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第六章 開発
第六十六話
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/*** カズト・ツクモ Side ***/
スキル調整も終わったし、クリスのスキル確認の意味もあるから、ダンジョン探索を開始するか。
『あるじ!』
「ん?どうした?」
『うん。ダンジョン。攻略すると、ダンジョンの魔物たちが溢れるけどどうする?』
「あぁ・・・そんな事を言っていたな。ライ。眷属を呼び出して配置させておく事はできるか?」
『うん。大丈夫だよ。エントやドリュアスも呼んでおく?』
「そのほうがいいだろうな。意識芽生えた魔物なら、話ができるかも知れないからな。それ以外は、狩り尽くしても問題ないだろう。魔物の動きなんかも観察させておいてくれよな」
『わかった!スーンに言っておくね。あと、ヌラやヌルやゼーロも働きたいみたいだけどいい?』
「あぁログハウスが問題なければいいぞ」
『ありがとう。皆で話し合って決めさせるね』
「頼むな」
クリスが不思議そうな顔をしている。
「クリスどうした?」
「ううん。ただ、カズトさん達は、ダンジョンが攻略された時に、何が発生するのか知っていそうだったから不思議に思っただけ」
「ん?」
「だって、ダンジョンを攻略した時に、何が発生するのか調べるつもりだったと思ったから・・・」
「あぁそういう事か、俺たちも、実際に何が起こるのかはわからない。ただ、魔物が意識を持って、ダンジョン・・・元ダンジョンから外に出ようとするだろうとは思っているだけだぞ」
「へぇ・・・そうなの?」
「あぁそうだよ。それよりも、クリス。5階層のボス戦はどうする?見ているか?」
話をそらさないと、納得するまで質問されそうだ。
俺が話をそらせばそれ異常は突っ込んでこないくらいの分別を持っているのはありがたい。
「ウミ姉。スキルの使い方を教えて!」
『いいよ。カイ兄。任せていい?』
『いいですよ5階層だし、まだ余裕が有るでしょうからね。低階層の間に、クリスにはスキルの使い方を覚えてもらいましょう』
「わかった!ありがとう。カイ兄。ウミ姉」
話がまとまったようだな。
ライは、今回もお休みのようだ。バッグから出てくる様子がない。
5階層のボス部屋に入る。うーん。余裕かな?ゴブリンの集団のようだ。クリスを狙ってきているが、結界に阻まれている間に、短槍に炎をまとったもので突かれて倒れていく。
その間、クリスの横で、ウミがスキルを発動させている。
カイは、俺の横で警戒しているに留まっている。
すべてを、ウミとクリスが倒した。
最後の1体も、クリスがスキルを使って倒した。
「カズトさん!」
「あぁうまくできたな」
「うん!」
クリスが抱きついてくる。
今回ばかりは、カイもウミも邪魔しない。抱きしめてやれという事だろう。クリスを抱きしめて、頭をなでてやる。
大きく振られる白いしっぽが見えるのではないかと思うくらいに喜んでいる感情が伝わってくる。
「ウミ。クリスはどんな感じだ?」
『うーん。まだ、無駄が多いかな?それと、魔眼に頼りすぎていて、魔眼で確認してから発動しているから、今くらいの魔物なら大丈夫だけど、魔蟲とかだと苦労する。何回か、結界まで迫られていた』
「えぇウミ姉厳しい・・・でも、そうだよね。まだまだ、僕は強くなれる!」
「あぁそうだな。さて、回収する物だけ回収して、先に進むか」
「カズトさん。ここのゴブリンはどうするの?」
「あぁライ!」
『ん。わかった!』
ライが、バッグから飛び出して、ゴブリンの死骸を収納していく。
階層に降りる。このダンジョンは、居住区のダンジョンと違って、洞窟のような物が続いている。ダンジョンという作りだ。通路の幅という制限が有るので、対峙する魔物の数もそれほど多くない。今の所、最多でも3体だ。これなら、クリスの訓練に丁度いいだろう。
