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第1章「普通」
第6話
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もしかして私は今日死ぬの?
だって、こんな高さから落ちちゃったら、助かるわけがない。
火曜サスペンスでよく出てくる崖くらいは高さがある……ような気がする。
人が落ちている時、スピードが遅く感じるってよく聞くけど、かなり速い。
さようなら、私。
私は目を閉じて、なるがまま真下へ落ちていった。
だが、次に目を覚ました時は、何故か意識があった。
あれ?目が開けれるってことは、私助かったの?
今の事態に追いつけないで混乱してるいると、上の方から声がした。
「大丈夫?」
それは聞き覚えのある低く、落ち着いた声。
目の前にはカナコの顔があった。
そう、私は何故かカナコにお姫様抱っこをされている状態だった。
「え、えええ?!カナコさん?!……てか、カナコさん、私を山の上から突き落としませんでしたっ?!」
慌てて声を上げると、カナコは”は?”と怪訝そうな表情を浮かべながら、私をその場に降ろした。
周りを見回す限り、どうやら山頂に戻ってきたらしい。
どうやって山頂まで戻ってきたんだろう?
カナコが私を連れてきたみたいだが…。
もしかして山頂から落ちたこと自体夢だったりして…。
しかし、それもすぐさま否定されてしまう。
「あなた、一体何者?」
カナコが目の前にいる人物に警戒するように、問い掛ける。
見るからにその人物は……実乃梨だった。
「何者って?私はみよりの幼馴染みよ」
実乃梨が淡々と答えた。
もしかして、山頂から私を突き落としたのはカナコさんじゃなくて、実乃梨……?
そもそも冷静に考えると、本来実乃梨がこの時間にここに居ること自体がおかしい。
実乃梨は今日も歌の練習があると帰ったはず。歌のレッスンは通常通りに終われば夜の七時。そこから更に練習することもあると言っていた。
今はまだ七時五分。練習場所へは電車を使うって過去に実乃梨が言っていた。
レッスンが通常通りに終わったとしても、練習場所からこの山まで五分で来れるわけが無い。
それに真面目で努力家の実乃梨が、練習をサボるとも考えにくい。
「実乃梨なの?本当に……?」
私が問いかけると、実乃梨は気味悪く笑い出す。
「そんなわけないじゃん、まったく騙されちゃって」
次の瞬間、なんと実乃梨の手から植物のツルが現れ、そのツルが私の体にしつこく巻きついた。
「うわっ?!」
そしてそのまま私の意志とは反して、体ごと実乃梨の方へ引きずられる。
「ふふっ、私はこいつを殺したいだけ。邪魔しないでくれる?」
不気味に笑いながら、実乃梨はさらに体に巻きついているツルを強く締め付けた。
かなりの締め付けで、息をすることすら困難だった。
「うっ……うぁぅっ……」
声にならない痛みに、無意識に涙が溢れる。
実乃梨が私を殺したかったなんて。
体が限界を迎えそうだ。もう死が近いのかな。
またしても、意識が遠のいてしまった。
だって、こんな高さから落ちちゃったら、助かるわけがない。
火曜サスペンスでよく出てくる崖くらいは高さがある……ような気がする。
人が落ちている時、スピードが遅く感じるってよく聞くけど、かなり速い。
さようなら、私。
私は目を閉じて、なるがまま真下へ落ちていった。
だが、次に目を覚ました時は、何故か意識があった。
あれ?目が開けれるってことは、私助かったの?
今の事態に追いつけないで混乱してるいると、上の方から声がした。
「大丈夫?」
それは聞き覚えのある低く、落ち着いた声。
目の前にはカナコの顔があった。
そう、私は何故かカナコにお姫様抱っこをされている状態だった。
「え、えええ?!カナコさん?!……てか、カナコさん、私を山の上から突き落としませんでしたっ?!」
慌てて声を上げると、カナコは”は?”と怪訝そうな表情を浮かべながら、私をその場に降ろした。
周りを見回す限り、どうやら山頂に戻ってきたらしい。
どうやって山頂まで戻ってきたんだろう?
カナコが私を連れてきたみたいだが…。
もしかして山頂から落ちたこと自体夢だったりして…。
しかし、それもすぐさま否定されてしまう。
「あなた、一体何者?」
カナコが目の前にいる人物に警戒するように、問い掛ける。
見るからにその人物は……実乃梨だった。
「何者って?私はみよりの幼馴染みよ」
実乃梨が淡々と答えた。
もしかして、山頂から私を突き落としたのはカナコさんじゃなくて、実乃梨……?
そもそも冷静に考えると、本来実乃梨がこの時間にここに居ること自体がおかしい。
実乃梨は今日も歌の練習があると帰ったはず。歌のレッスンは通常通りに終われば夜の七時。そこから更に練習することもあると言っていた。
今はまだ七時五分。練習場所へは電車を使うって過去に実乃梨が言っていた。
レッスンが通常通りに終わったとしても、練習場所からこの山まで五分で来れるわけが無い。
それに真面目で努力家の実乃梨が、練習をサボるとも考えにくい。
「実乃梨なの?本当に……?」
私が問いかけると、実乃梨は気味悪く笑い出す。
「そんなわけないじゃん、まったく騙されちゃって」
次の瞬間、なんと実乃梨の手から植物のツルが現れ、そのツルが私の体にしつこく巻きついた。
「うわっ?!」
そしてそのまま私の意志とは反して、体ごと実乃梨の方へ引きずられる。
「ふふっ、私はこいつを殺したいだけ。邪魔しないでくれる?」
不気味に笑いながら、実乃梨はさらに体に巻きついているツルを強く締め付けた。
かなりの締め付けで、息をすることすら困難だった。
「うっ……うぁぅっ……」
声にならない痛みに、無意識に涙が溢れる。
実乃梨が私を殺したかったなんて。
体が限界を迎えそうだ。もう死が近いのかな。
またしても、意識が遠のいてしまった。
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