前の光景に揃って目を疑った。



つい先程まで誰もいなかった場所にいるはずのない女が倒れ伏していたのである。


「おい、誰かいるぞ。」


男たちにはそれが女であるか男であるか暗闇の中では判断できなかった。

1人が先程鞘に納めたばかりの刀を抜き身にして恐る恐る女に近づいていく。


「運の悪い野郎もいたもんだ。」


空が明るくなり、地面に伏したままの女の顔が男たちにもよく見えた。


「待て!」


その顔を見るや否や、1人の男が刀を制し女の近くにしゃがみ込んだ。

「どうした。知り合いか。」

「連れていく。」

その男の判断に何か言いたげな表情であったが、
それよりもこの場に留まることの方を良しとせず、
4人は意識のない女を抱えたまま屋敷を静かに去った。

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