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54話
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前回一人で深緑の森に来たときと同様に今回も深緑の森の手前で一旦夜営をして、翌日の朝、置いていく馬の世話などを待機する団員に任せてから深緑の森へと足を踏み入れた。
「ジグレイドさん深緑の森ってこんなに不気味な感じがするのですか?も、もう敵に囲まれたりしてないですよね?」
ジグレイドにそう尋ねてくるのは170の長身を丸めて大げさに怖がっているアイリーンだ。
「大丈夫だ、敵は今のところいない。それに深緑の森は前もこんな感じだったはずだ」
「アイリーンはビビりだからな!待機組の方に選ばれたかったんだろ?」
ニヤニヤしながら会話に混ざってきたのは若干お調子者の感じのするファマルである。
「さ、さすがに少しだけ怖がりな私でも公私混同はしませんよ!精鋭に選ばれたからにはちゃんと任務を完遂します!」
言っていることは素晴らしいことなのだが、如何せん足が震えているのが丸わかりだし、何よりも魔術用の杖を本来の用途とは違って身体を支えるための杖として使いながら歩いているので説得力がないのである。
「そんなに大きな声で話していると本当に魔物が寄ってくるぞ」
流石にこのまま大声で会話されては堪らないので、少し脅しをかけておくつもりの一言だったのだが、少しアイリーンには脅しが効きすぎたようで、
「ひ、ひぃぃいいい!ファマルさんもうビビりでいいので喋らないでくださいぃぃ・・・」
悲鳴を上げながらジグレイドの背に隠れてしまった。
「アイリーンさん動きにくいので離れてください」
ジグレイドは基本女性には優しいのだが、こういう馴れ馴れしい女性には何故か優しく接しようと思えなかった。
「うぅ・・・ジグレイドさん中々の鬼畜さんですね」
キョロキョロと周囲を見回しながら先程より少しだけ離れた位置でそんなことを言ってくる。
「イクシムさん先頭変わりましょうか?」
少し鬱陶しくなってきたので先頭で歩いているイクシムに話し掛ける。
「いいのか?変わってもらえると俺は楽だが・・・では先頭をお願いしよう」
振り向いてすぐにジグレイドの状況を判断したのか、何も言わずに交代してくれた。
「えぇー、ジグレイドさん先頭に行くのですか?私を置いて行ってしまうのですか?」
なおもアイリーンはジグレイドに話し掛けているが、すでにジグレイドは無視することに決めたのか反応すらせずに先頭へと駆け足で行ってしまった。
「ぷっ、あはははは!アイリーン無視されてやがるぜ!見たところジグレイドはお前みたいなタイプは苦手みたいだからな!仕方ねーよ!」
無視されたアイリーンを盛大に笑ったのはギースだ。
「ちょ、ギースさん!大声は禁止です!魔物が襲ってくるじゃないですか!それにジグレイドさんは恥ずかしがり屋なだけです!」
「必死過ぎて笑い死にしそうだぜ!すでに婚期を逃しているから仕方ないのか!?あはははは!」
「ちょ!?私はまだまだ若いですよ!?何を言っているのですか!?」
アイリーンは現在31歳である。
この世界では基本成人(15歳)してからすぐに結婚するのが普通であり、31歳のアイリーンはすでに行き遅れと言われても間違いではないが、本人はそれを認めたくないのであろう。
「はぁ・・・団長さんよ、いつもこんな感じなのか?こんなんじゃ中層では守り切れる自信はないぞ」
「・・・ごめん」
「いや、カリーナを責めているわけではないんだが」
「一回襲われれば大人しくなる・・・たぶん」
「そう願うしかないか・・・」
二人は後方で騒ぐ団員たちの様子にため息を吐きながら先頭を黙々と歩くのだった。
前回同様に浅層では魔物に襲われることなく野営地に適した少し森の開けた場所を見つけることができた。
前回ジグレイドが寝ていた場所はあくまで一人用のうろだったので、新しい場所を探す必要があったのだ。
「ここで今日は夜営になる。そこで交代制で見張りをしようと思う。この道具の中の砂が下に落ちきったら交代だ。見張りは二人一組でしてもらう。そこで最初の見張りに志願する人はいるか?いないのなら勝手に決めるが」
「ジグレイド君、私は2番目か3番目の見張りに志願しよう」
「途中の見張りは辛いですよ?それでもいいのならフルクトスさんにお願いします」
「もとよりそのつもりだ。私のような老人には睡眠はあまり必要ないのでな」
「分かりました。そうであっても長期間の探索になるはずですからしっかり休んでください。では今日は2番目の見張りをお願いします」
「了解した」
フルクトスは50歳の人当たりの良い初老の男性だ。この年齢まで現役で魔法師団に所属できているというだけでもすごいことである。
「ジグレイドさん、女性には睡眠って大事だと思うのよ。だから女性は最初か最後がいいと思うな」
こんな魔物が蔓延る戦場にいるというのに平然とそんなことを言ってきたのはもちろんアイリーンだ。
そんなアイリーンにジグレイドはため息で返事をした。
フルクトス以外は何も言わないので、カリーナに決めてもらうことにしたのだが、順番をすでに決めていたのかすぐに指でさして順番を示した。
1番目“ファマル、アイリーン”
2番目“フルクトス、ギース”
3番目“ジグレイド、カリーナ”
4番目“イクシム、メマ”
この順番にアイリーンは希望通りなのにも関わらず不満そうだったが何も言わなかった。
それから簡単な食事を終えて各々明日に備えて見張り以外は就寝した。
何事もなかったのか見張りの順番で起こされた。
カリーナはすでに起きていたようで、焚き火の前にちょこんと座っていた。
そんなカリーナに一言二言話し掛けてからジグレイドは周囲を確認しに行った。
念の為に周囲を2周してみたが何の問題もなかったので焚き火まで戻ると、カリーナがコクコクと頭を揺らしながら寝ていた。
『おいおい、寝ているのかよ。まぁ問題が起きなかったしいいか・・・』と内心で思いつつそのまま放置しておいた。
時間を計る道具の砂が残り少しといったところでカリーナは目を覚ました。
「なぜ?」
「最初の言葉がそれかよ。別にいいだろ?カリーナが寝ていても俺が見張っていたからな。それに森を歩くには慣れが必要だからな。カリーナはまだ慣れてないだろ?だから多少寝ていても問題が起きない限りは気にしないさ。さすがに毎日なのは困るが」
「ありがとう・・・」
ジグレイドは俯きながらお礼を言ってくるカリーナを何故か直視できなかった。
後の見張りの間も魔物は出てこなかったようで無事に全員で朝を迎えることができた。
「ジグレイドさん深緑の森ってこんなに不気味な感じがするのですか?も、もう敵に囲まれたりしてないですよね?」
ジグレイドにそう尋ねてくるのは170の長身を丸めて大げさに怖がっているアイリーンだ。
「大丈夫だ、敵は今のところいない。それに深緑の森は前もこんな感じだったはずだ」
「アイリーンはビビりだからな!待機組の方に選ばれたかったんだろ?」
ニヤニヤしながら会話に混ざってきたのは若干お調子者の感じのするファマルである。
「さ、さすがに少しだけ怖がりな私でも公私混同はしませんよ!精鋭に選ばれたからにはちゃんと任務を完遂します!」
言っていることは素晴らしいことなのだが、如何せん足が震えているのが丸わかりだし、何よりも魔術用の杖を本来の用途とは違って身体を支えるための杖として使いながら歩いているので説得力がないのである。
「そんなに大きな声で話していると本当に魔物が寄ってくるぞ」
流石にこのまま大声で会話されては堪らないので、少し脅しをかけておくつもりの一言だったのだが、少しアイリーンには脅しが効きすぎたようで、
「ひ、ひぃぃいいい!ファマルさんもうビビりでいいので喋らないでくださいぃぃ・・・」
悲鳴を上げながらジグレイドの背に隠れてしまった。
「アイリーンさん動きにくいので離れてください」
ジグレイドは基本女性には優しいのだが、こういう馴れ馴れしい女性には何故か優しく接しようと思えなかった。
「うぅ・・・ジグレイドさん中々の鬼畜さんですね」
キョロキョロと周囲を見回しながら先程より少しだけ離れた位置でそんなことを言ってくる。
「イクシムさん先頭変わりましょうか?」
少し鬱陶しくなってきたので先頭で歩いているイクシムに話し掛ける。
「いいのか?変わってもらえると俺は楽だが・・・では先頭をお願いしよう」
振り向いてすぐにジグレイドの状況を判断したのか、何も言わずに交代してくれた。
「えぇー、ジグレイドさん先頭に行くのですか?私を置いて行ってしまうのですか?」
なおもアイリーンはジグレイドに話し掛けているが、すでにジグレイドは無視することに決めたのか反応すらせずに先頭へと駆け足で行ってしまった。
「ぷっ、あはははは!アイリーン無視されてやがるぜ!見たところジグレイドはお前みたいなタイプは苦手みたいだからな!仕方ねーよ!」
無視されたアイリーンを盛大に笑ったのはギースだ。
「ちょ、ギースさん!大声は禁止です!魔物が襲ってくるじゃないですか!それにジグレイドさんは恥ずかしがり屋なだけです!」
「必死過ぎて笑い死にしそうだぜ!すでに婚期を逃しているから仕方ないのか!?あはははは!」
「ちょ!?私はまだまだ若いですよ!?何を言っているのですか!?」
アイリーンは現在31歳である。
この世界では基本成人(15歳)してからすぐに結婚するのが普通であり、31歳のアイリーンはすでに行き遅れと言われても間違いではないが、本人はそれを認めたくないのであろう。
「はぁ・・・団長さんよ、いつもこんな感じなのか?こんなんじゃ中層では守り切れる自信はないぞ」
「・・・ごめん」
「いや、カリーナを責めているわけではないんだが」
「一回襲われれば大人しくなる・・・たぶん」
「そう願うしかないか・・・」
二人は後方で騒ぐ団員たちの様子にため息を吐きながら先頭を黙々と歩くのだった。
前回同様に浅層では魔物に襲われることなく野営地に適した少し森の開けた場所を見つけることができた。
前回ジグレイドが寝ていた場所はあくまで一人用のうろだったので、新しい場所を探す必要があったのだ。
「ここで今日は夜営になる。そこで交代制で見張りをしようと思う。この道具の中の砂が下に落ちきったら交代だ。見張りは二人一組でしてもらう。そこで最初の見張りに志願する人はいるか?いないのなら勝手に決めるが」
「ジグレイド君、私は2番目か3番目の見張りに志願しよう」
「途中の見張りは辛いですよ?それでもいいのならフルクトスさんにお願いします」
「もとよりそのつもりだ。私のような老人には睡眠はあまり必要ないのでな」
「分かりました。そうであっても長期間の探索になるはずですからしっかり休んでください。では今日は2番目の見張りをお願いします」
「了解した」
フルクトスは50歳の人当たりの良い初老の男性だ。この年齢まで現役で魔法師団に所属できているというだけでもすごいことである。
「ジグレイドさん、女性には睡眠って大事だと思うのよ。だから女性は最初か最後がいいと思うな」
こんな魔物が蔓延る戦場にいるというのに平然とそんなことを言ってきたのはもちろんアイリーンだ。
そんなアイリーンにジグレイドはため息で返事をした。
フルクトス以外は何も言わないので、カリーナに決めてもらうことにしたのだが、順番をすでに決めていたのかすぐに指でさして順番を示した。
1番目“ファマル、アイリーン”
2番目“フルクトス、ギース”
3番目“ジグレイド、カリーナ”
4番目“イクシム、メマ”
この順番にアイリーンは希望通りなのにも関わらず不満そうだったが何も言わなかった。
それから簡単な食事を終えて各々明日に備えて見張り以外は就寝した。
何事もなかったのか見張りの順番で起こされた。
カリーナはすでに起きていたようで、焚き火の前にちょこんと座っていた。
そんなカリーナに一言二言話し掛けてからジグレイドは周囲を確認しに行った。
念の為に周囲を2周してみたが何の問題もなかったので焚き火まで戻ると、カリーナがコクコクと頭を揺らしながら寝ていた。
『おいおい、寝ているのかよ。まぁ問題が起きなかったしいいか・・・』と内心で思いつつそのまま放置しておいた。
時間を計る道具の砂が残り少しといったところでカリーナは目を覚ました。
「なぜ?」
「最初の言葉がそれかよ。別にいいだろ?カリーナが寝ていても俺が見張っていたからな。それに森を歩くには慣れが必要だからな。カリーナはまだ慣れてないだろ?だから多少寝ていても問題が起きない限りは気にしないさ。さすがに毎日なのは困るが」
「ありがとう・・・」
ジグレイドは俯きながらお礼を言ってくるカリーナを何故か直視できなかった。
後の見張りの間も魔物は出てこなかったようで無事に全員で朝を迎えることができた。
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