カイも前から下がってきている。クリスと、ウミが、全面に出て、魔物と対峙している。最初は、手間取っていたが、6階層が終わる頃には、だいぶ戦闘にもなれてきたようだ。
「ライ。収納は大丈夫か?」
『うん。まだまだ大丈夫!』
「無理そうなら、ゴブリンとか低位の魔物は吸収するなり、魔蟲に与えていいからな」
『うーん。せっかく、クリスが倒したから、クリスに吸収させたいけど』
「ライ兄。僕、吸収できないから・・・」
そもそも、魔物やハーフが、魔素や魔核を吸収しているなんて話を、イサークたちは知らなかった。リーリアの話では、いろいろ実験しているらしい、アトフィア教もたどり着いていないらしい。
「クリス。魔物倒した時に、魔素が出るらしいけど、見えるか?」
「うーん。次見てみる」
「あぁ頼む」
俺の推測が当たっていれば、人族も魔素の吸収ができる事になる。
そうでないと、ダンジョンに潜ったり、ブルーフォレストで魔物を狩って、体力や魔力が上がる事の説明が難しい。
次の魔物はすぐに見つかった。
クリスの魔眼で、魔力の流れを調べる事ができるのは解ってきている。それと同じ要領で、魔力の塊が有る場所を探させたら、ゴブリンが溜まっている部屋が見つかった。モンスターハウスの様になっている。部屋の入口部分は大丈夫だが、中に入ると、20体近いゴブリンが襲ってくるようになっているようだ。
皆で突撃して、あっさりとゴブリン共を倒す事ができた。この程度の魔物では苦労はしない。
「クリス。ゴブリンたちが倒れた後の魔力はどうなっている?」
「え?あっうん」
今まさに倒されたゴブリンにクリスが集中する。
「あ!え?」
クリスが見えている物を説明する。
ゴブリンが倒されると、死骸から、魔力が漏れ出す。全部ではなく、一部のようだ。その一部が、空中を漂って、俺やカイやウミやライに吸い込まれていくように入っていった。ダンジョンの壁にも一部吸い込まれていったようだ。
近くに居た者が多いのかわからないと言っている。次は、量に関しての考察だな。
でも、やはりというか、想像していたとおりだ。
そして、ゴブリンの死骸の中に残った魔力が固まっていれば、魔核やスキルカードになるし、そこまでの量がなければ、徐々に溢れ出て行くだけなのだろう。
俺が、一般的な人族と同じかは置いておくとして、人族でも魔素を吸収できる事が解った。魔核の吸収ができるかどうかはわからない。リーリアやオリヴィエ辺りと話をすればやり方が見えてくるかも知れない。クリスに、魔核の吸収を見せるのも1つの方法かも知れない。
まだまだ、俺は強くなれる、安全に過ごせる様になる方針が見つかったのは嬉しい事だ。
「クリス。次は、魔物から出た魔素を意識して、取り込むようにしてみろ」
「わかった!」
魔素と吸収に関して、調べる方向性が決まったから、ダンジョン攻略を進める事にする。
次の休憩は、10階層のボス部屋前のセーフエリアとした。
このダンジョンは、1つのフロアがそれほど広くない。イサークたちが言っていたとおりだ。
最下層はわからないが、イサークたちが攻略したと言っていた階層までなら、さほど苦労なく行けそうだ。クリスの魔眼だよりだが、道も迷わないで行ける。無理に魔物を倒さないで、最短ルートを進むように切り替えた。
魔素の吸収に関しても、だいぶわかってきた。
この世界には、ギルドで、パーティー申請を行う事ができるようだが、今回俺たちはそれをしていない。クリスと俺はソロでダンジョンに入っている事になる。パーティーがどんな権能を持っているのかは、後日仕組みと合わせて調べる事にして、クリスにスキルを使わせて、熟練度を上げる事に集中する。
クリスが言うには、意識して魔素を多く取り込むのはできないようだ。取り込もうとしても、素通りしたり、飛散してしまうようだ。
