65 / 70
伝承時代:冒険者ギルド誕生譚
【冒険者ギルド誕生譚】 第十二話:「新たな時代へ」
しおりを挟む
広場を照らす陽は高く昇り、石畳の裂け目を鋭く際立たせていた。
魔物の咆哮はすでに遠く、残った静寂は――決して穏やかなものではない。むしろ、震える余熱のように街の空気にまとわりついている。
目の前では、傷だらけのワイルドボアが泥と血を滴らせ、石畳を爪で引っかきながら最後の意地のように身を起こした。
「任せろ!」
バルドが一歩踏み込み、まるでためらいなく斧を振り抜いた。
骨を断つ鈍い衝撃。ワイルドボアは咆哮を残し、地響きを揺らして倒れ伏した。
その隙間を縫うように、ヘッジバイパーの胴体がくねる。長い体を石畳に擦りつけ、逃げ場を求めている。
グリンは罠の縄を素早く放り、ティオの矢が鋭く飛ぶ。
ヘッジバイパーの胴は貫かれ、壁に絡み暴れたが、住人と専門区街の男たちが石と棒で囲い込み、ついには動きを止めた。
東側の路地では、青緑の体毛を逆立てたグリーンウルフが住人へ跳びかかる。
「今!」
ハリィとレミアの矢が同時に唸り、脚と肩を正確に射抜く。
怒りの唸りをあげたグリーンウルフは後退し、数頭が影へ逃げ込んだ。住人たちが木の板を掲げて追い立て、最後の一匹も影へ消えていく。
魔物の咆哮が途切れ、静寂が広場を包む。
倒れた魔物たち。血の匂い。荒い呼吸。
ただそれだけが残されていた。
都市の端からは薄い煙が上がり、人々は肩を寄せて息をひそめている。
戦いの熱気がまだ消えないまま――
広場では別の『決着』が、ゆっくりと形を成し始めていた。
◇◇◇
ゼスの手下たちが重装の影となって広場へ進み出る。
その後ろには、シャムナが雇った闇の一団も紛れ込んでいた。
敵意と焦りが、空気の密度をぐっと重くする。
私はリュミナの横に立ち、そっと息を整えた。
彼女の帳面には光が落ち、静かに揺れている。
――ここが……最後の局面になる。
胸の奥でそんな声がした。
バルドは無言で斧を構え、グリンと並ぶ。
彼らの影が長く伸び、緊張が広がる。
広場の暗がりから、シャムナの一団が一斉に姿を現した。
その先頭に立つ仮面の男が、狂気を帯びた声で叫ぶ。
「この街も、希望も、全部燃やしてやる! それが俺たちの報酬だ!」
次の瞬間、影が走った。
短剣が瞬きを置き去りにし、私たちの目の前を裂く。
「っく……!」
飛んできた短剣を避け、石柱に突き刺さる金属音が背後に響く。
私はリュミナの気配を確認しながら身を低くした。
リュミナは指先に淡い光を集め、帳面に願いを落とし込む。
風が、ふっと膨らむ。
帳面から放たれた風が一気に渦を巻き、敵の布陣を乱した。
埃が舞い、視界が白く揺れる。
「風よ……わたしたちを守って」
光が瞬き、敵の動きが一瞬止まる。
その隙を逃さず踏み込み、私は目の前の敵に斬りかかり、一気に切り伏せた。
リュミナの風がもう一人の足元をすくい、持っていた武器を弾き飛ばした。
バルドとグリンは背中を合わせて敵陣に突入した。
バルドの斧がうなりを上げ、盾ごと相手の腕を断ち割る。
金属が砕け散り、悲鳴があがる。
グリンは足場を狙ってハンマーを叩き込み、よろめいた敵を住人たちが追い詰める。
闇に紛れた一団が、シャムナの合図で背後から回り込んでくる。
だが、ティオが矢を素早くつがえ、目にもとまらぬ速さで矢を放つ。
矢が敵の頭上をかすめ、動きが止まる。
セレナの魔法具が淡い光を放ち、路地を透明な壁で塞ぐ。
敵は叫び、進路を失った。
