7 / 32
カルロ・ロンターニ
しおりを挟む
このページはカルロ視点になります。
私は、ファミリーのドンを務める『チェルソ・プロベンツァーノ』の右腕と称されたカルロ・ロンターニ。
あの日はドンのプライベート外出の帰りでした。
車に乗る直前、いきなりの銃声音。それも立て続けに二発。
その二発は見事にドンの腹を撃ち抜いた。
何故、見抜けなかったのか。
何故、早くに予期出来なかったのか。
何故、阻止出来なかったのか。
ドンは常に言っていたではありませんか。
全ての人間を疑え。
ファミリーの人間も、友人も、それこそ赤子でさえも。
全てが敵と思え。
そう、ドンは言っていました。
赤子が何を出来ると言うのでしょうか。
私はドンに聞いた事がある。
するとあなたはこう返した。
『赤子は将来を見据えて危険と思え。敵であれば、そいつが物心つかぬ内から教え込まれた事は、いずれ育った際には躊躇無く必ず遂行しに来る』
では、あなたは何を信じるのか。
聞くもあなたは、明確なその答えをくれなかった。
しかし、自分は一々後ろを振り返りながら歩くのは面倒だ。これは自分が選んで歩む道。
堂々と前を行く。
だから、お前達は全員自分の背中を護れ。
例え背中をファミリーの者に攻撃されよう、が文句は言わないでおいてやる。
ただし、ファミリー以外の別の者が攻撃し、それを阻止出来ない場合は我々を許さないと。
なんて勇ましい方だ。
なんて身勝手な方だ。
ああ……ですが、どうして気付けなかったのでしょうか。
まさか僅か十歳にも満たない少女が、ドンの腹に弾を撃ち込むとは。
それも、正確に。確実に。狙いを定めて。
全ての人間を疑え、赤子でさえも。
この言葉を真実として、強く恐ろしいと感じたのはこの時が初めてでした。
確かに少女は躊躇無く任務を遂行した。
そして、躊躇無く少女は自害した。
ドンはこうなるであろう未来も、見えていたのでしょうか。
そうであったとしても、まさか記憶を無くされてしまうとまでは考えてはいなかった筈。
撃たれた後は正直、もう目を覚ますことはないのではと考えてしまいました。
ですが、あなたは目を開けた。
そしてそこに居たのは、いつもと違うあなたでした。
何が違うか、初めの内はわからなかった。
しかし、また意識が途絶え再び目を開けた時、私は確信する。
今のあなたはいつもの『チェルソ・プロベンツァーノ』とは明らかに違う存在だと。
表情、口調、態度、仕草。
その全てがドンのものと違和感を感じさせた。
いいや、寧ろ懐かしさすら感じた。
それでも私の目の前に居るのは、撃たれて瀕死状態にあったドンに間違いはない。
私の事を知らない様子。自分自身の事をわかっていない様子。
その事をダニロから聞かされた私は、より確信に結び付ける事が出来ました。
なによりドン自ら自身が何者なのか尋ねた事が、最大の事実でしょう。
今のドンには記憶が無い。
これには困りました。
だからと言って、あなたはもう必要無い──と、投げ捨てはしない。
今あるプロベンツァーノファミリーのドンは、チェルソ……あなたでなくては、ならないのだから。
あなたでなくては意味が無い。
私は一生、あなたに就いていくと決めたんです。
その道がどんなものであろうと。
この名を交換したその日から──或いは、この名をあなたが奪ったその日から。
私はドンを護ると決めた。
だと言うのに、よりにもよってインクロッチ側の人間に傷を付けられてしまった。
記憶が無いと知ってから気付けば一週間が経ちますが、ドンが組織に関して何かを思い出す様子は見られない。
ラバス医師に頼み様々な検査を、特に脳を中心にも行いましたが異常は無し。
一時的なものなら早く記憶が戻ってほしいところです……
私は、ファミリーのドンを務める『チェルソ・プロベンツァーノ』の右腕と称されたカルロ・ロンターニ。
あの日はドンのプライベート外出の帰りでした。
車に乗る直前、いきなりの銃声音。それも立て続けに二発。
その二発は見事にドンの腹を撃ち抜いた。
何故、見抜けなかったのか。
何故、早くに予期出来なかったのか。
何故、阻止出来なかったのか。
ドンは常に言っていたではありませんか。
全ての人間を疑え。
ファミリーの人間も、友人も、それこそ赤子でさえも。
全てが敵と思え。
そう、ドンは言っていました。
赤子が何を出来ると言うのでしょうか。
私はドンに聞いた事がある。
するとあなたはこう返した。
『赤子は将来を見据えて危険と思え。敵であれば、そいつが物心つかぬ内から教え込まれた事は、いずれ育った際には躊躇無く必ず遂行しに来る』
では、あなたは何を信じるのか。
聞くもあなたは、明確なその答えをくれなかった。
しかし、自分は一々後ろを振り返りながら歩くのは面倒だ。これは自分が選んで歩む道。
堂々と前を行く。
だから、お前達は全員自分の背中を護れ。
例え背中をファミリーの者に攻撃されよう、が文句は言わないでおいてやる。
ただし、ファミリー以外の別の者が攻撃し、それを阻止出来ない場合は我々を許さないと。
なんて勇ましい方だ。
なんて身勝手な方だ。
ああ……ですが、どうして気付けなかったのでしょうか。
まさか僅か十歳にも満たない少女が、ドンの腹に弾を撃ち込むとは。
それも、正確に。確実に。狙いを定めて。
全ての人間を疑え、赤子でさえも。
この言葉を真実として、強く恐ろしいと感じたのはこの時が初めてでした。
確かに少女は躊躇無く任務を遂行した。
そして、躊躇無く少女は自害した。
ドンはこうなるであろう未来も、見えていたのでしょうか。
そうであったとしても、まさか記憶を無くされてしまうとまでは考えてはいなかった筈。
撃たれた後は正直、もう目を覚ますことはないのではと考えてしまいました。
ですが、あなたは目を開けた。
そしてそこに居たのは、いつもと違うあなたでした。
何が違うか、初めの内はわからなかった。
しかし、また意識が途絶え再び目を開けた時、私は確信する。
今のあなたはいつもの『チェルソ・プロベンツァーノ』とは明らかに違う存在だと。
表情、口調、態度、仕草。
その全てがドンのものと違和感を感じさせた。
いいや、寧ろ懐かしさすら感じた。
それでも私の目の前に居るのは、撃たれて瀕死状態にあったドンに間違いはない。
私の事を知らない様子。自分自身の事をわかっていない様子。
その事をダニロから聞かされた私は、より確信に結び付ける事が出来ました。
なによりドン自ら自身が何者なのか尋ねた事が、最大の事実でしょう。
今のドンには記憶が無い。
これには困りました。
だからと言って、あなたはもう必要無い──と、投げ捨てはしない。
今あるプロベンツァーノファミリーのドンは、チェルソ……あなたでなくては、ならないのだから。
あなたでなくては意味が無い。
私は一生、あなたに就いていくと決めたんです。
その道がどんなものであろうと。
この名を交換したその日から──或いは、この名をあなたが奪ったその日から。
私はドンを護ると決めた。
だと言うのに、よりにもよってインクロッチ側の人間に傷を付けられてしまった。
記憶が無いと知ってから気付けば一週間が経ちますが、ドンが組織に関して何かを思い出す様子は見られない。
ラバス医師に頼み様々な検査を、特に脳を中心にも行いましたが異常は無し。
一時的なものなら早く記憶が戻ってほしいところです……
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる