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第3話「英雄と太陽姫」
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その日、俺は顔を真っ青にして歩いていた。
「エリオ様。どうされたのですか」
「……ネリー?」
「この世の終わりみたいな顔をしていますけど」
「この世の終わりだ」
ネリーに正直に話した。
国王より直々にエステリア姫との婚約の話をされたことを。
「それのどこがこの世の終わりなのですか?」
ネリーはわかっていない。
俺は今の生活が楽しくてずっと言わなかった。
でも、今しか言う機会はない。
「ネリー。結婚してくれ」
俺はネリーにプロポーズした。
「嬉しいです」
ネリーが嬉しそうな表情になるがそれも一瞬。すぐに悲しそうな顔に代わり目から涙があふれてくる。
「ごめんなさい。エリオ様」
そう言ってネリーは走り去って行った。
「……断わられた?」
俺は漠然とその場に立ちつくした。
俺は初恋の人物からプロポーズを断られた。
王女との婚姻がいよいよ現実の話になった。
体に力が入らない。
正直どうでもいい。ネリーに会いたい。
でも、婚姻はさておき。
俺は一度王女殿下に会ってみたかった。
どうして俺を太陽の騎士に選んだのか。
それが聞きたかった。波長が会うという理由だけかもしれないが、本人から聞いてみたい。そして何より力をくれたことへのお礼が言いたかった。
初めて通された太陽宮殿は王宮と変わらない普通の宮殿だった。
「こちらでお待ちください」
少し待っていると、部屋のドアがノックされた。
「えっ」
入ってきた人物を見て、俺は間抜けな声を上げた。
煌びやかなドレスに身を包んだ美しくも高貴な美少女。
しかし、その人を見て、俺の口からある人物の名前が出てきた。
「ネリー?」
そう。ネリーがそこにいた。
「初にお目にかかります。エリオ様。私はロミネンス王国第一王女。エステリア・フィオレ・ロミネンスと申します」
自称エステリア姫が優雅な挨拶をするがそんなことを聞いていられない。
「ちょっと来い」
王女相手になんて口のきき方だろうか。
俺はネリーに詰め寄った。
「ネリーだな?」
「エリオ様。私は」
「ネリー!」
「はい。ネリーです。エリオ様。でもエステリアでもあります」
「どういうこと?」
「私はエステリア・フィオレ・ロミネンス。ロミネンス王国の第一王女です」
「だからどういうこと?エステリア様はどこ?」
「エリオ様!」
ネリーが怒鳴る。
「はい」
「落ち着いて聞いてください」
「はい」
俺はネリーから事情を聞いた。
太陽宮殿の中に閉じ込められた小さなエステリア姫。
外が見たいと言うエステリア姫の願いを叶えるために生まれたのがネリーと言う名の架空の侍女見習い。そのネリーとして宮殿の外を見るように取り図られた。
そこで俺と出会ったのだと言う。俺と出会った侍女と思っていた少女は王女だったのだ。
「最初は楽しかったですけど、そのうち悲しくなりました」
「どうして?」
「だって私は、この国の王女ですから、高位の貴族と結婚しなければなりません。エリオ様と結ばれることは無いとあきらめていたのです。ですから、エリオ様に危険が迫った時に太陽の力を授けましたが、本当は最初からエリオ様にするつもりだったのです。そうすればエリオ様と一緒にいられるから」
ネリーは悲しそうな顔をした。
いや、ネリーではない。目の前にいるのはエステリア姫殿下だ。
「エステリア様」
俺は跪いた。
「はい」
「太陽の騎士に選んでいただいた事は感謝しております。今の私があるのは貴女様のおかげです。我が剣は生涯貴女様に捧げます。しかし」
俺は顔を上げる。
「エステリア姫にひとつお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「二人きりの時は、ネリーと呼ぶことをお許しください」
「はい。喜んで」
許しは得た。これで不敬にはならない。
「ネリー。俺と結婚してくれ」
「はい。エリオ様」
こうして、二回目のプロポーズは成功した。
「エリオ様。どうされたのですか」
「……ネリー?」
「この世の終わりみたいな顔をしていますけど」
「この世の終わりだ」
ネリーに正直に話した。
国王より直々にエステリア姫との婚約の話をされたことを。
「それのどこがこの世の終わりなのですか?」
ネリーはわかっていない。
俺は今の生活が楽しくてずっと言わなかった。
でも、今しか言う機会はない。
「ネリー。結婚してくれ」
俺はネリーにプロポーズした。
「嬉しいです」
ネリーが嬉しそうな表情になるがそれも一瞬。すぐに悲しそうな顔に代わり目から涙があふれてくる。
「ごめんなさい。エリオ様」
そう言ってネリーは走り去って行った。
「……断わられた?」
俺は漠然とその場に立ちつくした。
俺は初恋の人物からプロポーズを断られた。
王女との婚姻がいよいよ現実の話になった。
体に力が入らない。
正直どうでもいい。ネリーに会いたい。
でも、婚姻はさておき。
俺は一度王女殿下に会ってみたかった。
どうして俺を太陽の騎士に選んだのか。
それが聞きたかった。波長が会うという理由だけかもしれないが、本人から聞いてみたい。そして何より力をくれたことへのお礼が言いたかった。
初めて通された太陽宮殿は王宮と変わらない普通の宮殿だった。
「こちらでお待ちください」
少し待っていると、部屋のドアがノックされた。
「えっ」
入ってきた人物を見て、俺は間抜けな声を上げた。
煌びやかなドレスに身を包んだ美しくも高貴な美少女。
しかし、その人を見て、俺の口からある人物の名前が出てきた。
「ネリー?」
そう。ネリーがそこにいた。
「初にお目にかかります。エリオ様。私はロミネンス王国第一王女。エステリア・フィオレ・ロミネンスと申します」
自称エステリア姫が優雅な挨拶をするがそんなことを聞いていられない。
「ちょっと来い」
王女相手になんて口のきき方だろうか。
俺はネリーに詰め寄った。
「ネリーだな?」
「エリオ様。私は」
「ネリー!」
「はい。ネリーです。エリオ様。でもエステリアでもあります」
「どういうこと?」
「私はエステリア・フィオレ・ロミネンス。ロミネンス王国の第一王女です」
「だからどういうこと?エステリア様はどこ?」
「エリオ様!」
ネリーが怒鳴る。
「はい」
「落ち着いて聞いてください」
「はい」
俺はネリーから事情を聞いた。
太陽宮殿の中に閉じ込められた小さなエステリア姫。
外が見たいと言うエステリア姫の願いを叶えるために生まれたのがネリーと言う名の架空の侍女見習い。そのネリーとして宮殿の外を見るように取り図られた。
そこで俺と出会ったのだと言う。俺と出会った侍女と思っていた少女は王女だったのだ。
「最初は楽しかったですけど、そのうち悲しくなりました」
「どうして?」
「だって私は、この国の王女ですから、高位の貴族と結婚しなければなりません。エリオ様と結ばれることは無いとあきらめていたのです。ですから、エリオ様に危険が迫った時に太陽の力を授けましたが、本当は最初からエリオ様にするつもりだったのです。そうすればエリオ様と一緒にいられるから」
ネリーは悲しそうな顔をした。
いや、ネリーではない。目の前にいるのはエステリア姫殿下だ。
「エステリア様」
俺は跪いた。
「はい」
「太陽の騎士に選んでいただいた事は感謝しております。今の私があるのは貴女様のおかげです。我が剣は生涯貴女様に捧げます。しかし」
俺は顔を上げる。
「エステリア姫にひとつお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「二人きりの時は、ネリーと呼ぶことをお許しください」
「はい。喜んで」
許しは得た。これで不敬にはならない。
「ネリー。俺と結婚してくれ」
「はい。エリオ様」
こうして、二回目のプロポーズは成功した。
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