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59話
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深緑の森に入って五日目
昨日は野営地に到着したのが暗くなってからという事もあり、全員すぐに寝ていた。
なぜ見張りをしていないのかというと、この野営地は大きな岩の中なのだ。流石に荷馬車を入れることはできないが。岩の中ということは土魔法で入り口をある程度塞いでしまえば魔物の心配は殆どいらなくなるのである。
そして空気穴から朝日が差し込んできた。
「もう朝か・・・」
ジグレイドが目を覚ました時には魔法師団の面々はまだ寝ていたので一人で外に出るために音を立てないように壁を少しだけ壊した。
少しだけ“ガラガラ”と音が鳴ったが誰も起きなかったようだ。なんとも不用心である。
ジグレイドは外に出て朝のストレッチを行ってから近くの水場に行くことにした。
「ふー・・・やっぱり水が自由に使えるのはいいな」
ある程度身体の汚れを落とし終えたジグレイドはそのまま川で魚を取ることにした。テンドレオンの伸縮紐付きの短剣をじっと構えて魚が来るのを待った。・・・そして魚がジグレイドの近くまで泳いできた時に手に持った短剣を魚目掛けて投擲した。
投擲した短剣は魚の首筋に突き刺さり一瞬で絶命した。その魚を紐で手繰り寄せて次の獲物に狙いを定めることを7回ほど繰り返した。もちろん釣れた?魚も7匹だ。
人数分の魚を釣り終えたジグレイドは野営地である岩場に戻ることにした。
岩場に戻るとなにやら騒いでいた。
「おい、どうした?」
「あ、ジグレイドさん!大変です!昨日は気づきませんでしたけど、食料が・・・食料がないのです!もう私は動けません!」
「はぁ・・・お前らここはもう中層に入っているんだ、そんなに騒いでいたら魔物が寄ってくるぞ。それと食料なら捕ってきた。調理するのめんどくさいから任せていいか?」
「流石ジグレイドさん!私頑張って調理します!」
「メマ君は相変わらず食い意地が張っているな・・・すまん、ジグレイド君。騒がしくしないように止めたのだが、食料がないことが思いの外危機感を抱かせたようだ」
「仕方ないですよ、ここから街までは簡単には帰れませんから。そういえばカリーナはどこです?もう中層に入ったのでいろいろ決めたいのですが」
「団長ならば朝の精神集中をしているはずだ。そろそろ終わるころだとは思うのだが・・・」
「ならば食事の後にしますよ。あと少ししたら食事の準備も終わるころでしょうし」
余程お腹が空いていたのか誰も喋ることなく食事を終えた。
「ふー、食った食った。ジグレイド、ありがとよ。あのままだと餓死してたぜ」
「餓死とは言いませんけど確かにあのままだとお腹が空いて動けませんでしたよ」
お礼を言ってくるのを軽く流しカリーナに話し掛ける。
「カリーナ、もう中層に入っているんだが探索はどんな感じでやるんだ?」
「魔力だけを広範囲に飛ばすだけ」
「なるほど、なら中層を適当に回るのか?」
「この森全てするといつ終わるか分からない」
食事を終えた一行は再び歩き出しとりあえず川沿いを探索することにした。やはり水場の近くに亜人共が潜んでいる可能性が高いと考えられるためだ。
全員が黙々と川沿いを歩いている。喋ったとしても声を潜めて喋っている。なぜかというと出発する前にカリーナが任務内容を改めて示したからだ。もちろんそんなことがなくても敵陣の近くである可能性が高い場所だと極力音を出さないようにするのは当たり前なのだが。
「んー・・・」
「どうした?」
歩みを止めたカリーナにジグレイドが尋ねる。
「今、反応があった気がした」
「なら近くに敵の拠点があるのか?」
「いや、たぶんない」
「え?でも反応があったんだろ?」
「すぐに消えたから」
「なるほど、警備兵もしくは食料調達・・・といったところか。もしかしたら近いかもな・・・」