10階層のセーフエリアに到着した。
「クリス。体力や魔力は大丈夫か?」
「うん。僕、疲れていないよ。スキル回復があるからなのか、本当に疲れない」
「そうか、疲れていないのなら、いいよな。カイ。ウミ」
カイとウミは、わかっているのか、俺の膝の上で丸くなった。
「クリス。立っていないで、座れよ。10分くらい休んだら、ボス部屋に入るからな」
「え?あっうん。ねぇカズトさん。僕がつかれたと言ったらどうしたの?」
「あぁライから、布団を出してもらって、一眠りしようとは思っていたけどな、今このダンジョンには、俺たちしか居ないから、寝ていても大丈夫だろう?」
「え?お布団?」
「あぁライが持っているからな」
『うん。あるじのお布団を持っているよ!』
「え?カズトさんが使っているお布団?」
「あぁライ。他は持ってきているか?」
『ううん。リーリアにあずけてある。リーリアが、あるじのだけ持っていけば大丈夫と言ったからそうした』
「リーリア・・・。まぁいいか?だってよ・・・どうした?クリス?」
つらそうな顔をしているが、口元が緩んでいる。
「はい。はい。疲れたフリしなくていいからな。サラトガのダンジョンも、だんだん狭くなっていくらしいからな。少し休んだら、攻略を始めるぞ」
「・・・うん!でも、次の休憩では、お布団で休みたい」
「わかった。わかった。次は、20階層のセーフエリアまで一気に行くからな」
「わかった!」
「カイ。ウミ。大丈夫だよな?」
『主様。30階層でも大丈夫です』『うん。カズ兄。手応えがないから、早く進もう!』
そうだな。
結局、まだウミとクリスだけで進めているからな。
「そうだな。カイかライが参戦するようにならなければ、30階層を目指してみるか?」
「え?」
『かしこまりました』『わかった。クリス。頑張るよ!』
ライは、バッグの中でおとなしくしているようだ。
10階層のボスも、ゴブリンだった。
このダンジョンは、ゴブリンしか出ないのか?鑑定したら、ゴブリンはゴブリンでも、ゴブリン・アーチャーやファイターやタンクとか出ている。カズが多いだけではなく、種族が違うのだろうか、もたせた武器で種族名が変わるのか、種族名が変わって、持つ武器が変わったのか、すごく興味がある。検証したい。検証したいが、方法が思いつかない。
棚上げだ。
クソぉスマホがあれば、ToDoリストに追加しておくのに・・・。
考え事をしていたら戦闘が終わっていた。
やはり、ウミとクリスだけでまだ大丈夫なようだ。居住区のダンジョンから学んだ事だが、フロアボスから次のフロアボスまでは、それほど魔物が強くならない。ここだと、5階層ごとに、出てくる魔物が強くなるのだろう。
「あぁぁぁぁぁ!!!そうかぁ!!!」
「え?カズトさん!どうしたの?僕、なにかやっちゃった?」
「あぁ悪い。クリス。カイもウミもライも悪い。考え事していて、前に疑問に思っていた事がわかっただけだ」
「え。なに?カズトさんが疑問に思っていたこと?」
俺は、クリスに説明する事で、自分の考えをまとめる事にした。
ダンジョンが、最下層から、徐々に魔物が強くなっている。これに関して、不思議だった。人や餌になる”物”をおびき寄せて、喰らうモノかと思っていた。それなら、フロアボスをいきなり強くすれば、楽勝なのに、そうなっていない。それどころか、餌が徐々に強くなるようになっている。
そして、1番の疑問だったのが、フロア内に居る魔物たちは、他の魔物が倒された場合に、魔素や魔核を吸収しないのか?という事だ。簡単に強くなれるだろう?実際に、カイやウミやライが強くなっている所を見ている。
そして、人族は魔物に残された魔素を吸収する事ができない。イサークなどの話から素材になるような魔物なら持ち帰るが、そうじゃなければその場に捨てていくと言っていた。その捨てられた、魔物の死骸に残っている魔素はどうなっているのか?
ダンジョンが吸収していたのだろう。そして、吸収した魔素を使って、新たな魔物が生み出される。
もちろん、それだけでは魔素は足りないだろう。”なんらかの方法”で魔素を作り出すか、魔素を調達する手段が有るのだろう。それが、ダンジョンコアの役目なのだろう。
フロアに居る魔物は、魔素が吸収できないから、強くなることも、意識を持つことも、そして、俺たちが何度も実験していた、ダンジョンの魔物をダンジョンの外で飼育する事ができなかったのだ。強くなる必要がないのか、ダンジョンコアとの関係なのかはわからないが、ダンジョンが攻略された時に、ダンジョン内の魔物が意識を持つと言われている事から、ダンジョンコアが魔物を縛っているのだろう。
フロアごとに魔物が産まれるのは、ダンジョンコアが魔物を作っているわけではなく、魔素濃度によって作られる魔物が決まっているのではないかと考えるのが自然なことだ。
よくあるゲームの設定だが、ダンジョンの魔物たちが何を食べているのかではなく、魔物たちは、ダンジョンコアの一部だと考えれば、いろいろ納得できる。
ここまで説明した。
「カズトさん」
「なに?」
「それ・・・一部は、コルッカ教が既に公表している内容ですよ?」
「は?え?そうなの?」
「はい・・・ダンジョンの攻略後の話と、魔物が魔素を吸収しているとかは、知っているかはわからないけど、ダンジョンコアが、魔物を操っている事や、ダンジョンの魔物を連れ出しても、死んでしまう事とかは、一般的にしられている事ですよ?それから、ダンジョン魔物の強さの検証もやっていて、カズトさんが説明してくれた徐々に強くなる事や、フロアボスと同等の強さになっているのも、魔素が関係しているだろうという結論になっていましたよ」
車輪の再開発のような事をしてしまったようだ。ログハウスに帰ったら、コルッカ教に話を聞きに行こう。
うん多分・・・無駄じゃなかったと思いたい。何か、新しい発見が有ったかも知れない。交配実験とか・・・・はぁまぁいいか、楽しかったから・・・。
スキル調整も終わったし、クリスのスキル確認の意味もあるから、ダンジョン探索を開始するか。
『あるじ!』
「ん?どうした?」
『うん。ダンジョン。攻略すると、ダンジョンの魔物たちが溢れるけどどうする?』
「あぁ・・・そんな事を言っていたな。ライ。眷属を呼び出して配置させておく事はできるか?」
『うん。大丈夫だよ。エントやドリュアスも呼んでおく?』
「そのほうがいいだろうな。意識芽生えた魔物なら、話ができるかも知れないからな。それ以外は、狩り尽くしても問題ないだろう。魔物の動きなんかも観察させておいてくれよな」
『わかった!スーンに言っておくね。あと、ヌラやヌルやゼーロも働きたいみたいだけどいい?』
「あぁログハウスが問題なければいいぞ」
『ありがとう。皆で話し合って決めさせるね』
「頼むな」
クリスが不思議そうな顔をしている。
「クリスどうした?」
「ううん。ただ、カズトさん達は、ダンジョンが攻略された時に、何が発生するのか知っていそうだったから不思議に思っただけ」
「ん?」
「だって、ダンジョンを攻略した時に、何が発生するのか調べるつもりだったと思ったから・・・」
「あぁそういう事か、俺たちも、実際に何が起こるのかはわからない。ただ、魔物が意識を持って、ダンジョン・・・元ダンジョンから外に出ようとするだろうとは思っているだけだぞ」
「へぇ・・・そうなの?」
「あぁそうだよ。それよりも、クリス。5階層のボス戦はどうする?見ているか?」
話をそらさないと、納得するまで質問されそうだ。
俺が話をそらせばそれ異常は突っ込んでこないくらいの分別を持っているのはありがたい。
「ウミ姉。スキルの使い方を教えて!」
『いいよ。カイ兄。任せていい?』
『いいですよ5階層だし、まだ余裕が有るでしょうからね。低階層の間に、クリスにはスキルの使い方を覚えてもらいましょう』
「わかった!ありがとう。カイ兄。ウミ姉」
話がまとまったようだな。
ライは、今回もお休みのようだ。バッグから出てくる様子がない。
