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第3章 宴と留守番
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そして、翌日。
宴を抜ける妙案は浮かばぬまま、宴の日がやってきた。
夕食の用意は要らないから昼餉の片付けが終われば今日の仕事は終わり。
いつもなら午後の休みを何して過ごすかワクワクしながら過ごすこの時間も今日だけは憂鬱だ。
「薫さん、今日は宴だというのに浮かない顔してますね。」
柱の影から沖田と藤堂そして原田の3人で薫の姿を見守っていた。
「今日は近藤さんの無礼講なのになー。女買ってどんちゃんどんちゃんだぜ。」
「原田さん、薫は一応女の人ですから女は買わないし騒ぐこともないんじゃないですか?」
「言われてみりゃ確かにそうだな。」
「わかった!だからですよ!」
「どういうことだ?平助。」
「女を買う場所に連れていかれるのが嫌なんですよ、
きっと。だって、ほら、土方さんが島原に行ったらいろんな女性に引く手あまたでしょ?」
「「なるほどー!」」
「俺がどうした?」
3人は首をすくめ後ろを振り返った。
正しく鬼の形相をした土方が仁王立ちで3人を見下ろしている。
「「「鬼だ、逃げろー!」」」
3人は散り散りに逃げて行く。
それを見た土方はおいこら、待てー!と追いかけようとしたが、
用件は別にあったらしくすぐに足を止め薫のいる台所に向かった。
何事かと手を止めて一部始終を見ていた薫は土方に気づいて竈門から立ち上がり、土方の方に居直した。
「お疲れ様です。」
「全く、逃げ足の速い奴らだ。」
楽しそうですね、と薫が言うとすぐに、楽しくないと怒気のこもった返事が返ってきた。
「どうされたんですか?こんなところで。」
「俺がどこへ行こうが勝手だろう。」
「まあ、そうですけど。」
なんだか最近は土方と話そうとすると喧嘩腰になってしまう。
というのも、何かしようとすると土方に怒られてばかりいるからだ。
剣術の稽古をすれば、お前は賄い方として雇ったのだから剣術は不要だとか、
仕事の時も飯のつぎ方が雑だとか扉の開け方が悪いだとか、繕いが下手だとか難癖ばかりつけられる。
最初は直そうと頑張ってみたものの、
姑のように次から次へと文句が飛ぶから最近は聞き流すようにしているのだ。
「今日の宴、お前は来るな。」
土方は腕を組んでそう言った。
「どうしてですか。」
「お前は女だろう。島原へ行ってどうする。それより、体を休ませろ。」
「嫌です。私だけ除け者にするおつもりですか?」
非番という概念のない賄い方の薫の身を案じての提案だというのは薫もわかっていたが、
それでも意地を張ってしまった。
素直に好意を受け取っておけば良かったと後悔しても後の祭りである。
「ほう。俺の好意を無下にするってえ訳か。」
「ふ、副長こそ私にお構いなく、お、女の人を好きなだけ侍らせれば良いと思います。」
「あぁ、そうするさ。茶屋中の女が俺の虜だからな。」
「私は近藤先生の方がずっと器が大きくて男らしくて素敵です!」
「お前みたいな乳臭いガキなんてこっちから願い下げだぜ!」
ふん!と互いにそっぽを向いて、土方はどこかへ行ってしまった。
そんなつもりじゃなかったのに。
水を貯めている甕の中に映る情けない自分がいる。
本当は嬉しかった、いつも厳しいことばかり言う土方が自分の身を案じてくれたことに。
「結局、宴を抜け出すアイデアなんて思いつかないし。」
無情にも宴へ向かう時間を知らせるお寺の鐘が村に鳴り響いた。
宴を抜ける妙案は浮かばぬまま、宴の日がやってきた。
夕食の用意は要らないから昼餉の片付けが終われば今日の仕事は終わり。
いつもなら午後の休みを何して過ごすかワクワクしながら過ごすこの時間も今日だけは憂鬱だ。
「薫さん、今日は宴だというのに浮かない顔してますね。」
柱の影から沖田と藤堂そして原田の3人で薫の姿を見守っていた。
「今日は近藤さんの無礼講なのになー。女買ってどんちゃんどんちゃんだぜ。」
「原田さん、薫は一応女の人ですから女は買わないし騒ぐこともないんじゃないですか?」
「言われてみりゃ確かにそうだな。」
「わかった!だからですよ!」
「どういうことだ?平助。」
「女を買う場所に連れていかれるのが嫌なんですよ、
きっと。だって、ほら、土方さんが島原に行ったらいろんな女性に引く手あまたでしょ?」
「「なるほどー!」」
「俺がどうした?」
3人は首をすくめ後ろを振り返った。
正しく鬼の形相をした土方が仁王立ちで3人を見下ろしている。
「「「鬼だ、逃げろー!」」」
3人は散り散りに逃げて行く。
それを見た土方はおいこら、待てー!と追いかけようとしたが、
用件は別にあったらしくすぐに足を止め薫のいる台所に向かった。
何事かと手を止めて一部始終を見ていた薫は土方に気づいて竈門から立ち上がり、土方の方に居直した。
「お疲れ様です。」
「全く、逃げ足の速い奴らだ。」
楽しそうですね、と薫が言うとすぐに、楽しくないと怒気のこもった返事が返ってきた。
「どうされたんですか?こんなところで。」
「俺がどこへ行こうが勝手だろう。」
「まあ、そうですけど。」
なんだか最近は土方と話そうとすると喧嘩腰になってしまう。
というのも、何かしようとすると土方に怒られてばかりいるからだ。
剣術の稽古をすれば、お前は賄い方として雇ったのだから剣術は不要だとか、
仕事の時も飯のつぎ方が雑だとか扉の開け方が悪いだとか、繕いが下手だとか難癖ばかりつけられる。
最初は直そうと頑張ってみたものの、
姑のように次から次へと文句が飛ぶから最近は聞き流すようにしているのだ。
「今日の宴、お前は来るな。」
土方は腕を組んでそう言った。
「どうしてですか。」
「お前は女だろう。島原へ行ってどうする。それより、体を休ませろ。」
「嫌です。私だけ除け者にするおつもりですか?」
非番という概念のない賄い方の薫の身を案じての提案だというのは薫もわかっていたが、
それでも意地を張ってしまった。
素直に好意を受け取っておけば良かったと後悔しても後の祭りである。
「ほう。俺の好意を無下にするってえ訳か。」
「ふ、副長こそ私にお構いなく、お、女の人を好きなだけ侍らせれば良いと思います。」
「あぁ、そうするさ。茶屋中の女が俺の虜だからな。」
「私は近藤先生の方がずっと器が大きくて男らしくて素敵です!」
「お前みたいな乳臭いガキなんてこっちから願い下げだぜ!」
ふん!と互いにそっぽを向いて、土方はどこかへ行ってしまった。
そんなつもりじゃなかったのに。
水を貯めている甕の中に映る情けない自分がいる。
本当は嬉しかった、いつも厳しいことばかり言う土方が自分の身を案じてくれたことに。
「結局、宴を抜け出すアイデアなんて思いつかないし。」
無情にも宴へ向かう時間を知らせるお寺の鐘が村に鳴り響いた。
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