RAY OF LIGHT【完全版】

結城朔夜

文字の大きさ
17 / 32
回想

休息志願

しおりを挟む
翌朝。
気だるさと心身の疲労で身体を起こすことすらきつくて。
けれど、登校しなければ、章裕に例の画像をバラ撒かれてしまうこともあって。
重い身体を無理矢理動かして、何とか学校の校門まで辿り着いたのだが…。

朝のHRの時間になっても、教室へ来ない俊を心配して、敦也と甲斐は生徒玄関へと様子を見に来ると、下駄箱に寄りかかる形で踞っている俊を見つける。

「俊!大丈夫か?」
「具合悪いんだったら休めばいいのに………」
「………」
「とりあえず保健室、行こう」

甲斐に支えられ、保健室へと向かうと、結依は驚いてすぐにベッドを用意し、そこへ俊を寝かせた。
熱を測ろうと額に手を当てようとして、俊が怯えているのに気付き、結依は顔を歪めてくるしそうに言った。

「架山君、もうこれ以上は無理よ。暫く椙澤君に従うのはやめなさい。私から言っておくから………」
「………大丈夫、です………。それに、そんなことしたら、先生も立場が危うくなりますから………何もしないで下さい」
「架山君………」

俊の言葉に、結依も一瞬自身の立場を考えはしたが、大事な生徒がこんなにも苦しんでいるのを見て、放ってはおけなかった。
それは敦也たちも同じで、このまま俊が傷つくのを黙ってみていられなかった。
とりあえず今は、俊を休ませて、「とりあえず、昼休みにまた話そう」といい、敦也たちは教室へと戻っていった。

「架山君、本当に無理しすぎよ」
「………すみません。でも、こうでもしなきゃ、誰かが傷つくから…。僕だけで、いいんです…。それで皆が無事なら……」
「自己犠牲もいいけど、相手のこともちゃんと考えてね。そうして守られたって、嬉しくないのも分かるでしょう?」
「………」
「今はゆっくり休みなさい。あとのことは、またゆっくり話しましょう」
「はい……」

そして昼休みまで、また保健室で仮眠を取らせてもらい、午前の授業の終わりのチャイムが鳴り響いた。

昼休み、昼食を持参して保健室に来た敦也と甲斐は、食べながら話し始めた。

「今後のことだけど、王様に暫く専属従者を休めないか、マジで聞かないか?」
「でも、たぶん無理だろうな。あの王様の性格じゃ、逆に過労死させても構わなそうだし………」
「………そうね。でもそうでもしなきゃ、架山君の心身が持たないわ。架山君も、いつまでも保健室で休んでられないでしょう?」
「そう………ですね。授業にはちゃんと出たいし、出席しなきゃ学校に来てる意味ないですから………」
「一応、その辺は私の方で、何とか保健室登校ってことで通させてもらってるから、大丈夫よ。問題は、奉仕活動の方ね」
「う~ん………こういう時、朔弥が居てくれたら、何か案を出してくれたんだろうな………」
「………」
「あ………ごめん………」
「いいよ。朔弥も、ずっと我慢してたんだし。聖の件がなかったら、力になってくれてただろうし」

咄嗟に朔弥の名前を口にしてしまった甲斐に、敦也も俊も責めはしない。
確かに、聖との件がなかったら、今も未だ一緒に居て、相談に乗ってくれたかもしれない。
聖も、調子に乗りすぎてしまっただけで、本来ならば優柔不断で騙されやすいと貶められることが多いのだ。
朔弥が一緒に居たからこそ、聖はいつも場を和ませるために、わざと羽目を外しているのだ。

だが、今更過ぎたことを言っても、もはやどうしようもない。
皆が意見を出し合っても、結局袋小路に嵌まり、フリダシに戻ってきてしまう。
そんな時、ふと俊が呟いた。

「お願い、してみようかな………?たぶん、聞いてもらえないかもしれないけど…」

俊のその言葉に、皆が驚いて俊に視線を向けた。

「大丈夫なのか?本当に、何を言い返されるか分からないんだぞ?」
「でも、このままじゃ何も変わらない。それに、水瀬もいつも言ってたから………。『諦めない』って………」
「………」

俊の口から、彩希の名前が出たことに、皆が改めて思い知った。
旬が今までずっと逃げなかったのは、彩希とのことがあったから。
彩希の想いが、今でも俊の心を支えてくれているんだと言うことを。
そして、その想いを俊自身が引き継いでいることを…。

「………分かった。王様に直談判だな、俺も一緒に行くよ」
「俺も。俊だけに、任せてられないよ。それに、何かあった時にすぐ対処できるやつがいた方が良いだろ?」
「ありがとう、二人とも。でも、逆に迷惑かけちゃうかもしれないけど………」
「今更だろ?友達が苦しんでるのに、これ以上黙ってられるかよ」
「そうそう」

そうして話はまとまり、俊と敦也と甲斐の三人で、章裕に直接専属従者の休息を志願することになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...