ハリィとレミアの矢が影の中を駆け、次々と敵を分断する。
サビーネは子どもたちを守りながら、時折棒を構えて応戦し、住人を冷静に避難させていた。
戦いは一瞬たりとも止まらない。
衝撃、足音、風の渦――
全てが広場の中心へ吸い込まれるように響き渡った。
やがて、私とリュミナ、バルドとグリンが、残ったゼスの手下と闇の一団をそれぞれ仕留めていった。
戦闘は終わった。
広場を包む影は薄れ、代わりに人々の息遣いが戻り始める。
シャムナとゼス――
二人の姿が、逃げ場なく光の下にさらされた。
◇◇◇
市場の女主人が指を震わせながら叫んだ。
「この人たち、魔物が現れる前に黒い羽根を撒いてたのを……私は見たよ!」
別の商人が、符丁を指差す。
「あれは裏取引の合図だ。去年も同じ印が市場に出て、何人も騙されかけた」
職人の男が前に出る。
「ゼスが市場で手下に何か指示してたのを見た。何度も見た」
グリンが証拠品を掲げみんなに見せる。
「街で拾ったこれらも……全部、お前らが動かしてた物じゃろう」
ティオも歩み寄る。
「皆が魔物と戦ってる間に、裏で誘導してた。通路の罠も、住人を遠ざける仕掛けも、証人がいる」
証言が次々積み上がり、都市兵が確認に入る。
サビーネが子どもを抱き寄せながら言った。
「広場の外で取引を見たって……何人も話してたわ」
視線が一斉にシャムナとゼスに向いた。
重い沈黙が落ちる。
シャムナは静かに両手を上げ、ほんのわずかに笑った。
ゼスは顔を伏せ、影だけを見つめていた。
都市兵が二人に縄をかける。
二人は抵抗せず、連行されていく。
静けさが戻った広場には、淡い陽が差し込んでいた。
魔物と闇の脅威が去った後の街には、まだ焦げた臭いと、砕けた石の感触が残っている。
それでも――そこに立つ人々の眼差しには、確かな安堵と、小さな誇りが宿っていた。
都市の再生は、目に見えないところから始まっていた。
誰かがそっと瓦礫を片付け、子どもたちは陽だまりを探して遊び始める。
グリンやティオは住人たちと力を合わせ、崩れた壁や屋根を修理していた。
サビーネは傷ついた人に声をかけ、泣き出した子どもの手をそっと握った。
都市のあちこちで、小さな再生の音が響きはじめる。
◇◇◇
かつて倉庫の一角だった拠点にも、新しい風が吹き込んでいた。
木の香りのする新しい扉。
掲げられたばかりのギルドの看板が、夕暮れの光を受けて静かに揺れる。
バルドは仲間と並んで看板を見上げ、深く息を吐いた。
「……ここから始まる。俺たちの新しい物語が」
言葉は短くても、胸の奥には大きな決意が灯っていた。
リュミナは帳面を胸に抱き、ふわりと微笑む。
グリンは工具棚の組み立てを手伝いながら、ぽつりと呟いた。
「都市や街、みんなを助け、困っとる人のそばに立つ場所……それがギルドじゃ」
その声は、不器用だけど真っ直ぐで、聞く者の背を押すようだった。
セレナは静かに薬草を仕分け、魔法具の点検に没頭している。
サビーネは子どもたちの手を引きながら、防具をいっしょに磨いていた。
何気ない作業や笑い声が、ここを『仲間の拠点』へ変えていく。
言葉よりも確かな誓いと夢が、日々の積み重ねの中でゆっくりと形になっていった。
◇◇◇
やがて広場では祝祭の準備が始まった。
色鮮やかな布が風に踊り、灯火が吊るされていく。
住人たちの歌声、子どもたちの笑い声――
街全体が、新しい時代の『始まり』を祝おうとしていた。
夕暮れ時、ギルド拠点の前に人々が集まる。
バルドが初代ギルド長として一歩前に出ると、広場の空気がふっと張りつめた。
「誰かが泣いているなら、俺たちはそばに立つ。誰かが迷っているなら、手を差し伸べる。この都市に生きるすべての人のために――ギルドはここに在る。それが、俺たちの誓いであり、願いだ」
短く、まっすぐで、強い言葉。
でも、その奥に込められた想いが静かに広場に溶けていく。
リュミナが小さく頷き、セレナは魔法具に灯を宿す。
住人や子どもたちが灯火を掲げ、淡い光が広場いっぱいに広がっていく。
私はその光景を、胸の奥にそっと刻みつけた。
祝祭の夜は、風と灯火と人々の祈りで満たされていた。
都市の屋根が淡く照らされ、遠くでは精霊の気配が揺れていた。
誰もが、新たな時代の息吹を感じていた。
◇◇◇
季節は静かに巡り、都市は少しずつ姿を変えていく。
ギルドの扉は歳月の中で擦り減り、石畳には数えきれない足跡が刻まれた。
子どもたちは大人になり、かつての仲間たちの役目は、新しい世代へ受け継がれていく。
私は窓辺にひとり佇み、過ぎた日々をそっと辿った。
手には古びた帳面。
そこには仲間と歩いた時間、分け合った言葉、未来への小さな約束が記されている。
陽の移ろい、影の伸び方、風の温度――
どれも、私の心に静かな祈りとなって染み込んでいく。
旅の憧れは消えなかったけれど、それでも私は――この街で、あなたたちと歩く日々を選んだ。
「ありがとう、みんな。あなたたちと共に、この都市に生きられて……本当に幸せだった」
その言葉は、誰に向けたものでもない。
けれど、風の粒となって都市の隅々に溶けていく気がした。
静けさの中、私は胸に灯る光とともに、そっと目を閉じた。
窓の外には新しい光が降り、遠くで子どもたちの笑い声が、次の時代の幕開けを告げていた。
――新たな時代の始まり。
その予感だけが、静かに心に残っていた。
魔物の咆哮はすでに遠く、残った静寂は――決して穏やかなものではない。むしろ、震える余熱のように街の空気にまとわりついている。
目の前では、傷だらけのワイルドボアが泥と血を滴らせ、石畳を爪で引っかきながら最後の意地のように身を起こした。
「任せろ!」
バルドが一歩踏み込み、まるでためらいなく斧を振り抜いた。
骨を断つ鈍い衝撃。ワイルドボアは咆哮を残し、地響きを揺らして倒れ伏した。
その隙間を縫うように、ヘッジバイパーの胴体がくねる。長い体を石畳に擦りつけ、逃げ場を求めている。
グリンは罠の縄を素早く放り、ティオの矢が鋭く飛ぶ。
ヘッジバイパーの胴は貫かれ、壁に絡み暴れたが、住人と専門区街の男たちが石と棒で囲い込み、ついには動きを止めた。
東側の路地では、青緑の体毛を逆立てたグリーンウルフが住人へ跳びかかる。
「今!」
ハリィとレミアの矢が同時に唸り、脚と肩を正確に射抜く。
怒りの唸りをあげたグリーンウルフは後退し、数頭が影へ逃げ込んだ。住人たちが木の板を掲げて追い立て、最後の一匹も影へ消えていく。
魔物の咆哮が途切れ、静寂が広場を包む。
倒れた魔物たち。血の匂い。荒い呼吸。
ただそれだけが残されていた。
都市の端からは薄い煙が上がり、人々は肩を寄せて息をひそめている。
戦いの熱気がまだ消えないまま――
広場では別の『決着』が、ゆっくりと形を成し始めていた。
◇◇◇
ゼスの手下たちが重装の影となって広場へ進み出る。
その後ろには、シャムナが雇った闇の一団も紛れ込んでいた。
敵意と焦りが、空気の密度をぐっと重くする。
私はリュミナの横に立ち、そっと息を整えた。
彼女の帳面には光が落ち、静かに揺れている。
