魔法学校を卒業した自称普通の魔法使いは伝説の魔女を探しに旅に出る!

まどうふ

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第6話 冒険者ギルドと毒の魔法使いルル

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晴れて旅に出た私の最初の目的地は、この領都ルインを出て南に進んだらあると御者さんから聞いた、古き妖精の町、通称フェアリーステイルだ。

 けどその前に、色々と便利な冒険者カードを発行しに行かないと!  これで私も立派な旅人。

 長かった⋯⋯本当に長かった⋯⋯!  十二時の魔女を読んでから早や十二年、私はこの時をずーっと待ち望んでいた!  お父さんとお母さんと離れるのはちょっと寂しいけど、いつでも帰れるし、なんの問題も無い!

 魔力の消費など余計なことは考えず、私は空を自由に飛び回っていたら冒険者ギルドっぽい建物を見つけ、その勢いのまま興味本位で入ってみた。

「おおー⋯⋯」

 一見酒場のようだけど、よく見てみると奥に受付があって安心⋯⋯ま、まあ⋯⋯もう未成年じゃないし、これから旅に出るんだから酒場でも良かったけど⋯⋯。な、慣れといて損は無いから。

 ⋯⋯それにしてもこれが冒険者ギルドか。誰もいないなー、もっと賑わってるかと思ってたのに。

「ようこそ、冒険者ギルドへ!」
「すいません、登録?  をしたいんですけど」

「新規の方ですね!  ではこちらの鏡に顔を映してください!」

「あっはい、分かりました」

 何だこの鏡、ただの四角い鏡にしか見えないけど⋯⋯ってうわっ!  顔映したら急に白く光り出してなんも見えない!

 数秒後、私を包む白い光は収まり、鏡は受付のお姉さんとにらめっこをしている。

「はい、こちらで間違いないですか?」

 前のめりになって私に冒険者カードらしき物を見せてくる受付のお姉さん。長い前髪がふわりと揺れ、さりげなく私はお姉さんの匂いを吸ってしまった。

「あっ⋯⋯はい、ミーシャ・アングレーです」

 冒険者って男の割合が高いのに、なんでこんな綺麗な人が冒険者ギルドの受付なんかやってるんだろー。ウザ絡みとかもよくありそうなのに。

「ではまずは登録試験からですね!  頑張ってください!」

 え⋯⋯?  登録試験?  なにそれ聞いてないんだけど。

 私が困惑してるのも束の間、私から見て受付の右にあるドアから身長の高い屈強な男が現れた。

「新人が来たってな、聞こえてたぜ」
「ドルフさん、依頼の整理は済ませたんですか?」
「もちろん残ってるぞ!」

 やばい⋯⋯私今からこんな強そうな人と戦うの⋯⋯?  お姉さんの匂いを嗅ぐよりも自分の心配をしといた方が良かったかも⋯⋯。

「心配すんな新人!」

 やばっ──顔に出てた⋯⋯?

「お前さんは見るからに魔法使いだろ?  なら戦うのは俺みたいな剣士じゃなくて、同じ魔法使いだ」

「ギルドの試験では、同じ戦闘方法で試験を行うのが主流なんです。そして試験を無事合格された方にのみ、この冒険者カードと──」

「ギルド内の設備や冒険者カードの説明がされるんだ!」

 ドルフという屈強な男は、受付のお姉さんの話を割って入ってきた。

 ⋯⋯体の圧が凄すぎて話が入ってこない⋯⋯。
 とっ、とりあえず試験の相手は同じ魔法使いってことね⋯⋯。

「私が今説明してるんですから、早く仕事に戻ってください!」
「無事合格したらギルド内を俺が案内してやってもいいぜ!」

「もういいです!  勝手に進めます!」

 ドルフさんから顔を背けた受付のお姉さんは困惑しているミーシャの方をしっかりと見て、試験の説明を始めてくれた。

「制限時間は十分間、場所はギルド内にある屋内闘技場で行います。どちらかを戦闘不能と判断した場合にのみ、制限時間を問わず試験終了です。勝ち負けに関わらず冒険者としての活動をこれから続けられるかどうかを判断しますので、全力でボコボコにしちゃってください!」

「ちょっと待った!」

 受付のお姉さんの説明を遮る声は、ドルフが出てきたミーシャから見て受付右側にあるドアから姿を現した。

 女の子だ、身長が私より低い⋯⋯。

「戦闘不能の判断や試験の合否などは私、シシリー・アスケルとギルドマスターが行います。かすり傷などは試験が終わり次第、回復魔法で治癒しますのでご安心ください」

「ちょっと、無視しないで──」
「そ・し・て!  こちらが対戦相手のルルさんです。どうぞ!」

 説明をしているからちょっと黙っててもらえる?  と言わんばかりの話し方をするアスケルさんは、ドアから勢いよく飛び出てきた女の子に私へ挨拶をするよう仕向けてくれた。

「ごめん⋯⋯」
「いいですよ、でもその代わりに登録試験でアングレーさんの実力を引き出してくださいね」
「それは任せたまえ」

 ルルという小さな女の子は魔法使いの帽子を被っておらず、トンっ!  という音を立てながら身の丈に合わない杖を自分の横に立てて、私と顔を合わせた。

「私はルル・ローリエント、水と毒の魔法を得意とする魔法使いよ、よろしくな」

「さて、挨拶も終えましたし、早速登録試験を始めましょうか」
「えっ⋯⋯?  いやさすがに──」

「心配しなさんな、お前さんからは強そうなオーラをビンビン感じるからよぉ!  ぶっつけ本番でも大丈夫だろ!」

 今は流石にと思い拒否しようとするも、それを逃してくれないドルフ?  という人。これが冒険者ギルドかぁ⋯⋯と私は心の中で呟き、アスケルさんに流されるがまま闘技場へと案内される。

「あっ!  言い忘れてました、致命傷になりうる攻撃は反則となりますのでその場で試験終了です!」

「はい」
「致命傷⋯⋯まあ大丈夫か」

 その一瞬、空気が沈み静かな時が流れた。

「審判はこの私、シシリーとギルドマスター、ドルフ・グライディーアさんの独断で行います。制限時間は十分間、どちらかを戦闘不能と判断した場合、その時点で試験は終了とさせていただきます!」

 えっ⋯⋯!  あの筋肉ムキムキの人がギルドマスターだったんだ!?  大丈夫かな、この冒険者ギルド⋯⋯。

「頑張れよぉ!!」

「それでは登録試験──始め!」
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