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第1章「普通」
第2話
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”今日も歌の練習があるから”と実乃梨と別れたが、私は何だか帰る気になれなかった。
空はまだ青い。
折角まだ明るいんだから、寄り道をしたい気分だった。
私にはお気に入りの場所がある。
それが街から少し逸れたところにある低めの山の頂きで、この街を一望出来る特別なスポットがある。
山としては低いが、結構高い位置なので、最初は見下ろすのが怖かったが、もう慣れてしまった。
まるで家や建物が米粒に見える。
昔はよく実乃梨と来ていたけど、部活やらで実乃梨が多忙なために、一人で来ることが多くなっていた。
最近だと嫌なことがあったらよくここに来ている。
私は景色を見ながら、息を吐いた。
そして、
「普通なんて嫌だー!!!平凡なんて嫌だー!!!!」
大声で叫んだ。
いつもこんな風にストレス発散をしている。
家でこんな大声では騒げないけど、森の中にあるここなら人は来ない。
だから嫌なことがあった時に来るってわけ。
叫んでかなりスッキリしたのか、心が軽くなった。
根本的に解決しなくても、一時的でも、気分が良くなれば何でも良かった。
景色も見れたし、叫べたし、気分も良くなったし、そろそろ帰ろう。
来た道を引き返そうとすると、背後から叫び声が聞こえた。
「うるさぁぁぁぁぁぁい!!!!」
私は驚いてその場で尻もちをついた。
かなり低い声で、声量も結構大きかった。
振り向くと、目の前には背の高い男性だか女性だかよく分からない人が立っていた。
髪色は灰色のような不思議な色で、肩にギリギリかからないくらいのミディアムヘア。
顔はかなり整っていて、目も鼻も口も全てが緻密で整っている。
かなりの美少年と思ったが、下を見ると何故かロングスカートを履いている。
なので、男性か女性か分からないのだ。
「あなたね、さっき叫んでいたのは。」
そう告げると、相手は溜め息を吐いた。
まさか他人に叫び声を聞かれていたなんて、恥ずかしくて頷こうにも頷けなかった。
「あのね、ここは私の別荘の庭なの。勝手に出入りしないで。」
まさかここが他人の敷地内とは思いもしなかった。
でも、建物らしき物は今までこの辺で見たことがなかったが、一体どこに…?
「ごめんなさい、私有地だなんて知らなくって……!」
私は咄嗟に立ち上がり、謝った。
だが、相手は腕を組んで私を睨んだまま表情を変える気配がない。
相当怒らせてしまったのだろうか……と思いきや、険しい表情のまま、相手は口を開いた。
「その制服……私と同じ高校じゃない。」
まさかの発言に私は”へ?”と思わず声を上げた。
「暇だったし、少しお話しましょうよ。うちの別荘へいらっしゃい。」
そう告げ、相手は林の中へと消えていった。
私はしばらく思考が追いつかなくて、突っ立っていたが、相手の姿が見えなくなっては大変と、慌てて林の中へ入っていった。
空はまだ青い。
折角まだ明るいんだから、寄り道をしたい気分だった。
私にはお気に入りの場所がある。
それが街から少し逸れたところにある低めの山の頂きで、この街を一望出来る特別なスポットがある。
山としては低いが、結構高い位置なので、最初は見下ろすのが怖かったが、もう慣れてしまった。
まるで家や建物が米粒に見える。
昔はよく実乃梨と来ていたけど、部活やらで実乃梨が多忙なために、一人で来ることが多くなっていた。
最近だと嫌なことがあったらよくここに来ている。
私は景色を見ながら、息を吐いた。
そして、
「普通なんて嫌だー!!!平凡なんて嫌だー!!!!」
大声で叫んだ。
いつもこんな風にストレス発散をしている。
家でこんな大声では騒げないけど、森の中にあるここなら人は来ない。
だから嫌なことがあった時に来るってわけ。
叫んでかなりスッキリしたのか、心が軽くなった。
根本的に解決しなくても、一時的でも、気分が良くなれば何でも良かった。
景色も見れたし、叫べたし、気分も良くなったし、そろそろ帰ろう。
来た道を引き返そうとすると、背後から叫び声が聞こえた。
「うるさぁぁぁぁぁぁい!!!!」
私は驚いてその場で尻もちをついた。
かなり低い声で、声量も結構大きかった。
振り向くと、目の前には背の高い男性だか女性だかよく分からない人が立っていた。
髪色は灰色のような不思議な色で、肩にギリギリかからないくらいのミディアムヘア。
顔はかなり整っていて、目も鼻も口も全てが緻密で整っている。
かなりの美少年と思ったが、下を見ると何故かロングスカートを履いている。
なので、男性か女性か分からないのだ。
「あなたね、さっき叫んでいたのは。」
そう告げると、相手は溜め息を吐いた。
まさか他人に叫び声を聞かれていたなんて、恥ずかしくて頷こうにも頷けなかった。
「あのね、ここは私の別荘の庭なの。勝手に出入りしないで。」
まさかここが他人の敷地内とは思いもしなかった。
でも、建物らしき物は今までこの辺で見たことがなかったが、一体どこに…?
「ごめんなさい、私有地だなんて知らなくって……!」
私は咄嗟に立ち上がり、謝った。
だが、相手は腕を組んで私を睨んだまま表情を変える気配がない。
相当怒らせてしまったのだろうか……と思いきや、険しい表情のまま、相手は口を開いた。
「その制服……私と同じ高校じゃない。」
まさかの発言に私は”へ?”と思わず声を上げた。
「暇だったし、少しお話しましょうよ。うちの別荘へいらっしゃい。」
そう告げ、相手は林の中へと消えていった。
私はしばらく思考が追いつかなくて、突っ立っていたが、相手の姿が見えなくなっては大変と、慌てて林の中へ入っていった。
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