ジグレイドの勘は半分当たっていた。カリーナの探知に引っかかったのはエルフ族の非戦闘員だった。ドワーフ族特性の気配遮断のマントを使って森の食料を採りに来ていたのであった。なぜすぐに気配が消せたのか、それにはもちろんドワーフ族の技術力が関係していた。探知されると静かに知らせてくれる魔道具をもっていたのである。これらの開発により非戦闘員でも深緑の森で採取活動が行えるようになりある程度なら住民が増えても過ごせるようになったのである。だが肝心の拠点は近くにはないのである。
川沿いを一日中探し回ったが反応は一回きりであった。
「どこだ・・・奴らはどこに隠れている」
今日の野営地は川から少し離れた場所だった。現在は深夜であり、ジグレイドは見張り中だった。
「どうして?」
見張りの相方はもちろんカリーナだ。
「ん?なにがだ?」
「私たちの任務、ジグは案内と護衛」
「あー、俺には亜人共に借りがあるんだよ。大きな借りがな。ちゃんと返さないと亜人共も困るだろ?だから亜人共に借りを返しに行くのさ」
邪悪な表情をしてそう言うジグレイドにカリーナはどう返していいか分からずだんまりになってしまう。
「大丈夫さ、その時は安全な場所にいてくれよ。俺の攻撃に巻き込まれるからさ。さて、俺は少し周囲を見回ってくるよ」
「ジグ・・・」
頭を冷やしにいったのか周囲の警戒に行ったジグレイドを眺めながらカリーナは悲しそうに呟いた。
あれから5日ほど川沿いを中心に亜人の拠点を探し回ったのだが、見つからなかった。
「あー・・・見つからねーな。団長ー、この任務見つかるまで探さないといけないんですか?」
「期間がある」
「あとどれくらいなんです?」
「2ヵ月」
「まじですか・・・」
まだ期間が沢山あることにファマルは肩を落とし項垂れた。
「そういえば、アイリーンは今頃カザフ要塞で悠々自適に暮らしているのでしょうか・・・」
「言うな!虫唾が走る!あんな腰抜けの話なんかするな!余計イライラする!」
「ギース、仮にも仲間をそういう言い方はよくない。もっとオブラートに包め」
「そういうフルクトスさんだってあいつには苛ついているんだろ?」
「確かに多少思うところがないわけではないな、だが本人の前ならいざ知らず陰で言うのは好かんのでな」
「くっくっく、本人の前ならいいのかよ?ここから帰ったら言ってやるぜ。この腰抜けの売女ってな!楽しみができたぜ」
この会話は深緑の森に入って12日目の朝の出来事であった。
それから一行は川沿いではなく川付近の探索を開始したのだが、これもまったく成果はなかった。
昨日は野営地に到着したのが暗くなってからという事もあり、全員すぐに寝ていた。
なぜ見張りをしていないのかというと、この野営地は大きな岩の中なのだ。流石に荷馬車を入れることはできないが。岩の中ということは土魔法で入り口をある程度塞いでしまえば魔物の心配は殆どいらなくなるのである。
そして空気穴から朝日が差し込んできた。
「もう朝か・・・」
ジグレイドが目を覚ました時には魔法師団の面々はまだ寝ていたので一人で外に出るために音を立てないように壁を少しだけ壊した。
少しだけ“ガラガラ”と音が鳴ったが誰も起きなかったようだ。なんとも不用心である。
ジグレイドは外に出て朝のストレッチを行ってから近くの水場に行くことにした。
「ふー・・・やっぱり水が自由に使えるのはいいな」
ある程度身体の汚れを落とし終えたジグレイドはそのまま川で魚を取ることにした。テンドレオンの伸縮紐付きの短剣をじっと構えて魚が来るのを待った。・・・そして魚がジグレイドの近くまで泳いできた時に手に持った短剣を魚目掛けて投擲した。
投擲した短剣は魚の首筋に突き刺さり一瞬で絶命した。その魚を紐で手繰り寄せて次の獲物に狙いを定めることを7回ほど繰り返した。もちろん釣れた?魚も7匹だ。
人数分の魚を釣り終えたジグレイドは野営地である岩場に戻ることにした。
岩場に戻るとなにやら騒いでいた。
「おい、どうした?」
「あ、ジグレイドさん!大変です!昨日は気づきませんでしたけど、食料が・・・食料がないのです!もう私は動けません!」
「はぁ・・・お前らここはもう中層に入っているんだ、そんなに騒いでいたら魔物が寄ってくるぞ。それと食料なら捕ってきた。調理するのめんどくさいから任せていいか?」
「流石ジグレイドさん!私頑張って調理します!」
「メマ君は相変わらず食い意地が張っているな・・・すまん、ジグレイド君。騒がしくしないように止めたのだが、食料がないことが思いの外危機感を抱かせたようだ」
「仕方ないですよ、ここから街までは簡単には帰れませんから。そういえばカリーナはどこです?もう中層に入ったのでいろいろ決めたいのですが」
「団長ならば朝の精神集中をしているはずだ。そろそろ終わるころだとは思うのだが・・・」
「ならば食事の後にしますよ。あと少ししたら食事の準備も終わるころでしょうし」
余程お腹が空いていたのか誰も喋ることなく食事を終えた。
「ふー、食った食った。ジグレイド、ありがとよ。あのままだと餓死してたぜ」
「餓死とは言いませんけど確かにあのままだとお腹が空いて動けませんでしたよ」
お礼を言ってくるのを軽く流しカリーナに話し掛ける。
「カリーナ、もう中層に入っているんだが探索はどんな感じでやるんだ?」
「魔力だけを広範囲に飛ばすだけ」
「なるほど、なら中層を適当に回るのか?」
「この森全てするといつ終わるか分からない」
食事を終えた一行は再び歩き出しとりあえず川沿いを探索することにした。やはり水場の近くに亜人共が潜んでいる可能性が高いと考えられるためだ。
全員が黙々と川沿いを歩いている。喋ったとしても声を潜めて喋っている。なぜかというと出発する前にカリーナが任務内容を改めて示したからだ。もちろんそんなことがなくても敵陣の近くである可能性が高い場所だと極力音を出さないようにするのは当たり前なのだが。
「んー・・・」
「どうした?」
歩みを止めたカリーナにジグレイドが尋ねる。
「今、反応があった気がした」
「なら近くに敵の拠点があるのか?」
「いや、たぶんない」
「え?でも反応があったんだろ?」
「すぐに消えたから」
「なるほど、警備兵もしくは食料調達・・・といったところか。もしかしたら近いかもな・・・」
ジグレイドの勘は半分当たっていた。カリーナの探知に引っかかったのはエルフ族の非戦闘員だった。ドワーフ族特性の気配遮断のマントを使って森の食料を採りに来ていたのであった。なぜすぐに気配が消せたのか、それにはもちろんドワーフ族の技術力が関係していた。探知されると静かに知らせてくれる魔道具をもっていたのである。これらの開発により非戦闘員でも深緑の森で採取活動が行えるようになりある程度なら住民が増えても過ごせるようになったのである。だが肝心の拠点は近くにはないのである。
川沿いを一日中探し回ったが反応は一回きりであった。
「どこだ・・・奴らはどこに隠れている」
今日の野営地は川から少し離れた場所だった。現在は深夜であり、ジグレイドは見張り中だった。
「どうして?」
見張りの相方はもちろんカリーナだ。
「ん?なにがだ?」
「私たちの任務、ジグは案内と護衛」
「あー、俺には亜人共に借りがあるんだよ。大きな借りがな。ちゃんと返さないと亜人共も困るだろ?だから亜人共に借りを返しに行くのさ」
邪悪な表情をしてそう言うジグレイドにカリーナはどう返していいか分からずだんまりになってしまう。
「大丈夫さ、その時は安全な場所にいてくれよ。俺の攻撃に巻き込まれるからさ。さて、俺は少し周囲を見回ってくるよ」
「ジグ・・・」
頭を冷やしにいったのか周囲の警戒に行ったジグレイドを眺めながらカリーナは悲しそうに呟いた。
あれから5日ほど川沿いを中心に亜人の拠点を探し回ったのだが、見つからなかった。
「あー・・・見つからねーな。団長ー、この任務見つかるまで探さないといけないんですか?」
「期間がある」
「あとどれくらいなんです?」
「2ヵ月」
「まじですか・・・」
まだ期間が沢山あることにファマルは肩を落とし項垂れた。
「そういえば、アイリーンは今頃カザフ要塞で悠々自適に暮らしているのでしょうか・・・」
「言うな!虫唾が走る!あんな腰抜けの話なんかするな!余計イライラする!」
「ギース、仮にも仲間をそういう言い方はよくない。もっとオブラートに包め」
「そういうフルクトスさんだってあいつには苛ついているんだろ?」
「確かに多少思うところがないわけではないな、だが本人の前ならいざ知らず陰で言うのは好かんのでな」
「くっくっく、本人の前ならいいのかよ?ここから帰ったら言ってやるぜ。この腰抜けの売女ってな!楽しみができたぜ」
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