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ぼんの宇宙日記(65日目)
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65日目。今日は、マヤの音が戻った日。
朝、居住区の空気はいつもより少しだけ軽かった。ぼくはクッションの上で体を丸めながら、静かな朝を味わっていた。最近は音楽が鳴らない日が続いていた。マヤの指先もどこか元気がなく、キーボードの上で休んだまま。でも、今日は違っていた。
マヤがそっと居住区に入ってきて、キーボードの前に座った。ぼくは小さく耳を立て、気配を感じる。「ぼん、久しぶりに音楽かけてもいい?」とマヤが声をかける。ぼくはしっぽをふりふりして返事をした。
指先がゆっくりと鍵盤に置かれる。その瞬間、やわらかな電子音が空気に溶けていく。音はとても静かで、やさしい波のように船内を包んだ。ぼくはその音に耳を澄ませた。前よりも少しだけ、丸くてあたたかい。
マヤはゆっくりとリズムを作り、曲の途中でふと手を止めて深呼吸した。ぼくはそっとマヤのそばに近づき、足元に身体を預けた。「ありがと、ぼん」と小さな声でつぶやく。音楽はまた、やさしく始まる。旋律が流れるたび、居住区の壁や窓が柔らかく揺れているようだった。
昼、ミナが「マヤ、いい音だね」と言って笑った。ジンも珍しく窓辺でリズムに合わせて指を動かしていた。ルカは植物室から顔を出して「懐かしい気持ちになる」と微笑んだ。船長もコーヒーカップを片手に、「やっぱり音楽はいいな」と静かに言った。
ぼくは居住区の真ん中でゴロンと転がり、全身で音の振動を感じた。マヤの音が戻ったことで、船全体が少しだけ明るくなった気がした。音がない時間も大切だったけれど、やっぱりこのやさしいリズムが好きだと思った。
夕方、マヤは最後の音をそっと響かせて、手を膝の上に置いた。ぼくはしっぽを揺らして「もっと聞きたいよ」と伝える。マヤは小さく笑い、「また今度ね」と約束してくれた。
夜、ぼくはマヤの足元で眠った。戻ってきた音が、ぼくの夢の中にもやさしく流れ続けていた。
おやすみ、戻った音。おやすみ、やさしい指先。また、音で満たされる日を。
朝、居住区の空気はいつもより少しだけ軽かった。ぼくはクッションの上で体を丸めながら、静かな朝を味わっていた。最近は音楽が鳴らない日が続いていた。マヤの指先もどこか元気がなく、キーボードの上で休んだまま。でも、今日は違っていた。
マヤがそっと居住区に入ってきて、キーボードの前に座った。ぼくは小さく耳を立て、気配を感じる。「ぼん、久しぶりに音楽かけてもいい?」とマヤが声をかける。ぼくはしっぽをふりふりして返事をした。
指先がゆっくりと鍵盤に置かれる。その瞬間、やわらかな電子音が空気に溶けていく。音はとても静かで、やさしい波のように船内を包んだ。ぼくはその音に耳を澄ませた。前よりも少しだけ、丸くてあたたかい。
マヤはゆっくりとリズムを作り、曲の途中でふと手を止めて深呼吸した。ぼくはそっとマヤのそばに近づき、足元に身体を預けた。「ありがと、ぼん」と小さな声でつぶやく。音楽はまた、やさしく始まる。旋律が流れるたび、居住区の壁や窓が柔らかく揺れているようだった。
昼、ミナが「マヤ、いい音だね」と言って笑った。ジンも珍しく窓辺でリズムに合わせて指を動かしていた。ルカは植物室から顔を出して「懐かしい気持ちになる」と微笑んだ。船長もコーヒーカップを片手に、「やっぱり音楽はいいな」と静かに言った。
ぼくは居住区の真ん中でゴロンと転がり、全身で音の振動を感じた。マヤの音が戻ったことで、船全体が少しだけ明るくなった気がした。音がない時間も大切だったけれど、やっぱりこのやさしいリズムが好きだと思った。
夕方、マヤは最後の音をそっと響かせて、手を膝の上に置いた。ぼくはしっぽを揺らして「もっと聞きたいよ」と伝える。マヤは小さく笑い、「また今度ね」と約束してくれた。
夜、ぼくはマヤの足元で眠った。戻ってきた音が、ぼくの夢の中にもやさしく流れ続けていた。
おやすみ、戻った音。おやすみ、やさしい指先。また、音で満たされる日を。
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