おちゆく先に

目日

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60話

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 そして更に36日が過ぎて、深緑の森に入って49日目

 「もう深層にあるんじゃねーか?」
 このギースの言葉を発するのはここ数日で日に日に増えていた。言いたくもなるのだろうずっと在るかもわからない敵の拠点を探しているのだ。
 「だが深層の探索は任務にはないと団長が仰っている」
 「分かってるけどよ・・・このまま中層の探索してても時間お無駄なような気がしてよ・・・」
 「そのことは団長も頭を抱えてらっしゃる、あまり言うでない。我々では深層の魔物に対処できないだろう?」

 事実ここ数日、カリーナはジグレイドと二人で頭を抱えていた。
 「そろそろ帰還しないといけない時期だよな?」
 「ん、そうなる」
 「今日は単独行動していいか?ちょっと深層に行ってきて魔物の素材を調達しないといけないし」
 「一緒にいく」
 「駄目だ、深層の魔物相手だとカリーナを守り切れない!」
 「大丈夫・・・」
 そう言ったカリーナだったが頭に過ったのは中層で遭遇した深層の魔物との戦闘だった。ジグレイドが庇ってくれなければ自分は死んでいたことを思い出したのだ。

 「カリーナ、お願いだから皆とここにいて休息していてくれないか?」
 「・・・わかった」
 自分が足手纏いになっていることが悔しいのかカリーナは小さい手を握りしめて悔しさを必死に我慢していた。
 「よかった、なら今日は休息日だと他の連中に伝えてくるよ」
 「・・・お願い」


 カリーナの元を離れたジグレイドはまずフルクトスに話し掛けた。
 「フルクトスさんちょっといいですか?」
 「なんだ?頼み事か?」
 「頼み事ではないですね。報告というか伝言です。今日は休息日という事になりましたので皆に伝えてもらえますか?」
 「うむ、分かった。しっかりと伝えよう。しかしジグレイド君はどこかに行くようだな」
 「はい、ちょっとオルトレイム公爵閣下からの依頼がありまして・・・」
 「なるほど、だが我らよりも体力があるからと言っても休息は大事だぞ?」
 「はい、なにも今日一日帰らないわけではありませんから、ではいってきますね。伝言お願いします」

 ジグレイドが深層へと向かった後、魔法師団の拠点では歓声が上がったとか・・・。



 深層に訪れたジグレイドは獲物を探していた。加工しやすく更に散布しやすい素材をもつ魔物などそうそういない。中層で遭遇したヒュージビスカプリズムは比較的散布しやすい素材であるが、加工が難しそうである。だが最悪あの素材をそのまま散布すれば何とかなりそうな予感はするので、ジグレイドはあの巨大な魔物を探しているのであった。
 しかし探し始めると目的の魔物は出てこずに違う魔物ばかりに遭遇する。
 例えば、この今倒したばかりの堅牢な外皮をもつロバストリノや先程見かけた名前の分からない巨大な亀の魔物とかにしか出会わない。とにかく出会う魔物は皆重く持ち運びの不便な素材にしかなりそうにない魔物なのだ。
イライラしながらもジグレイドは深層で探し続ける。漸く持ち運びが簡単そうな魔物を見つけたのは日が落ち始めた頃だった。

 「やっと見つけた・・・さっさと倒して素材を持ち帰ろう」
 ジグレイドが見つけた魔物はインジェクトヘッジホッグという刺々しい魔物であった。
 この魔物は全身に太い針を生やしていて敵への攻撃や自分の縄張りの主張のために針を飛ばす習性のある魔物であった。まさに今回に必要な素材に相応しい魔物であるのだ。

 「疲れているんだ、逃げようとするなよ」
なぜこの魔物が深層の魔物にも関わらずジグレイドを見るや否や逃げ出そうとしたのかというと、このインジェクトヘッジホッグの攻撃方法にあった。その攻撃方法は強力な毒を含んだ針を使い体当たりや針を飛ばすことまでするのだ。よってこの魔物は毒の気配もしくは濃度には非常に敏感なのだ。ジグレイドが発する毒は世界一強力とも言われるヒュドラの毒である。そんな毒の気配のする敵が近寄ってきたら、もちろん一目散に逃げだすだろう。この魔物もすぐに逃げ出そうとしたのだが、すでに回り込まれていた。回り込まれていたという事はジグレイドが近くを通ったという事であり、深層の魔物が反応できない程の速さで動くために全力で強化しているということになる。全力で強化しているという事はもちろん猛毒の領域が発動しているということである。回り込まれた時が付いた時にはすでに猛毒が襲い掛かっており、深層の魔物といえどもものの数秒で息絶えた。

 戦闘にもならずに倒し終えたジグレイドは手際よく魔物を捌き必要な毒腺と極太の針をあるだけ持ち帰ることにした。
 帰りに襲われることを想定したが、めんどくさいので猛毒を常時拡散させておけばいいかと考えた。
 これがある事件を引き起こすことになるのだが、ジグレイドは気づかないまま拠点へと帰ってしまった。

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