おちゆく先に

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41話

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 おっさんの鍛冶屋からジグレイドは一週間ひたすら引きこもり生活により鈍りまくった身体を元に戻そうと訓練していた。

 「全然だめだ・・・一週間程度じゃ元には戻らないか。できれば万全の状態で新しい装備を身につけたかったがこればっかりは仕方ないな」
 今まで休憩していたジグレイドはため息を吐きつつ立ち上がった。

 「さて、行くか」



 鍛冶屋に着いたジグレイドは中に入った途端固まった。

 「おい、まさかとは思うがまたあの床を持ち上げないといけないのか?おい、おっさん!開けてはくれないのか!?」
 だが無情にも返事はない。ただ目の前に例のボタンが置いてある机があるのみ。

 ジグレイドは深くため息を吐きボタンを押した後、身体強化魔法を使い乱暴に床を持ち上げた。


 地下に降りたジグレイドはどこにおっさんがいるのか分からないので声を掛けてみた。
 「おっさーん、どこだー?」すると少し離れたところで土の壁が動いた。

 「お、やっと来たか!装備なら完璧だぞ!着いてこい」
 「本当にここはビックリ地下空間だな。まさか土の壁が回転するとは思わなかったよ」
 「ガハハ、自慢の家だからな!まだまだ隠し部屋はあるぞ!もちろん隠し通路もな!」
 最後の言葉にジグレイドは何かが引っ掛かった。
 「なあおっさん一つ聞いていいか?まさかとは思うがあの床持ち上げなくてもこの地下空間に来れるんじゃないのか?」
 「うん?当たり前だろうが!あんな床お前さん以外の人族には開けられんぞ。そもそも客用の通路教えただろう?・・・ん?教えたよな?」
 「・・・。」
 無言で見詰めるジグレイドにおっさんはダラダラと汗を流しはじめた。
 「ガハハハハ、すまん!忘れ取ったわ!お前さんまたあの床を持ち上げてきたのか、すまんの!」
 ジグレイドは深くため息を吐き
 「もういいよ・・・早く新しい装備を見せてくれ」
 力なく項垂れておっさんを急かすのだった。



 お試し用の地下部屋に連れてこられたジグレイドは目の前に飾られた銀灰色の装備を見つけた。
 「おー、これが俺の新しい装備か・・・」
 少し禍々しいがあの災厄の魔物を使った装備なのだから仕方ないだろう。

 「おう、早速着てみてくれ。最後の調整するからよ。あ、そうそうそのシャツとズボンを装備の下に着てくれ」
 言われた通りに手早くシャツとズボンを着替えてからグリーブ、鎧、篭手、最後にヘルムを身に着けた。

 「おー、ピッタリですね。しかもかなり軽い。これなら長時間の移動も楽になりますね」
 「ふむ、ちと調整が必要だな。ここをこうして・・・これでどうだ?ちと動いてみろ」

 軽くストレッチのような動きをしてジャンプしてみるが、金属鎧のガシャガシャという音は全くと言っていいほど鳴らなかった。

 「すごいですね!軽い上に音も鳴らないなんて!最高の鎧ですよ!」
 興奮気味に捲し立てるジグレイド
 「ガハハハ、それがこの合金のいい所でもあるからな!しかも素材が極上だからな、軽いし音も鳴らない、そしてなんといっても丈夫だ!そんじゅそこらの攻撃を受けても傷一つつかねーぞ。こっちも試しに使ってみろ」

 渡されたのは例の短槍と丸盾であった。短槍は黒に近い灰色になっていて、盾は何故か真っ黒になっていた。
 「な、なんか黒くなってません?合金って銀灰色なんですよね?」
 「なわけないだろう、配合によって変わるぞ。槍の方はヒュドラの牙とウーツ鋼の合金を穂先にして、柄はヒュドラの骨とウーツ鋼との合金でできとる。盾はヒュドラの鱗、骨、角とウーツ鋼の合金だ!盾はヒュドラの素材を多く使ったから黒くなっておるんだろうな」

 「随分大盤振る舞いですね・・・本当に金貨300枚でいいのですか?」
 大量のヒュドラの素材を使用していることに気づいたジグレイドは怖くなって尋ねてみた。
 「ガハハハ、言っただろう?儂は金には困っとらん!それに残り短い余生に金はもう必要ないんじゃ!それに将来有望な若者に安くいい装備を提供するのが儂の趣味みたいなもんなんじゃ、気にするでない!ほれ、さっさと試してみろ!」
 ジグレイドはおっさんに感謝しつつそんな装備を復讐に使おうとしていることに罪悪感を覚えたのだが、『すべてが終わってから謝りに来て怒られよう』と思い試し振りをし始めた。

 「どうじゃ?違和感のあるとこはあるか?なんでも言え、調節してやるぞ」
 何から何まで完璧主義?のドワーフ
 「いえ、全く違和感ないですね。こんなにしっくりきた装備は初めてですよ!この盾も素晴らしいですね!」
 大絶賛のジグレイドにおっさんは満足そうな笑みを浮かべて
 「ガハハハハ、なら儂の仕事はここまでじゃな!その装備でお前さんが何をなしても何も言わんお前さんの思うように生きろ!それが儂の言える唯一の言葉だな・・・ただ弱者を一方的に痛めつけるようにはなってほしくはないがの」
 最後に少し寂しそうに笑いながらそう言うとお代も受け取らずに部屋から出て行ってしまった。

 「え?おっさん・・・?」
 『まさか目的が復讐だとすでにバレている?』と思いジグレイドは呆然と立ち尽くすがすぐに立ち直り、おっさんが出ていった方へと深く頭を下げた。

 それから近くに置いてある机に金貨300枚が入っている皮袋を置き外へと歩き出したのだった。
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