維新竹取物語〜土方歳三とかぐや姫の物語〜

柳井梁

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第5章 To be, or not to be.


道場の窓から見える空が白む。

そろそろ朝の支度をしなければならない。

しかし、一晩中竹刀を振っていたせいで薫には起き上がる気にはなれなかった。

道場の中央で大の字になって寝転がり、大きく息を吸った。



もう迷わない。



薫は意を決して飛び起きると、道場の出口に向かって歩き出した。

ガラリ、と音を立てて道場の扉が開く。

「副長。」

「こんなところで何をしている。」

「何って、稽古です。」

「部屋に戻らず、か。」


もしかして、この人は私が部屋に帰ってこないことを心配して探していたのだろうか。

「…そうです。」

汗が頬を伝い、下に流れ落ちた。

「さっさと朝餉を支度しろ。」

横を通り過ぎ道場の中へ入ろうとする土方の前に薫は座り込み、そして手をついた。



「お願いがあります。宮部鼎蔵の潜伏先を私に調べさせてはいただけませんか。」



「無理だ。」

土方は即答した。

「決めたのです、己の身の振り方を。」

薫はまっすぐ土方を見つめた。

降り注がれる冷徹な瞳を意に介さず、薫はその目をじっと見つ続けた。

「どうする気だ。」

「彼らの集まる場所は大方把握しています。そこを虱潰しに当たれば…」

「松村に会うつもりか。」

「もう、会うつもりはありません。」

薫の固い決意を汲んだのか、土方はそうかとだけ短く呟いた。

「先日宮部の従者を捕まえた。
今日、従者の知り合いという女がそいつの身柄を引き取りに来ることになっている。」

奴らを尾行し、宮部の居場所を暴け。

土方はそういうと、壁に掛けられた木刀を手にして、一人でそれを振り始めた。

薫は承知、と答え道場を後にした。


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