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二五、風神
思い直した修太朗がその男に礼を言うと、男は微笑みながら
「私の名は風蓮と申します。しづか殿と共にこの黄泉に住む一柱にして、風の神とも称されております。どうぞお見知りおきください」
と、柔らかな物腰で挨拶を返してくれた。
「風の神、俗に言う風神様ですか」
「はい。あの獣たちは少しやりすぎたようです。少し懲らしめましょう。準備はよいですか?」
「わかりました。どうすればいいでしょうか?」
修太朗が力強く風蓮に返事を返すと、
「私があの獣の風を防ぎます。あなたはその刀で獣を守る歪みを斬り裂いてください」
そう言い、二人は連なって天狗の乗る飛龍へ飛んでいった。
その姿を警戒した天狗は、またもや、手に持つ羽根団扇に、
「ふぅ」
と、軽く息を吹きかけ振りかぶると、激しく踊るように羽根団扇を扇ぎだした。
無名一刀斎を弾丸のように吹き飛ばしたあの竜巻がこちらに向かってくる。だが、風蓮が手を払うとその竜巻は逆回転となり、天狗が生み出す竜巻と打ち消しあうかのように混じり合って消滅した。
竜巻が消滅した瞬間、
「一の太刀『扇』」
修太朗が呟くと、黒夜叉から白金の剣気が発生し、飛龍を襲った。先程と同じく空間が歪んだように見えたが、直撃を受けてその歪みは消え去った。
歪みが消え去ると同時に風蓮が手刀を振る。超高速の風の刃が飛龍の宝玉を切り刻むと、飛龍は墜落し、天狗も振り落とされていた。
「素晴らしい技ですね。あの飛龍もその技で狙えますか?」
そう風蓮に問われた修太朗は、
「この距離なら十分全ての飛龍を狙えます」
と、答えた。
その返事を聞き、満足そうに頷いた風蓮は、
「では、この距離からそれぞれの飛龍の宝玉を狙えますか?」
と、さらに問いかけた。
「狙えます」
修太朗が断言するのを確認してから、少し嬉しそうに微笑んだ風蓮は、
「では、あなたの技に私の力を宿らせます。しっかり狙ってください」
と、修太朗に攻撃するように促した。
修太朗は軽く息を吸ってから、体をしならせ弓なりに構えると、手近な飛龍に向かって、
「一の太刀『扇』」
と、呟き、扇状に白金の剣気を飛ばす。
風蓮は、大きく広げたその手を、胸の前で柏手を打つように叩いた。
その瞬間、修太朗の飛ばした白金の剣気に緑色の風がまとわりつくと、一気に加速し、飛龍に直撃して宝玉どころか飛龍までも両断していた。
「次も行けますか?」
「行けます」
あっという間に、二人は全ての飛龍を両断し、天狗に相対した。
天狗は、苦し紛れに、
「ふぅふぅふぅふぅ……」
と、何度も羽根団扇に息を吹きかけると、気でも狂ったかのように無茶苦茶に扇ぎだした。
修太朗と風蓮の周りを無茶苦茶に荒れ狂った暴風が舞い踊る。
だが、風蓮が右手を前に出し、軽くその手を握り込むと、荒れ狂っていた暴風がその手に吸い込まれるかのようにして消え去った。
「私は風の神、その私に風の攻撃は意味がありませんよ」
風蓮がそう天狗に告げた。
「ならば、これならどうだぁ」
天狗は、さらに目を血走らせ、大きく口を開けて鼻をひくつかせると、またもや羽根団扇を無茶苦茶に扇ぎだした。
「無駄だと言ったはずですよ」
そう言い、風蓮が右手を前に出して握り込む。
風がおさまりかけた瞬間に、天狗は上方に飛ぶと、今度は両足で一本歯の高下駄を地面にどんと叩きつけるように踏み鳴らした。
その瞬間、天狗の姿はその場からかき消えた。
「む、転移したのか」
そう風蓮が口にしようとすると、修太朗の首筋から何かを弾くような音がした。
「そなた、魂鎧をしておったのか。悔しや、悔しや」
天狗は、修太朗の背後から小刀で斬りつけようとして、ユリが着せてくれた鎧に弾かれていた。
「ユリ、ありがとう」
修太朗はそう言うと、天狗の存在を消滅させることを黒夜叉に命じて、
「三の太刀『蜷局』」
と、呟いた。
修太朗の身体中を白金の大蛇が蜷局を巻くかのようにねじり込む。
天狗は、その身体中を粉微塵になるまで切り刻まれ、文字通り塵となって消滅していった。
「私の名は風蓮と申します。しづか殿と共にこの黄泉に住む一柱にして、風の神とも称されております。どうぞお見知りおきください」
と、柔らかな物腰で挨拶を返してくれた。
「風の神、俗に言う風神様ですか」
「はい。あの獣たちは少しやりすぎたようです。少し懲らしめましょう。準備はよいですか?」
「わかりました。どうすればいいでしょうか?」
修太朗が力強く風蓮に返事を返すと、
「私があの獣の風を防ぎます。あなたはその刀で獣を守る歪みを斬り裂いてください」
そう言い、二人は連なって天狗の乗る飛龍へ飛んでいった。
その姿を警戒した天狗は、またもや、手に持つ羽根団扇に、
「ふぅ」
と、軽く息を吹きかけ振りかぶると、激しく踊るように羽根団扇を扇ぎだした。
無名一刀斎を弾丸のように吹き飛ばしたあの竜巻がこちらに向かってくる。だが、風蓮が手を払うとその竜巻は逆回転となり、天狗が生み出す竜巻と打ち消しあうかのように混じり合って消滅した。
竜巻が消滅した瞬間、
「一の太刀『扇』」
修太朗が呟くと、黒夜叉から白金の剣気が発生し、飛龍を襲った。先程と同じく空間が歪んだように見えたが、直撃を受けてその歪みは消え去った。
歪みが消え去ると同時に風蓮が手刀を振る。超高速の風の刃が飛龍の宝玉を切り刻むと、飛龍は墜落し、天狗も振り落とされていた。
「素晴らしい技ですね。あの飛龍もその技で狙えますか?」
そう風蓮に問われた修太朗は、
「この距離なら十分全ての飛龍を狙えます」
と、答えた。
その返事を聞き、満足そうに頷いた風蓮は、
「では、この距離からそれぞれの飛龍の宝玉を狙えますか?」
と、さらに問いかけた。
「狙えます」
修太朗が断言するのを確認してから、少し嬉しそうに微笑んだ風蓮は、
「では、あなたの技に私の力を宿らせます。しっかり狙ってください」
と、修太朗に攻撃するように促した。
修太朗は軽く息を吸ってから、体をしならせ弓なりに構えると、手近な飛龍に向かって、
「一の太刀『扇』」
と、呟き、扇状に白金の剣気を飛ばす。
風蓮は、大きく広げたその手を、胸の前で柏手を打つように叩いた。
その瞬間、修太朗の飛ばした白金の剣気に緑色の風がまとわりつくと、一気に加速し、飛龍に直撃して宝玉どころか飛龍までも両断していた。
「次も行けますか?」
「行けます」
あっという間に、二人は全ての飛龍を両断し、天狗に相対した。
天狗は、苦し紛れに、
「ふぅふぅふぅふぅ……」
と、何度も羽根団扇に息を吹きかけると、気でも狂ったかのように無茶苦茶に扇ぎだした。
修太朗と風蓮の周りを無茶苦茶に荒れ狂った暴風が舞い踊る。
だが、風蓮が右手を前に出し、軽くその手を握り込むと、荒れ狂っていた暴風がその手に吸い込まれるかのようにして消え去った。
「私は風の神、その私に風の攻撃は意味がありませんよ」
風蓮がそう天狗に告げた。
「ならば、これならどうだぁ」
天狗は、さらに目を血走らせ、大きく口を開けて鼻をひくつかせると、またもや羽根団扇を無茶苦茶に扇ぎだした。
「無駄だと言ったはずですよ」
そう言い、風蓮が右手を前に出して握り込む。
風がおさまりかけた瞬間に、天狗は上方に飛ぶと、今度は両足で一本歯の高下駄を地面にどんと叩きつけるように踏み鳴らした。
その瞬間、天狗の姿はその場からかき消えた。
「む、転移したのか」
そう風蓮が口にしようとすると、修太朗の首筋から何かを弾くような音がした。
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天狗は、修太朗の背後から小刀で斬りつけようとして、ユリが着せてくれた鎧に弾かれていた。
「ユリ、ありがとう」
修太朗はそう言うと、天狗の存在を消滅させることを黒夜叉に命じて、
「三の太刀『蜷局』」
と、呟いた。
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