5階層のボス部屋に入る。うーん。余裕かな?ゴブリンの集団のようだ。クリスを狙ってきているが、結界に阻まれている間に、短槍に炎をまとったもので突かれて倒れていく。
その間、クリスの横で、ウミがスキルを発動させている。
カイは、俺の横で警戒しているに留まっている。
すべてを、ウミとクリスが倒した。
最後の1体も、クリスがスキルを使って倒した。
「カズトさん!」
「あぁうまくできたな」
「うん!」
クリスが抱きついてくる。
今回ばかりは、カイもウミも邪魔しない。抱きしめてやれという事だろう。クリスを抱きしめて、頭をなでてやる。
大きく振られる白いしっぽが見えるのではないかと思うくらいに喜んでいる感情が伝わってくる。
「ウミ。クリスはどんな感じだ?」
『うーん。まだ、無駄が多いかな?それと、魔眼に頼りすぎていて、魔眼で確認してから発動しているから、今くらいの魔物なら大丈夫だけど、魔蟲とかだと苦労する。何回か、結界まで迫られていた』
「えぇウミ姉厳しい・・・でも、そうだよね。まだまだ、僕は強くなれる!」
「あぁそうだな。さて、回収する物だけ回収して、先に進むか」
「カズトさん。ここのゴブリンはどうするの?」
「あぁライ!」
『ん。わかった!』
ライが、バッグから飛び出して、ゴブリンの死骸を収納していく。
階層に降りる。このダンジョンは、居住区のダンジョンと違って、洞窟のような物が続いている。ダンジョンという作りだ。通路の幅という制限が有るので、対峙する魔物の数もそれほど多くない。今の所、最多でも3体だ。これなら、クリスの訓練に丁度いいだろう。
カイも前から下がってきている。クリスと、ウミが、全面に出て、魔物と対峙している。最初は、手間取っていたが、6階層が終わる頃には、だいぶ戦闘にもなれてきたようだ。
「ライ。収納は大丈夫か?」
『うん。まだまだ大丈夫!』
「無理そうなら、ゴブリンとか低位の魔物は吸収するなり、魔蟲に与えていいからな」
『うーん。せっかく、クリスが倒したから、クリスに吸収させたいけど』
「ライ兄。僕、吸収できないから・・・」
そもそも、魔物やハーフが、魔素や魔核を吸収しているなんて話を、イサークたちは知らなかった。リーリアの話では、いろいろ実験しているらしい、アトフィア教もたどり着いていないらしい。
「クリス。魔物倒した時に、魔素が出るらしいけど、見えるか?」
「うーん。次見てみる」
「あぁ頼む」
俺の推測が当たっていれば、人族も魔素の吸収ができる事になる。
そうでないと、ダンジョンに潜ったり、ブルーフォレストで魔物を狩って、体力や魔力が上がる事の説明が難しい。
次の魔物はすぐに見つかった。
クリスの魔眼で、魔力の流れを調べる事ができるのは解ってきている。それと同じ要領で、魔力の塊が有る場所を探させたら、ゴブリンが溜まっている部屋が見つかった。モンスターハウスの様になっている。部屋の入口部分は大丈夫だが、中に入ると、20体近いゴブリンが襲ってくるようになっているようだ。
皆で突撃して、あっさりとゴブリン共を倒す事ができた。この程度の魔物では苦労はしない。
「クリス。ゴブリンたちが倒れた後の魔力はどうなっている?」
「え?あっうん」
今まさに倒されたゴブリンにクリスが集中する。
「あ!え?」
クリスが見えている物を説明する。
ゴブリンが倒されると、死骸から、魔力が漏れ出す。全部ではなく、一部のようだ。その一部が、空中を漂って、俺やカイやウミやライに吸い込まれていくように入っていった。ダンジョンの壁にも一部吸い込まれていったようだ。
近くに居た者が多いのかわからないと言っている。次は、量に関しての考察だな。
でも、やはりというか、想像していたとおりだ。
そして、ゴブリンの死骸の中に残った魔力が固まっていれば、魔核やスキルカードになるし、そこまでの量がなければ、徐々に溢れ出て行くだけなのだろう。
俺が、一般的な人族と同じかは置いておくとして、人族でも魔素を吸収できる事が解った。魔核の吸収ができるかどうかはわからない。リーリアやオリヴィエ辺りと話をすればやり方が見えてくるかも知れない。クリスに、魔核の吸収を見せるのも1つの方法かも知れない。