――ここが……最後の局面になる。
胸の奥でそんな声がした。
バルドは無言で斧を構え、グリンと並ぶ。
彼らの影が長く伸び、緊張が広がる。
広場の暗がりから、シャムナの一団が一斉に姿を現した。
その先頭に立つ仮面の男が、狂気を帯びた声で叫ぶ。
「この街も、希望も、全部燃やしてやる! それが俺たちの報酬だ!」
次の瞬間、影が走った。
短剣が瞬きを置き去りにし、私たちの目の前を裂く。
「っく……!」
飛んできた短剣を避け、石柱に突き刺さる金属音が背後に響く。
私はリュミナの気配を確認しながら身を低くした。
リュミナは指先に淡い光を集め、帳面に願いを落とし込む。
風が、ふっと膨らむ。
帳面から放たれた風が一気に渦を巻き、敵の布陣を乱した。
埃が舞い、視界が白く揺れる。
「風よ……わたしたちを守って」
光が瞬き、敵の動きが一瞬止まる。
その隙を逃さず踏み込み、私は目の前の敵に斬りかかり、一気に切り伏せた。
リュミナの風がもう一人の足元をすくい、持っていた武器を弾き飛ばした。
バルドとグリンは背中を合わせて敵陣に突入した。
バルドの斧がうなりを上げ、盾ごと相手の腕を断ち割る。
金属が砕け散り、悲鳴があがる。
グリンは足場を狙ってハンマーを叩き込み、よろめいた敵を住人たちが追い詰める。
闇に紛れた一団が、シャムナの合図で背後から回り込んでくる。
だが、ティオが矢を素早くつがえ、目にもとまらぬ速さで矢を放つ。
矢が敵の頭上をかすめ、動きが止まる。
セレナの魔法具が淡い光を放ち、路地を透明な壁で塞ぐ。
敵は叫び、進路を失った。
ハリィとレミアの矢が影の中を駆け、次々と敵を分断する。
サビーネは子どもたちを守りながら、時折棒を構えて応戦し、住人を冷静に避難させていた。
戦いは一瞬たりとも止まらない。
衝撃、足音、風の渦――
全てが広場の中心へ吸い込まれるように響き渡った。
やがて、私とリュミナ、バルドとグリンが、残ったゼスの手下と闇の一団をそれぞれ仕留めていった。
戦闘は終わった。
広場を包む影は薄れ、代わりに人々の息遣いが戻り始める。
シャムナとゼス――
二人の姿が、逃げ場なく光の下にさらされた。
◇◇◇
市場の女主人が指を震わせながら叫んだ。
「この人たち、魔物が現れる前に黒い羽根を撒いてたのを……私は見たよ!」
別の商人が、符丁を指差す。
「あれは裏取引の合図だ。去年も同じ印が市場に出て、何人も騙されかけた」
職人の男が前に出る。
「ゼスが市場で手下に何か指示してたのを見た。何度も見た」
グリンが証拠品を掲げみんなに見せる。
「街で拾ったこれらも……全部、お前らが動かしてた物じゃろう」
ティオも歩み寄る。
「皆が魔物と戦ってる間に、裏で誘導してた。通路の罠も、住人を遠ざける仕掛けも、証人がいる」
証言が次々積み上がり、都市兵が確認に入る。
サビーネが子どもを抱き寄せながら言った。
「広場の外で取引を見たって……何人も話してたわ」
視線が一斉にシャムナとゼスに向いた。
重い沈黙が落ちる。
シャムナは静かに両手を上げ、ほんのわずかに笑った。
ゼスは顔を伏せ、影だけを見つめていた。
都市兵が二人に縄をかける。
二人は抵抗せず、連行されていく。
静けさが戻った広場には、淡い陽が差し込んでいた。
魔物と闇の脅威が去った後の街には、まだ焦げた臭いと、砕けた石の感触が残っている。
それでも――そこに立つ人々の眼差しには、確かな安堵と、小さな誇りが宿っていた。
都市の再生は、目に見えないところから始まっていた。
