A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光

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第10話「信頼と評価」

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 朝のギルドは相変わらず騒がしい。
 依頼掲示板の前には、今日も冒険者たちが群がり、我先にと紙を引き抜いている。そんな喧騒の中、俺はカウンターの奥で、書類の山と格闘していた。
「……これは、三か月前の依頼の写し。……こっちは、同じ依頼の別件扱い?重複処理されたのか?」
 雑多な依頼書を並べていくうちに、浮かび上がってくるのは、明らかな処理の混乱だった。
 内容が重複しているのに、別の依頼として扱われていたり、受付処理だけされて実行者がいないまま放置されていたり……。
「これじゃあ、依頼者も冒険者も混乱するわけだな」
 紙にメモを取りながら、内心でため息をつく。
 ギルド職員にとって、こうした事務処理は避けては通れない。だが、目の前の状況はその「基本」がまるでできていない。忙しさと人手不足、それだけでは説明がつかないレベルの乱雑さだ。
「全く。えらい所に来たな」
 先日財務管理の一部を任される事になった俺だが、業務が滞おっている部署も見て欲しいと言われて軽い気持ちで引きうけて来てみたらこれだ。
 エリナのいれてくれた飲み物が懐かしいなと思いながらバタバタと業務を続ける。
「リオン。ちょっと来てくれ」
 背後から、どっしりとした声が聞こえた。
 振り返ると、そこにはギルドマスターのバルド・ランフォードが立っていた。その眼差しは鋭く、だが不思議とあたたかい。
「はい。何か、ありましたか?」
「先日話していた、滞留案件の整理の件だ。これもお前に任せたいと思っている」
 一瞬、言葉の意味が頭の中で反響した。俺に、滞留案件の、……再編成を任せる?
 ちょっといっぺんに色々と任せすぎじゃないのか。
 周囲の視線が集まっているのを感じた。職員たちの中には、まだ俺を「元冒険者」という色眼鏡で見ている者もいる。そんな中で、これだけの責任を……いや、信頼を与えられるとは思っていなかった。
「……俺で、よろしいのでしょうか?」
 心の中で再度「ちょっといっぺんに色々と任せすぎじゃないのか」と思いながら尋ねた。
「他の誰かに任せるより、確実だと判断した。お前がこの一ヶ月でこなしてきた仕事を見れば、一目瞭然だ」
 バルドの言葉には、誤魔化しも遠慮もなかった。それは、俺の過去でもなく、肩書きでもなく、「今の俺」を見ての判断だ。
「……分かりました。全力を尽くします」
 自然と、背筋が伸びていた。
「期待しているぞ」
 そう言って去っていくバルドの背中を見送りながら、俺は少しだけ拳を握る。緊張もある。だが、それ以上に、やっと自分の力を使える場所を得た、そんな実感があった。
「さすがリオン。任されるべくして、任されたって感じね」
 ふと顔を上げれば、カウンター越しにエリナが微笑んでいた。
 どこか誇らしげで、けれど心配を含んだ眼差しに、俺は小さくうなずいて応える。
「期待されるのは、悪くないな」
 自分でも驚くほど、自然にそう思えた。
 滞留案件の整理。言葉にすれば簡単だが、実際に手をつけてみると、その混乱ぶりに頭が痛くなる。
 依頼内容の重複、報酬の設定ミス、報告の未処理、冒険者側のキャンセル申請の無視……。
 まるで、見えない穴だらけの船を修理しているような気分だった。
「これは……三ヶ月前に“獣の巣の掃討”で上がった依頼と、ほぼ内容が同じか……。でも報酬は倍違う……?」
 俺は目の前の依頼用紙を見比べながら、眉をひそめた。
 同じ依頼主がほぼ同時期に出した二つの案件。書類の誤差程度ならまだしも、報酬額が倍となると、冒険者同士のトラブルにもなりかねない。
「おそらく、前任の職員が報酬調整に手を抜いたな……。悪気はなかったんだろうが、これは大きい」
 こうした積み重ねが、ギルドの信頼を一瞬で崩すことになる。
 今、俺がやるべきことは単純だ。問題の洗い出し、パターンの分類、是正の優先順位付け、そして改善案の提示。
「リオンさん、少しだけいいですか?」
 作業に集中していたところに、エリナの声が飛んできた。
 さっきの雑談とは違う。業務上では俺の事を「リオンさん」と呼ぶし敬語も使う。こういう公私をきちんと使い分けられるところも彼女の長所だ。
 彼女は、まるで俺の集中が切れるちょうどのタイミングを見計らったかのように声をかけてくる。仕事の流れを読めるのも彼女の長所だ。
「もちろん。何かあったか?」
「ええ。さっき確認したら、この案件……報告済みになっているのに、報酬が未払いになっていました。もしかして、処理が抜けているのかも」
 そう言って彼女が差し出した依頼用紙は、ちょうど俺が見落としかけていた案件だった。
「……助かった。たぶん、書類処理の途中で抜けていたんだな。冒険者にはすぐ支払って、依頼主にも報告を。これは、俺の方で処理するよ」
「ふふ、リオンさんなら、そう言ってくれると思いました」
 彼女は微笑みながらも、すっと資料を渡してくる。
 こうして、エリナと俺は自然と補い合いながら仕事を進めている。
 信頼される、ということが、こんなにも心地いいとは思わなかった。
 A級パーティにいた頃、俺の仕事は“あって当たり前”のものだった。
 誰も感謝などしなかったし、失敗すれば叱責され、成功しても評価されることはなかった。
 でも今は違う。誰かの目が、俺の働きを正当に見てくれている。
 それがどれほど救われることなのか、今ならはっきり分かる。
「さて……これで、整理リストの一部は片付いた。次は、各担当の職員に説明を通して、運用の見直しか……」
 静かに、しかし確かに仕事は前に進んでいる。
 それを証明するように、職員の一人がぽつりと呟いた。
「……なんか最近、仕事がやりやすくなったな」
 その何気ない一言が、俺の胸に温かく染みた。

          *

 ギルド職員としての仕事に、終わりはない。次から次へと色々舞い込んでくる。
 幸いにも一つ一つはどんどん捌いて行ける内容だ。
 だが、順調にいくとは限らないのもまた、現実だ。
「おいっ! どういうつもりだ、ギルドはッ!」
 昼下がりの受付が一瞬にして静まり返った。
 怒鳴り声の主は、C級冒険者のベルド。数日前に魔獣討伐の依頼をこなしたばかりの男だ。
 エリナが対応しようと立ち上がった瞬間、俺はそっと肩を押さえて一歩前に出た。
「どうされましたか、ベルドさん。詳しい話をお聞かせいただけますか?」
「……あんたか、新入り職員の。聞けよ、俺たちは依頼通りに魔獣を討伐したんだ。報告も出したし、証拠の魔石も提出した。それなのに、報酬が遅れているってどういうことだ!」
 ギルドの支払いが滞っている──最も避けたい事態だ。
 俺は即座に彼の依頼記録を引き出し、進捗確認用の帳簿を照合した。
「……確かに、報告は上がっています。ですが……」
 俺は記録の中に、赤い印のついた書類を見つけた。
「ここです。討伐対象とされた魔獣の個体が、本来の依頼内容と異なる可能性があると、前任の審査担当が差し戻しを出していました」
「なんだと……? ふざけるなよ、あの魔獣は確かに指定された個体だった!」
「確認します。念のため、その個体の特徴を教えてもらえますか?」
「背に二本の角、黒い毛並みに、腹に赤い斑点……。森の奥で現れた“牙黒獣”だ!」
 その言葉を聞いた瞬間、俺は棚の中から別の資料を引き出す。
 数日前、別件で似た報告を受けていた記憶が蘇った。
「ありました。報告ミスですね。依頼書の記載には“赤斑なし”と記されていましたが、現地では“個体差が確認されている”と報告されています。つまり……」
「つまり?」
「間違いなく、討伐対象は正しかった。支払いは本日中に手配いたします」
 ベルドの眉間のしわが、ほんの少しだけ緩んだ。
「……ちゃんと見てくれるやつがいて助かるよ。すまなかったな、怒鳴って」
「構いません。怒るのも当然です。こちらの確認不足でしたから」
 ベルドは軽く肩をすくめ、苦笑を浮かべて帰っていった。
 その後ろ姿を見送りながら、俺は深く息を吐いた。
「クレーム処理」なんて言葉では収まらない重圧と緊張感。それでも――
「リオンさん、すごかったですね。ああいう場面、普通の職員なら固まっちゃいますよ」
 エリナが心配そうに、それでもどこか嬉しそうに声をかけてくる。
「……ギルド職員も、冒険者と同じだ。現場で動いて、状況を見て、判断する。それだけの話さ」
「……やっぱり、あなたはすごい人よ。リオン」
 その言葉に、少しだけ心が熱くなる。
 かつて“お荷物”と呼ばれた俺が、今は誰かに“頼られている”。
 俺はまだ道の途中にいる。けれど、確かに一歩ずつ前に進めていると、実感できた。

          *

 翌朝、ギルドに足を踏み入れると、妙な視線を感じた。
 エリナの傍で仕事をこなして俺を新入り扱いしていた他の職員にちょっと認められた時のような妙な恥ずかしさと心地よさの混じり合うこの感じ。
「リオンさん、おはようございます! 昨日の件、ありがとうございました!」
 声をかけてきたのは若手の職員、マルスだ。昨日のクレーム処理を横で見ていた彼は、何度もメモを取っていたのを覚えている。
「おはよう。こっちこそ、サポート助かったよ」
「いえ、とんでもない! それにしても、魔石の個体差まで記録を遡って確認するなんて……すごいです!」
 周囲の職員たちも頷いていた。
 俺の中で当然と思ってやってきたことが、彼らにとっては“すごい”ことらしい。
 ただ、それは俺が戦闘ではなく「管理と運営」を十年続けてきた結果に過ぎない。
「……おい、リオンってやつ、聞いたか?あの難癖つけてきたベルドを丸め込んだらしいぞ」
「いや、丸め込んだんじゃなくて、ちゃんと記録を見て正当性を証明したんだってさ。あの冷静さ、見習いたいよな」
 受付の奥から、そんな小声も聞こえてきた。
 聞こえていないふりをして席に着くと、エリナが少し笑いながら近づいてきた。
「……ね、言った通りだったでしょ? ちゃんと、見てくれる人は見てくれているのよ」
 彼女の穏やかな声に、思わず肩の力が抜けた。
 ギルドという組織は、ただの職場じゃない。信頼と責任が交差する、もう一つの“前線”だ。
「……ありがとう。エリナ」
「えっ? 急にどうしたの?」
「いや……昨日、お前が前に出ようとしただろ。俺が止めたけど、あの時、すぐ後ろにいてくれたのが心強かった」
「そ、そんなの当然ですよ。私、リオンさんの味方ですから」
 彼女の頬が少し赤く染まる。どうも恥ずかしがった時も口調が変わるようだ。
 その横顔を見ながら、俺は静かに思う。
 かつて誰にも評価されなかった俺の仕事が、今、少しずつ認められ始めている。
 それは、エリナの存在があってこそだ。
 ギルド内ではさっそく次の案件の話が飛び交っていた。
 もっと厄介で、もっと大きな問題が、きっと待っている。だが――
 俺は、今の自分に誇りを持てる。
“支える”ということに意味があると、胸を張って言えるようになってきた。
「エリナ」
「どうしたの?」
「今後も宜しく頼むぞ」
「ふふ。了解です。リオンさん」
「そう言えば俺も態度がなっていなかったな。宜しくお願いします。エリナ先輩」
「何よそれ?」
「いつもリオン“さん”呼ばわりされた時の俺のこそばゆさがわかったか?」
「そうね。気をつけます。リオンさん」
 俺とエリナは微笑みあった。
 仕事をきちんとやればやるだけ、信頼と評価は上がっていく。
 未来は、まだ始まったばかりだ。
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