まだまだ、俺は強くなれる、安全に過ごせる様になる方針が見つかったのは嬉しい事だ。
「クリス。次は、魔物から出た魔素を意識して、取り込むようにしてみろ」
「わかった!」
魔素と吸収に関して、調べる方向性が決まったから、ダンジョン攻略を進める事にする。
次の休憩は、10階層のボス部屋前のセーフエリアとした。
このダンジョンは、1つのフロアがそれほど広くない。イサークたちが言っていたとおりだ。
最下層はわからないが、イサークたちが攻略したと言っていた階層までなら、さほど苦労なく行けそうだ。クリスの魔眼だよりだが、道も迷わないで行ける。無理に魔物を倒さないで、最短ルートを進むように切り替えた。
魔素の吸収に関しても、だいぶわかってきた。
この世界には、ギルドで、パーティー申請を行う事ができるようだが、今回俺たちはそれをしていない。クリスと俺はソロでダンジョンに入っている事になる。パーティーがどんな権能を持っているのかは、後日仕組みと合わせて調べる事にして、クリスにスキルを使わせて、熟練度を上げる事に集中する。
クリスが言うには、意識して魔素を多く取り込むのはできないようだ。取り込もうとしても、素通りしたり、飛散してしまうようだ。
10階層のセーフエリアに到着した。
「クリス。体力や魔力は大丈夫か?」
「うん。僕、疲れていないよ。スキル回復があるからなのか、本当に疲れない」
「そうか、疲れていないのなら、いいよな。カイ。ウミ」
カイとウミは、わかっているのか、俺の膝の上で丸くなった。
「クリス。立っていないで、座れよ。10分くらい休んだら、ボス部屋に入るからな」
「え?あっうん。ねぇカズトさん。僕がつかれたと言ったらどうしたの?」
「あぁライから、布団を出してもらって、一眠りしようとは思っていたけどな、今このダンジョンには、俺たちしか居ないから、寝ていても大丈夫だろう?」
「え?お布団?」
「あぁライが持っているからな」
『うん。あるじのお布団を持っているよ!』
「え?カズトさんが使っているお布団?」
「あぁライ。他は持ってきているか?」
『ううん。リーリアにあずけてある。リーリアが、あるじのだけ持っていけば大丈夫と言ったからそうした』
「リーリア・・・。まぁいいか?だってよ・・・どうした?クリス?」
つらそうな顔をしているが、口元が緩んでいる。
「はい。はい。疲れたフリしなくていいからな。サラトガのダンジョンも、だんだん狭くなっていくらしいからな。少し休んだら、攻略を始めるぞ」
「・・・うん!でも、次の休憩では、お布団で休みたい」
「わかった。わかった。次は、20階層のセーフエリアまで一気に行くからな」
「わかった!」
「カイ。ウミ。大丈夫だよな?」
『主様。30階層でも大丈夫です』『うん。カズ兄。手応えがないから、早く進もう!』
そうだな。
結局、まだウミとクリスだけで進めているからな。
「そうだな。カイかライが参戦するようにならなければ、30階層を目指してみるか?」
「え?」
『かしこまりました』『わかった。クリス。頑張るよ!』
ライは、バッグの中でおとなしくしているようだ。
10階層のボスも、ゴブリンだった。
このダンジョンは、ゴブリンしか出ないのか?鑑定したら、ゴブリンはゴブリンでも、ゴブリン・アーチャーやファイターやタンクとか出ている。カズが多いだけではなく、種族が違うのだろうか、もたせた武器で種族名が変わるのか、種族名が変わって、持つ武器が変わったのか、すごく興味がある。検証したい。検証したいが、方法が思いつかない。
棚上げだ。
クソぉスマホがあれば、ToDoリストに追加しておくのに・・・。
考え事をしていたら戦闘が終わっていた。
やはり、ウミとクリスだけでまだ大丈夫なようだ。居住区のダンジョンから学んだ事だが、フロアボスから次のフロアボスまでは、それほど魔物が強くならない。ここだと、5階層ごとに、出てくる魔物が強くなるのだろう。
「あぁぁぁぁぁ!!!そうかぁ!!!」
「え?カズトさん!どうしたの?僕、なにかやっちゃった?」
「あぁ悪い。クリス。カイもウミもライも悪い。考え事していて、前に疑問に思っていた事がわかっただけだ」