誰かがそっと瓦礫を片付け、子どもたちは陽だまりを探して遊び始める。
グリンやティオは住人たちと力を合わせ、崩れた壁や屋根を修理していた。
サビーネは傷ついた人に声をかけ、泣き出した子どもの手をそっと握った。
都市のあちこちで、小さな再生の音が響きはじめる。
◇◇◇
かつて倉庫の一角だった拠点にも、新しい風が吹き込んでいた。
木の香りのする新しい扉。
掲げられたばかりのギルドの看板が、夕暮れの光を受けて静かに揺れる。
バルドは仲間と並んで看板を見上げ、深く息を吐いた。
「……ここから始まる。俺たちの新しい物語が」
言葉は短くても、胸の奥には大きな決意が灯っていた。
リュミナは帳面を胸に抱き、ふわりと微笑む。
グリンは工具棚の組み立てを手伝いながら、ぽつりと呟いた。
「都市や街、みんなを助け、困っとる人のそばに立つ場所……それがギルドじゃ」
その声は、不器用だけど真っ直ぐで、聞く者の背を押すようだった。
セレナは静かに薬草を仕分け、魔法具の点検に没頭している。
サビーネは子どもたちの手を引きながら、防具をいっしょに磨いていた。
何気ない作業や笑い声が、ここを『仲間の拠点』へ変えていく。
言葉よりも確かな誓いと夢が、日々の積み重ねの中でゆっくりと形になっていった。
◇◇◇
やがて広場では祝祭の準備が始まった。
色鮮やかな布が風に踊り、灯火が吊るされていく。
住人たちの歌声、子どもたちの笑い声――
街全体が、新しい時代の『始まり』を祝おうとしていた。
夕暮れ時、ギルド拠点の前に人々が集まる。
バルドが初代ギルド長として一歩前に出ると、広場の空気がふっと張りつめた。
「誰かが泣いているなら、俺たちはそばに立つ。誰かが迷っているなら、手を差し伸べる。この都市に生きるすべての人のために――ギルドはここに在る。それが、俺たちの誓いであり、願いだ」
短く、まっすぐで、強い言葉。
でも、その奥に込められた想いが静かに広場に溶けていく。
リュミナが小さく頷き、セレナは魔法具に灯を宿す。
住人や子どもたちが灯火を掲げ、淡い光が広場いっぱいに広がっていく。
私はその光景を、胸の奥にそっと刻みつけた。
祝祭の夜は、風と灯火と人々の祈りで満たされていた。
都市の屋根が淡く照らされ、遠くでは精霊の気配が揺れていた。
誰もが、新たな時代の息吹を感じていた。
◇◇◇
季節は静かに巡り、都市は少しずつ姿を変えていく。
ギルドの扉は歳月の中で擦り減り、石畳には数えきれない足跡が刻まれた。
子どもたちは大人になり、かつての仲間たちの役目は、新しい世代へ受け継がれていく。
私は窓辺にひとり佇み、過ぎた日々をそっと辿った。
手には古びた帳面。
そこには仲間と歩いた時間、分け合った言葉、未来への小さな約束が記されている。
陽の移ろい、影の伸び方、風の温度――
どれも、私の心に静かな祈りとなって染み込んでいく。
旅の憧れは消えなかったけれど、それでも私は――この街で、あなたたちと歩く日々を選んだ。
「ありがとう、みんな。あなたたちと共に、この都市に生きられて……本当に幸せだった」
その言葉は、誰に向けたものでもない。
けれど、風の粒となって都市の隅々に溶けていく気がした。
静けさの中、私は胸に灯る光とともに、そっと目を閉じた。
窓の外には新しい光が降り、遠くで子どもたちの笑い声が、次の時代の幕開けを告げていた。
――新たな時代の始まり。
その予感だけが、静かに心に残っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる