貧乏から貧困、その先。

護茶丸夫

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24 変わりモンばっかり

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 夏に入る前に、王都に行っていた探索組の連中が村に戻って来た。
 無事に戻ってきてくれて嬉しかったが、戻って来たのは少数だ。

「王都は人が多すぎて、どうしようもない。」
「男はほとんど傭兵としての働き口敷かなくて、女は春売りだけだ。」
「傭兵も一度王都から出たら、戻ってくるヤツはいないって話だった。」
「去年の流行り病で、王都の貧民街も人が減ったらしいが、そんな風には見えないぐらい人だらけだ。」

 そう口々に話す探索組だが、しっかり村人達を見つけ出してきた。
 あの親切な商人を王都に着いて数日で見つけたらしく、その手伝いをしながら村に戻る為に動いていたそうだ。
 貧民街で身を寄せ合っていた村人たちをまとめ、役人に問い合わせて犯罪奴隷となっていた者達の冤罪を晴らし。

 隣村の村長が「無実の村人を犯罪奴隷として売買、税金を横領していた罪」で公開処刑と王都にも記録されていて、早めに確認が取れたのは運が良かったそうだ。
 書類なんてないが、訴え出た売られた人の身内がいるなら、それが証明だろ。

「書類のやり取りなんてするのは、商人と貴族だけなんだからよ。」
「俺らに、そんなもんがあるわけないだろうって話だぜ。」
「バカ村長の話を聞いた商人さんがよ、役人を説得しちまったんだ。」
「ああ、なんでも『押収した書類を知らないなら、誰か横領に関係してる? これは報告しないと。』とか言い出してよ。慌ててたなぁ。」
「そうそう、派閥がどうのとか言ってたな。あとからハッタリだって教えて貰ったけどよ、すげえもんだ。」

 冤罪奴隷については、商人さんが貴族とやり取りしてくれたそうだ。
 勤め先で働いていた分を、給料として支払うか自由にするかどちらかを要求すると、すぐに解放して貰えたそうだ。
 足の引っ張り合いに用心している貴族や金持ちが、あまりゴネなくなっているらしい。
 給料のかわりに、手切れ金を持たせる雇い主もいたそうだ。

「手切れ金を渡したのは貴族だったが、早く王都から出るように命令してきてな。傭兵の身内がいるならすぐに辞めさせて、村に戻るようにしろってな。馬は渡せないが、荷車を持っていけって。」
「親切なんだか、傲慢なんだか。まぁ、悪い貴族ではないよな。」

 探索組は腑に落ちない顔で、貴族とのやり取りを教えてくれた。
 それは本当に貴族だったのか?

「ああ。俺達の事なんて、目にも入らない貴族しかいないと思ったのによ。」
「人間扱いされるのが驚きだったな。変わってたな、あの貴族。」
「護衛も変わってたな、俺ら見ても嫌な顔見せないなんてよ。」
「鎧も着てない、変わりモンばっかりだったな。」

 商人の馬車の座席と荷車には乗りきれず、追加の荷車を買い人力で押してとにかく王都を出るのを優先。
 そして王都近くの村で手切れ金を使って馬を買い、商人とは途中で別れここまで来たと。

 病気にかかっている数人は、商人が隣国で治療するからと付き添いも込みで連れて行ったそうだ。
 どうしても村に戻りたい者と、もう移動にも耐えきれない者は連れて帰って来た。

 あのお人よし商人は、大丈夫なのか? 親切過ぎるぞ。

 実際何度か、あの商人は危ない目にあったそうだ。
 探索組が護衛もどきをして、追っ払ったと悪い顔をしていた。

 いくさから戻って来た時と同じような顔をしてるって事は、そういう事だったんだろうな。
 人数が少ない理由が、国境まで数人が商人達に同行して送って行ってる最中って。
 どれだけ治安が悪くなってるんだ。


 全体の人数がはっきりした所で、村長が二回目の出発を宣言した。
 初回の出発組の護衛が戻って来てないが、馬と荷車があるなら今が良い。
 今回はギルの親父さんが護衛組で、アンリが長になって貰った。
 アンリなら、隣国の商人との話は通しやすいだろうって村長の判断だ。

 ウチの嫁と子供達も、ギルの家族も隣国へ。
 マリーがゴネていたが、旅路が安全で無くなって来てるなら早めに国を出た方がいい……。

 末っ子の友達、ビートの両親はなんとか生きていて、商人さんが連れて行った中にいる。
 どうやら母親の方が衰弱しているらしく、父親も治療が必要だったそうだ。
 ビートもウチの家族と一緒に行く事になった。
 面倒を見ていた爺ちゃんと婆ちゃんは、残るつもりだった様だが探索組の説得で無理を押して出発。
 どうも母親の方は難しい病気らしく、父親一人では金策も難しい。
 男で一つで子供を育てるのは厳しい状況だと、伝えたとかなんとか。

 秋の収穫が終わったら隣国へ行って合流することを、家族と約束し分かれた。

 ……。

 ……つらい。

 ……俺はもう死んでるんじゃないのか?

「いや、辛いのはお前だけじゃないんだ、親友。」
「お前も辛いよな、親友。」
「ああ、子供達に会えないのが悲しいな。親友。」
「ぅぅうっ。まりぃー。グスッ」
「そっちかよ。」


 三回目の移動は、回復した隣村の人が中心になる。
 生きていれば戻ってこれるのだから、まずは国外へ出る事を考えよう。

 俺は最後に出る組で、四番目の出発組だ。
 面子は決まっていないが、少人数で密出国する予定だ。
 早く家族に会いたい。
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