「え。なに?カズトさんが疑問に思っていたこと?」
俺は、クリスに説明する事で、自分の考えをまとめる事にした。
ダンジョンが、最下層から、徐々に魔物が強くなっている。これに関して、不思議だった。人や餌になる”物”をおびき寄せて、喰らうモノかと思っていた。それなら、フロアボスをいきなり強くすれば、楽勝なのに、そうなっていない。それどころか、餌が徐々に強くなるようになっている。
そして、1番の疑問だったのが、フロア内に居る魔物たちは、他の魔物が倒された場合に、魔素や魔核を吸収しないのか?という事だ。簡単に強くなれるだろう?実際に、カイやウミやライが強くなっている所を見ている。
そして、人族は魔物に残された魔素を吸収する事ができない。イサークなどの話から素材になるような魔物なら持ち帰るが、そうじゃなければその場に捨てていくと言っていた。その捨てられた、魔物の死骸に残っている魔素はどうなっているのか?
ダンジョンが吸収していたのだろう。そして、吸収した魔素を使って、新たな魔物が生み出される。
もちろん、それだけでは魔素は足りないだろう。”なんらかの方法”で魔素を作り出すか、魔素を調達する手段が有るのだろう。それが、ダンジョンコアの役目なのだろう。
フロアに居る魔物は、魔素が吸収できないから、強くなることも、意識を持つことも、そして、俺たちが何度も実験していた、ダンジョンの魔物をダンジョンの外で飼育する事ができなかったのだ。強くなる必要がないのか、ダンジョンコアとの関係なのかはわからないが、ダンジョンが攻略された時に、ダンジョン内の魔物が意識を持つと言われている事から、ダンジョンコアが魔物を縛っているのだろう。
フロアごとに魔物が産まれるのは、ダンジョンコアが魔物を作っているわけではなく、魔素濃度によって作られる魔物が決まっているのではないかと考えるのが自然なことだ。
よくあるゲームの設定だが、ダンジョンの魔物たちが何を食べているのかではなく、魔物たちは、ダンジョンコアの一部だと考えれば、いろいろ納得できる。
ここまで説明した。
「カズトさん」
「なに?」
「それ・・・一部は、コルッカ教が既に公表している内容ですよ?」
「は?え?そうなの?」
「はい・・・ダンジョンの攻略後の話と、魔物が魔素を吸収しているとかは、知っているかはわからないけど、ダンジョンコアが、魔物を操っている事や、ダンジョンの魔物を連れ出しても、死んでしまう事とかは、一般的にしられている事ですよ?それから、ダンジョン魔物の強さの検証もやっていて、カズトさんが説明してくれた徐々に強くなる事や、フロアボスと同等の強さになっているのも、魔素が関係しているだろうという結論になっていましたよ」
車輪の再開発のような事をしてしまったようだ。ログハウスに帰ったら、コルッカ教に話を聞きに行こう。
うん多分・・・無駄じゃなかったと思いたい。何か、新しい発見が有ったかも知れない。交配実験とか・・・・はぁまぁいいか、楽しかったから・・・。
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地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
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勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
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HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
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元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
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