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95話
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「追撃はなしだ!我らも撤退するぞ!怪我人に手を貸してやれ!」
総指揮官ではなくローレンの指示に従いフェイシル王国軍は速やかに撤退を開始した。
だがこの撤退行動に納得いかないものがいた。
もちろん此度の総指揮官であるボダホン侯爵だ。
「どういうつもりだ!なぜ撤退してきた!魔法を放った後に追撃せよ、と命令しただろうが!」
撤退が完了したあとの軍議でボダホン侯爵は真っ先にローレンに怒声を浴びせていた。
「確かにそう言われていましたが、それはこちらの被害が皆無、もしくは軽微であった場合の話です。切り札の魔法師団は亜人族による奇襲でほぼ全滅し、中央に配置していた兵士もそのほとんどが亜人族にやられていました。あの状況で追撃していれば全滅するのが見えていました」
「ぐぐぐ…そんなことやってみなければわからんではないか!」
「やってからでは遅いのです!もし追撃して全滅してしまえば侯爵様の在わすここにも敵が攻め込んで来ていたかもしれないのですよ!?戦場では常に最悪の状況を想定して指揮をとっていただきたい!人は駒ではないのですよ!?」
「き、貴様ー!総指揮官である吾にそのような口をきいてただで済むと思っておるのではないな!?例え将軍であっても吾の気分一つでクビにすることも出来るのだぞ!?」
「…。」
あまりの的外れで埒外な物言いにローレンは驚きを通り越して呆れ果ててしまっており開いた口が塞がらない状態になってしまっていた。
だがそんなローレンにボダホン侯爵は何を勘違いしたのか、ローレンが反論もできずに黙ってしまっていると思ったのかさらに埒外な事を言い出した。
「くはははは!流石のローレン将軍もクビにされては敵わんらしいな!どうやら将軍という地位にしがみついていたいようだな!今ならば地べたに這い蹲りこの吾に許しを「くだらんな」こ、えば…?なんだと?」
「くだらん、と言ったんだ。正直将軍の地位などどうでもいい。だが貴殿のような無能が指揮する軍など兵士たちにとって災難が過ぎる。故に私はまだ将軍として戦場に身を置いておるのだ。それと貴殿の発言は全て国王陛下へと報告させてもらう。貴重な人員を無駄死にさせようとしたことから始まり、有りもしない権力を振りかざした事などをな」
ローレンの反撃にボダホン侯爵は顔を真っ赤にして口をパクパクさせながら更に埒外な事を言い出した。
「な、な、なっ!貴様っ!貴様は吾の部下であろう!その生殺与奪は上である吾が持っているのは当然の事だ!」
「この身は国王陛下にのみ捧げております。そもそも私は貴殿の部下では有りません。私は陛下より独立部隊長の権限が与えられておりますので、そもそも貴殿に命令される謂れはないのです。もし私が貴殿の部下であったとしても、私は貴殿の命令を諌めたでしょう。部下とは上の命令に従順なだけではいけないのですから」
ローレンは以前から国王陛下より独立部隊長という権限を与えられていた。
独立部隊とは戦さ場において例え総指揮官の命令を受けていたとしても自らの判断で行動を起こすことができる部隊の事だ。
ここまでは公表されているが、実は独立部隊にはもう一つの顔があった。
それは監査部隊というものだ。
監査というのだから目的は言わずもがなである。
「独立部隊だと……そんな話、吾はきいておらぬぞ!」
ボダホン侯爵はローレンが独立部隊長を拝命していると知らなかったが、独立部隊がたとえ総指揮官であろうと命令できない部隊だということは知っていたようで、悔しさのあまり俯くことしか出来ていないようだった。
「さて、ボダホン侯爵も落ち着いたようですので本来の軍議を始めよう。先ずは被害の把握はどの程度まで終わっている?」
大人しくなったボダホン侯爵を放置してローレンは軍議を再開させる。
なにせ時間がないのだ。戦争は刻一刻と状況が変化していく。なるべく早く敵よりも状態を整え、なるべく早く行動に移さないと勝てないのだ。
「はっ、本日の衝突で約5000の内、把握できているだけでも600名近くが名誉ある戦死を遂げております。その殆どが中央に布陣していた部隊の者ですので、大半が亜人族の奇襲によるものと断定できます」
「そうか…魔法師団の生き残りは何名だ?」
「全員の生死はまだ把握できておりませんが、生き残りは3名です。その内の1人は魔法師団団長ですが…現在も治療中でいつ亡くなってもおかしくない状態だそうです。残りの2人の傷は軽微で明日の戦線にも復帰は可能だと聞いております」
「カリーナが……報告ご苦労。部隊の再編成の前に皆に聞いておきたいことがある。──明日も亜人族は出てくると思うか?」
総指揮官ではなくローレンの指示に従いフェイシル王国軍は速やかに撤退を開始した。
だがこの撤退行動に納得いかないものがいた。
もちろん此度の総指揮官であるボダホン侯爵だ。
「どういうつもりだ!なぜ撤退してきた!魔法を放った後に追撃せよ、と命令しただろうが!」
撤退が完了したあとの軍議でボダホン侯爵は真っ先にローレンに怒声を浴びせていた。
「確かにそう言われていましたが、それはこちらの被害が皆無、もしくは軽微であった場合の話です。切り札の魔法師団は亜人族による奇襲でほぼ全滅し、中央に配置していた兵士もそのほとんどが亜人族にやられていました。あの状況で追撃していれば全滅するのが見えていました」
「ぐぐぐ…そんなことやってみなければわからんではないか!」
「やってからでは遅いのです!もし追撃して全滅してしまえば侯爵様の在わすここにも敵が攻め込んで来ていたかもしれないのですよ!?戦場では常に最悪の状況を想定して指揮をとっていただきたい!人は駒ではないのですよ!?」
「き、貴様ー!総指揮官である吾にそのような口をきいてただで済むと思っておるのではないな!?例え将軍であっても吾の気分一つでクビにすることも出来るのだぞ!?」
「…。」
あまりの的外れで埒外な物言いにローレンは驚きを通り越して呆れ果ててしまっており開いた口が塞がらない状態になってしまっていた。
だがそんなローレンにボダホン侯爵は何を勘違いしたのか、ローレンが反論もできずに黙ってしまっていると思ったのかさらに埒外な事を言い出した。
「くはははは!流石のローレン将軍もクビにされては敵わんらしいな!どうやら将軍という地位にしがみついていたいようだな!今ならば地べたに這い蹲りこの吾に許しを「くだらんな」こ、えば…?なんだと?」
「くだらん、と言ったんだ。正直将軍の地位などどうでもいい。だが貴殿のような無能が指揮する軍など兵士たちにとって災難が過ぎる。故に私はまだ将軍として戦場に身を置いておるのだ。それと貴殿の発言は全て国王陛下へと報告させてもらう。貴重な人員を無駄死にさせようとしたことから始まり、有りもしない権力を振りかざした事などをな」
ローレンの反撃にボダホン侯爵は顔を真っ赤にして口をパクパクさせながら更に埒外な事を言い出した。
「な、な、なっ!貴様っ!貴様は吾の部下であろう!その生殺与奪は上である吾が持っているのは当然の事だ!」
「この身は国王陛下にのみ捧げております。そもそも私は貴殿の部下では有りません。私は陛下より独立部隊長の権限が与えられておりますので、そもそも貴殿に命令される謂れはないのです。もし私が貴殿の部下であったとしても、私は貴殿の命令を諌めたでしょう。部下とは上の命令に従順なだけではいけないのですから」
ローレンは以前から国王陛下より独立部隊長という権限を与えられていた。
独立部隊とは戦さ場において例え総指揮官の命令を受けていたとしても自らの判断で行動を起こすことができる部隊の事だ。
ここまでは公表されているが、実は独立部隊にはもう一つの顔があった。
それは監査部隊というものだ。
監査というのだから目的は言わずもがなである。
「独立部隊だと……そんな話、吾はきいておらぬぞ!」
ボダホン侯爵はローレンが独立部隊長を拝命していると知らなかったが、独立部隊がたとえ総指揮官であろうと命令できない部隊だということは知っていたようで、悔しさのあまり俯くことしか出来ていないようだった。
「さて、ボダホン侯爵も落ち着いたようですので本来の軍議を始めよう。先ずは被害の把握はどの程度まで終わっている?」
大人しくなったボダホン侯爵を放置してローレンは軍議を再開させる。
なにせ時間がないのだ。戦争は刻一刻と状況が変化していく。なるべく早く敵よりも状態を整え、なるべく早く行動に移さないと勝てないのだ。
「はっ、本日の衝突で約5000の内、把握できているだけでも600名近くが名誉ある戦死を遂げております。その殆どが中央に布陣していた部隊の者ですので、大半が亜人族の奇襲によるものと断定できます」
「そうか…魔法師団の生き残りは何名だ?」
「全員の生死はまだ把握できておりませんが、生き残りは3名です。その内の1人は魔法師団団長ですが…現在も治療中でいつ亡くなってもおかしくない状態だそうです。残りの2人の傷は軽微で明日の戦線にも復帰は可能だと聞いております」
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