13 / 25
「未来への架け橋」
しおりを挟む
帳簿を整理していると、店の扉が勢いよく開いた。
「山田さん!ちょっと、話を聞いてほしくて!」
入ってきたのは、町の若者たちだった。先頭の青年が、一枚の地図を広げてみせる。
「実は……この町に、観光案内所を作ろうって話が出ているんです!」
「……いやいや、いきなり? 観光案内所って大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないから、山田さんに相談しているんですよ!」
「いや、それはそれでプレッシャーなんだけど!?」
とりあえず話を聞くと、発端は町に立ち寄った旅人の言葉らしい。
「この町って、あったかくて面白くて、すごく魅力的ですよね。もっとたくさんの人に知ってもらえたらいいのに」
その一言が、住民たちの心に火をつけたらしい。
「で、どうしてうちの雑貨屋に?」
「だって、山田さんの店って、もう町の“名所”になっていますから!」
「名所!?いや、商品がたまに暴走するだけの店なんだけど!?」
「それが面白いんです!」
──こうして、案の定というかなんというか、話は町の中心で“発信力のある拠点”を作ろうという流れになった。そして、そのモデルケースとして俺の店が参考にされるという、ぶっ飛んだ話がきたというわけだ。
「つまり、俺の雑貨屋が“未来への架け橋”になるかもしれないってこと?」
「はい!」
「いやいや、語感はいいけどプレッシャーすごいな……」
だが、真っ直ぐな目で訴えてくる若者たちを見ていると、なんだか断れなくなってしまった。
「……分かったよ。できる範囲で協力する。無理はしないけどな!」
「ありがとうございます!じゃあさっそく会議を――」
「え、今から!?」
気づけば、町の広場の一角にテーブルが並び、即席の会議場が出来上がっていた。
ルファはちゃっかりお茶とクッキーを用意しているし。
「お前、どこまで話聞いてた!?」
「全部♪」
住民たちが集まり始め、案内所計画の議題が本格的に動き出す。
「町の魅力を伝えるには、 “伝説”とか“逸話”とか、そういうのをまとめたらどうだ?」
「 “幻獣の足跡マップ”とか、作ったら面白くない?」
「案内所で売るお土産、ヤマーダ製で!」
「いやいや、うち、なんでも屋じゃないからな!? ……っていうか、否定する気力がなくなってきた……」
会議は予想以上に白熱した。
「幻獣スタンプラリーとかどう?町を巡る理由になるし!」
「町の昔話、朗読劇にして広場で上演するのもいいかも!」
「いやいや、みんなの発想が自由すぎるって!誰が脚本書くんだよ、演出は!?ってか、誰が演じるの!?」
「ルファに決まっているでしょ」
「えっ、私!?台詞覚えるの苦手なんだけど~!」
「俺は無理だからな!? “ナレーション山田”とか絶対やらんからな!」
笑いとツッコミが飛び交うなか、だんだんと町の人たちの表情が明るくなっていくのが分かった。
この町に、こんなに情熱があったんだ。こんなに“変えていきたい”って思っている人がいたんだ。
──俺の心に、静かに何かが灯る。
「……よし。じゃあ、試作的に“雑貨屋ヤマーダ式案内所ミニブース”を作ってみるか」
「えっ、ほんとに!?やった!」
「ただし、うちの店の片隅に一角だけな!無理はしない!暴走商品展示は禁止!」
「 “現在沈黙中の喋る茶碗”は展示OKですか?」
「微妙なラインを攻めるな!!」
さっそくルファが“手書き風マップ”や“謎の幻獣グッズ”を並べ始め、クッキー片手にプレゼンを始める。
俺はその様子を眺めながら、ふと思った。
「……こうやって誰かと一緒に、未来のことを考えるのって、いいもんだな」
いつの間にか、俺の“居場所”は、この町になっていた。静かで、あたたかくて、でも少しずつ変わっていくこの町が、ちょっと誇らしい。
その日の夕暮れ、幻獣が店の前にふらりと現れた。
「お、久しぶり。今日は何か用か?」
幻獣は店の看板を見上げたあと、俺をじっと見つめた。
「……ふふん。お前も思っているのか?この店、なかなか頑張っているって」
幻獣は静かに頷いたような気がした。
その姿を見て、俺は決意した。
「よし。俺も、この町の“未来への架け橋”になってみるか」
ルファが後ろからひょこっと顔を出す。
「山田、看板の下に“案内所協力店”って札、つけていい?」
「……もう勝手にやってるんだろ?」
「さすが山田、察しが早い!」
「いやいや、褒められている気がしないんだけど!」
広場では子供たちが幻獣の足跡マップを広げて遊んでいた。
案内所の本格運営は、きっとまだ先だろう。でも、未来への小さな一歩は、もう始まっている。
俺は看板を見上げながら、心の中で呟いた。
「……これからも、この町で頑張らないとな」
店の中から、ルファの声が響いた。
「山田ー! “幻獣クッキー改良版”の試食、いるー?」
「いやいや、前のやつ砂みたいだっただろ!?もっと美味くなってるんだろうな!」
町の夜空には、今日も笑い声が響いていた。
