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魔王の引っ越し事情
しおりを挟む僕は魔王を倒すため旅をしている勇者。
近くの街に寄った際、老人からある噂を聞いた。
「魔王はね、拠点を転々と移しているそうだ。なんでも、勇者が怖くて逃げ回っているという噂だよ」
そんなに弱々しい魔王なら楽勝だな、と僕は装備やレベル上げもそこそこに魔王の城へ乗り込んだ。
しかしいざ突入すると、魔王は大きな角に防御力の高そうなマントと鎧、大鎌を携えて立っていた。
「誰だ!?」
こちらに気付いた魔王に、僕は足がすくんで動けなくなってしまった。
「なんだ、勇者か。どこの勇者か知らんが、今俺はそれどころじゃないんだ!あとにしてくれ!」
僕はなんとか勇気を振り絞って震える手で剣を向けた。
「ぼ、僕は勇者…!魔王、貴様を倒すために…!」
「ま、まずい!そろそろ教会のじいさんたちが借金の取り立てに血相変えて殴りこんでくる…!次は南の島に移動せねば…!おまえも俺を倒したいならそこまで来てくれっ!じゃあな!」
魔王は布袋に最小限の荷物を詰めてそそくさと出て行った。
ー完ー
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