RAY OF LIGHT~約束の日~

結城朔夜

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―――これは、あの物語から1年後の話です―――

高校生になった俊と彩希。
敦也と圭とも同じ学校に通うようになって、ようやく成れてきた頃。
またあの暑い夏がやって来た。

世間では衣替えも済んで、皆が半袖に成っている中、俊と彩希だけは長袖のままでいた。
薄着とは言え、腕まくりもせずに、手首まできっちりとさせていることに、周りは不思議に思うものもいたが、例の事件を知っている者達は、敢えて何も触れなかった。

それはまだ、中学生だった自分たちに降りかかった、最悪とも言えるような出来事。
上条学園の闇を訐き、内部に隠されたカースト制度と、陰湿なイジメを世間に知らしめた事件。

あれから2年が経とうとしているが、心の傷はまだ癒えてはいない。
どれだけの月日が流れようとも、一度傷ついたその傷は簡単には消せない。
その為、彩希は肌を見せることを極端に控え、俊もまた、自傷行為の痕が僅かに残っているのを隠すために、長袖でいるのだった。
クラスメイトも、二人が1歳年上という事もあって、普段は普通に会話はするものの、深い付き合いは避けているようだった。
それでも、俊も彩希も、今は普通に学校へ通い、時偶笑顔を見せることも増えた。

あの頃とは、もう違う。

そんな想いが、二人を前に向かって歩かせているのだった。

それでも、やはり夏が来ると憂鬱な気分になるのは拭いきれないことでもあって。
半袖になれない二人にとって、夏はどうしても避けられない、忘れたくても忘れられない、そんな季節になっていたのだった。

そんな二人の様子に、敦也と圭は何か出来ないかと考えていた。
しかし、派手に騒ぐのは皆好きではないので、何処か心安まる場所でもないかと、模索していた。

「何かないかな、俺たちに出来ること………」
「う~ん………。とは言っても、変に気を遣えば逆に二人が気にするだろうし。どうしたら良いものかね」

そんな話をしながら、廊下を歩いていて、ふと壁に貼られたポスターに目をやると、地元の紫陽花祭りに参加しませんか?いう写真部のポスターの文字に目が止った。
そう言えばそろそろ地元の紫陽花祭が開催される時期だったなと思い返す。
今年はフォトコンテストが開かれているらしく、Instagramに紫陽花の写真を撮って投稿し、その中から優秀作品には地元の温泉施設の宿泊券や、特産品のプレゼントがあるそうだ。

「紫陽花祭、か………」
「そういや、そろそろそんな時期だったな。………そうだ、今年はフォトコンテストもあるし、参加してみないか?息抜きがてら公園を散歩して、紫陽花の写真撮って………結構癒やされると思うし」
「それ良いな。ちょうどもう開催されてるみたいだし、次の休みにでも行ってみるか」

そう言って、圭が提案したのを敦也も賛成し、次の休みに4人で公園に散歩がてら、フォトコンテスト用の写真を撮りに行くことになった。

俊も彩希も、特に予定は無かったので快く賛成し、そして次の休みを迎えた。
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