「山田さん!ちょっと、話を聞いてほしくて!」
入ってきたのは、町の若者たちだった。先頭の青年が、一枚の地図を広げてみせる。
「実は……この町に、観光案内所を作ろうって話が出ているんです!」
「……いやいや、いきなり? 観光案内所って大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないから、山田さんに相談しているんですよ!」
「いや、それはそれでプレッシャーなんだけど!?」
とりあえず話を聞くと、発端は町に立ち寄った旅人の言葉らしい。
「この町って、あったかくて面白くて、すごく魅力的ですよね。もっとたくさんの人に知ってもらえたらいいのに」
その一言が、住民たちの心に火をつけたらしい。
「で、どうしてうちの雑貨屋に?」
「だって、山田さんの店って、もう町の“名所”になっていますから!」
「名所!?いや、商品がたまに暴走するだけの店なんだけど!?」
「それが面白いんです!」
──こうして、案の定というかなんというか、話は町の中心で“発信力のある拠点”を作ろうという流れになった。そして、そのモデルケースとして俺の店が参考にされるという、ぶっ飛んだ話がきたというわけだ。
「つまり、俺の雑貨屋が“未来への架け橋”になるかもしれないってこと?」
「はい!」
「いやいや、語感はいいけどプレッシャーすごいな……」
だが、真っ直ぐな目で訴えてくる若者たちを見ていると、なんだか断れなくなってしまった。
「……分かったよ。できる範囲で協力する。無理はしないけどな!」
「ありがとうございます!じゃあさっそく会議を――」
「え、今から!?」
気づけば、町の広場の一角にテーブルが並び、即席の会議場が出来上がっていた。
ルファはちゃっかりお茶とクッキーを用意しているし。
「お前、どこまで話聞いてた!?」
「全部♪」
住民たちが集まり始め、案内所計画の議題が本格的に動き出す。
「町の魅力を伝えるには、 “伝説”とか“逸話”とか、そういうのをまとめたらどうだ?」
「 “幻獣の足跡マップ”とか、作ったら面白くない?」
「案内所で売るお土産、ヤマーダ製で!」
「いやいや、うち、なんでも屋じゃないからな!? ……っていうか、否定する気力がなくなってきた……」
会議は予想以上に白熱した。
「幻獣スタンプラリーとかどう?町を巡る理由になるし!」
「町の昔話、朗読劇にして広場で上演するのもいいかも!」
「いやいや、みんなの発想が自由すぎるって!誰が脚本書くんだよ、演出は!?ってか、誰が演じるの!?」
「ルファに決まっているでしょ」
「えっ、私!?台詞覚えるの苦手なんだけど~!」
「俺は無理だからな!? “ナレーション山田”とか絶対やらんからな!」
笑いとツッコミが飛び交うなか、だんだんと町の人たちの表情が明るくなっていくのが分かった。
この町に、こんなに情熱があったんだ。こんなに“変えていきたい”って思っている人がいたんだ。
──俺の心に、静かに何かが灯る。
「……よし。じゃあ、試作的に“雑貨屋ヤマーダ式案内所ミニブース”を作ってみるか」
「えっ、ほんとに!?やった!」
「ただし、うちの店の片隅に一角だけな!無理はしない!暴走商品展示は禁止!」
「 “現在沈黙中の喋る茶碗”は展示OKですか?」
「微妙なラインを攻めるな!!」
さっそくルファが“手書き風マップ”や“謎の幻獣グッズ”を並べ始め、クッキー片手にプレゼンを始める。
俺はその様子を眺めながら、ふと思った。
「……こうやって誰かと一緒に、未来のことを考えるのって、いいもんだな」
いつの間にか、俺の“居場所”は、この町になっていた。静かで、あたたかくて、でも少しずつ変わっていくこの町が、ちょっと誇らしい。
その日の夕暮れ、幻獣が店の前にふらりと現れた。
「お、久しぶり。今日は何か用か?」
幻獣は店の看板を見上げたあと、俺をじっと見つめた。
「……ふふん。お前も思っているのか?この店、なかなか頑張っているって」
幻獣は静かに頷いたような気がした。
その姿を見て、俺は決意した。
「よし。俺も、この町の“未来への架け橋”になってみるか」
ルファが後ろからひょこっと顔を出す。
「山田、看板の下に“案内所協力店”って札、つけていい?」
「……もう勝手にやってるんだろ?」
「さすが山田、察しが早い!」
「いやいや、褒められている気がしないんだけど!」
広場では子供たちが幻獣の足跡マップを広げて遊んでいた。
案内所の本格運営は、きっとまだ先だろう。でも、未来への小さな一歩は、もう始まっている。
俺は看板を見上げながら、心の中で呟いた。
「……これからも、この町で頑張らないとな」
店の中から、ルファの声が響いた。
「山田ー! “幻獣クッキー改良版”の試食、いるー?」
「いやいや、前のやつ砂みたいだっただろ!?もっと美味くなってるんだろうな!」
町の夜空には、今日も笑い声が響いていた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる