ぼんの宇宙日記

ぼん

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ぼんの宇宙日記(100日目)

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100日目。今日は、まだ見ぬ星を思った日。

朝、空気はどこか遠くて、どこか近い。船の中はいつもと同じ音がしているのに、何もかもが新しく感じられる。窓の外には、名前も知らない星がまたひとつ、瞬いていた。ぼくは窓辺で静かに目を細め、その光の向こうに、まだ知らない場所や物語があることを想像した。

居住区では、ミナがコーヒーをいれていた。マヤは歌いながら作業をして、ジンは静かに端末をいじっている。ルカは植物の手入れをしていて、船長は窓の外の星を見つめていた。みんなは何も知らず、それぞれの毎日を続けている。ぼくの心のノートのことも、今日が特別な日だということも、誰も気づかない。

だけど、それでいい。だって、これはぼくのための物語。ぼくだけが覚えていれば、それでいい。誰にも言わず、誰にも見せず、でも確かにここに積み重なった日々。

昼、しっぽがふわっと軽くなった。ぼくは空気を吸い込んだ。新しい星の匂い、まだ知らない世界の気配。胸がわくわくする。日記の終わりは、冒険の始まりでもあるんだから。

夜、クッションの上で丸くなりながら、最後の一行を思い浮かべた──「おしまい」。でも、本当は続きがあるのかもしれない。だって、宇宙はあまりにも広くて、ぼくの物語も、まだ見ぬ星の向こうへ続いていく気がするから。

おやすみ、宇宙日記。おやすみ、まだ見ぬ星へ。また、どこかで会える日まで。



【おしまい】
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