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99話
しおりを挟む時間にすると半刻にも満たないが、ローレンとログは激しい剣撃を繰り広げていた。
そしてその戦いにも終わりが近づいていた。
「ぐっ!手負いの貴殿にすら私は勝てぬのか…」
「ゴフッ──そう悲観するものではない、俺はこの戦場を墓場とすることに決めたのだ。この命を掛けてでも貴公を討つと決めていた」
「くはははは!名高い剛鬼にそこまで言われたのなら、私も捨てたものではないようだな。こうして貴殿と相討つことができるとは…」
「どの道最後だ…互いの思いの丈を語り合わないか?」
「それも一興か…」
「ローレン将軍…いや、ローレン殿、長年戦場で戦い、共に練磨してきたことは俺の生涯において最も思い出深いものだ。もし敵でなかったのなら友となりたかった」
「そうじゃな…歳は離れておるが私らはもう20年来の知り合いだからな。もはや友ではなく親友だろう。それに友となるのは今からでも遅くはない。私は常に貴殿の事を考え、どうすれば貴殿を犠牲なく撃退できるかを考え戦をしていた。今思えば私のわがままだったのだろう…多く犠牲を払えば貴殿を討ち倒す機会は何度かあった。だが私には出来なかった…」
「そうか…見逃してくれていたのか…俺は戦略など考えても碌な戦術を思いつかん。だからかいつも先陣に立ち皆の道しるべとなるしかなかった。貴公となら常勝の軍にもなれたのだろうな。もし次があるのなら次は貴公と同じ時代、同じ陣営にて共に戦いたいものだ」
ローレンとログは地べたに座り込んでいた。
互いの身体には互いの武器で貫かれており、ログは兎も角、ローレンはすぐにでも治療を始めないと死んでしまう程の重体だった。
だがローレンはこの場に残る選択をした。
少なからずローレンはログという人物に好感を抱いていた。
どの道この身体では生き残ったとしても碌な生活はできない。
むしろ迷惑をかける羽目になる。
ならばここで漸く友となれた者と最後の語らいにでも興じるのも良いと思えた。
だがそれもそろそろ終わりのようだ。
友も次第に言葉が覚束無くなってきている。
おや?いつの間に地面に寝転がっていたのだろうか…だがもはや座り直すのも出来そうにない、友よ、横になりながらでもよいだろうか?まだまだ貴殿と語り合いたいことは山ほどあるのだ。
だが横になってしまうと眠たくなってしまうな。もう私も歳だな、横になるとすぐに眠たくなってしまう。
昔であれば数日くらいは寝ずに過ごせたものだが、もうこの歳になると無理のようだ。
あー、目を開けて友と語り合いたいというのに…睡魔が邪魔をする。
友よ…起きたらまた語り合おうぞ。
先に寝てしまうこの友を許しておくれ…。
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