おちゆく先に

目日

文字の大きさ
5 / 126

5話

しおりを挟む
 翌日、朝から組合には寄らずに外へ出るために大通りを歩いて門に向かう、行き先は草原だ。
 メイルの周りにある草原は草木があまり高くなく滅多に奇襲されることがないため、初心者にとっては大切な狩場である。

 朝早いこともあってか門にはそれ程列はできてなくすんなり外に出ることができた。
 それから暫く警戒しながら数キル程歩いていると茶色い毛皮で頭頂部に立派な緑色のトサカをもつ1匹の魔物が草むらから飛び出てきた。完全に色の違うニワトリである。
 「うお!」
 いきなり飛び出てきた鳥の魔物に驚き尻もちをついてしまった。そんな俺を馬鹿にしているのか、
 「クケェエエ!」
 と一鳴きしてから鳥の魔物はここぞとばかりに嘴でつつこうとしてきた。そのため、なかなか立ち上がれない。
 「くっそ!」
 ジグレイドは焦りながらも鳥の魔物がつつこうと首を後ろに引いたときに手に持っていた槍で牽制(振り回しただけ)した。
 「おらっ!」
 “ザシュ”控えめな音がしたので鳥の魔物を見てみると、運よく鳥の魔物の顔に短槍が掠っていた。

 この鳥の魔物は主に初心者が狩る魔物でありほとんど動物と変わらないため短槍で少し傷つけただけですぐに逃げていってしまった。
 鳥の魔物のあまりの逃げっぷりに唖然とするが、すぐ我に返り、
 「あー、情けない!」
 あまりの無様さに手に持っていた短槍を地面に叩きつけたくなるがすんでのところで我慢した。
 武器は大切にしろって武器屋のおっさんに言われたしな。内心は未だにイライラしていたが逃がしてしまったのはしょうがないと無理やり考え気持ちを入れ替えるが、もう魔物狩りって気分ではなくなってしまっていたため街に帰ることにした。

 こうしてジグレイドの初戦闘は苦い形で終わった。
 
 魔物は動物と違って体内に魔力を持っており、その魔力量によって強さが違う生き物である。弱い魔物だと子供でも倒すことができるが、長年生きた強い魔物は一国の軍でも簡単に蹂躙できる強さをもつと云われている。

 ジグレイドはこの1年ひたすらメイル近郊の森や草原で薬草採取ばかりをしていた。うまく採取すれば初心者にとってはいい稼ぎになるためである。
 ジグレイド自身は採取に出た際、たまに出る魔物を相手に倒してはいたが、あまり強くはなっていないと思い込んでいた。
 だが薬草を採取しつつ魔物とも戦うという普通はパーティーで分担することを1人でこなしていたため気配察知や身体能力が大幅に上がっていた。

 「ジグ君また薬草採取?」
 少しだけ呆れた感じをだしつつそう聞いてきたのは組合の受付嬢のお姉さんことミルファ・ロッフェンさんだ。この1年でなんとか名前を聞き出せたのだ。人付き合いの苦手な俺からしたらかなり進歩したはずだ。
 それにこの1年で色々変わった。まず武器が鉄製になったのだ。そのお値段、銀貨50枚!実に高い。
 そのせいか未だに銅貨3枚のボロ宿に泊まっている。
 身長も伸びた160くらいあるんじゃなかろうか。1日2食ちゃんと食べれば身長も伸びるよな。
 俺は身長が伸びたけど未だに短槍を使っている。意外と短槍って森の中でも振り回せるし使いやすいんだ。
 おっと、そろそろ回想をやめねば!ミルファさんがジト目で睨んでいらっしゃる・・・。
 「そうですよ、でもそろそろ薬草採取メインは終わりですかね。目標金額貯まったので」
 「やっと貯まったのですね。これで組合員らしい姿になり、魔物との戦闘で怪我しにくくなりますね」
 ミルファさんは安堵しながらそう言ってくれる。俺はこの1年で少なからず重症ではないが怪我を負っていたため、ミルファさんに防具を揃えないと一流になる前に怪我で引退する羽目になりますよ。と助言を受けていたのだった。

 早速防具を買いにいく。今回買うのは皮の防具と盾である。
 防具屋ではつまみ出されるといった出来事もなく皮の防具と盾を買うことができた。
 防具の方は【クック】という魔物の皮を使ったものだ。クックというのは主に草原に生息している鳥の魔物だ。そう!あの忌々しい鳥の魔物である。この1年の間にちゃんとリベンジは果たしてはいるのだが、やはり憎いことは憎いのだ。
 そして盾の方はラウンドシールドといって直径40くらいの丸い盾だ。いろいろな形の盾を持ってみたが1番しっくりきたのがこの鉄の丸盾だった。これも鉄製!お金に余裕があるって素晴らしい!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...