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その夜、それぞれが翌日からの試験に向けて勉強をしていた。
今日一日が充実していた分、明日からの日常に一気に現実感が増して。
皆、想い想いに自信の机に向かい、試験勉強をして朝を迎えた。
それから数日が経ち。
試験が終わったのは、ちょうど七夕だった。
予報どおり空は曇っていて、この分では夜に天の川を見るのはむずかしいかもしれない。
「織り姫と彦星、ちゃんと会えるのかな?」
彩希は教室の窓から空を見上げて、溜息をついた。
そして他の3人も、それぞれが空を見上げて。
静かに祈った。
―――どうか、2人の距離を遠ざけないで………と。
けれど、その日は一日ずっと雲が広がっていて、一向に晴れ間は見えない。
彩希はふと、先日撮った写真を見て、小さく祈った。
短冊に願い事を書いて、皆が同じ事を書いたときのように。
また奇跡が起きてくれますようにと。
俊も、敦也も、圭も、また同じように、その写真を見つめながら、祈りを捧げた。
そして迎えた七夕の夜。
空は相変わらず曇ったままだった。
今年はもう、天の川を見ることは出来ないのかなと、諦めかけていた。
ふと、LINEの着信が入って。
確認すると、グループLINEでの着信だった。
「もしもし?」
『もしもし。ごめん、急に電話して。なんか気持ちがざわついて落ち着かなくてさ。空、まだ曇ってるよね?』
「うん、曇ってる……。やっと2人が会える日なのに………」
俊の言葉に、彩希は自分もずっと気持ちが落ち着かないことを言うと、『そうだよね』と、落ち込んだ声が聞こえた。
『せっかく1年に1度の記念日なのに、コレじゃあ可哀想だよな』
『奇跡でも起きて晴れてくれないかな?』
『奇跡、か………』
『うん?俊、どうかしたか?』
「あ………そっか。ちょうど2年前に私が目を覚ましたのも七夕だったよね?その時のこと、架山君は奇跡だって言ってたから、そのこと?」
『うん………、もう一度起きてくれたら良いなって、思ってはいるけど。そんなに何度も起きたら、奇跡じゃなくなっちゃうよね………』
『う~ん………。確かに、そうかもな』
皆がそう落ち込みながら、空を見上げたときだった。
『『『「あっ!!」』』』
僅かではあるが、雲の切れ間が出来て星空が顔を覗かせていたのだった。
しかもそれは、ちょうど天の川の掛かる位置で、次第にはっきりと夏の大三角形が夜空に浮かんでいた。
「すごい………、晴れたよ!ねぇ、皆見えてる?」
『ああ、見てるよ!』
『マジ、奇跡だ………。すげぇ………!!』
『良かった………』
「これで、2人が迷わずに会えるね!」
『うん!!』
それはまさに奇跡のようで、その一刻だけの晴れ間が現れて、夜空に掛かる天の川がはっきりと見ることが出来たのだった。
そして、その天の川を渡るかのように、一筋の流れ星が走った。
―――幾千の願いを紡いで。
―――今、君に逢いに行く。
その奇跡を見た人たちは、皆、織り姫と彦星が迷わないようにと、皆の祈りが届いたのだと、そう信じて。
あの日、俊の祈りが彩希に届いたときのように。
誰かの想いが、相手に届くようにと。
そして、その奇跡はまた誰かの想いを紡いで、届けられていく。
かけがえのない、大切な誰かに。
この想いが届きますように、と。
今年の七夕の軌跡もまた、俊達の心に強く刻まれていった。
やがて迎える暑い夏。
今年は少しでも変われるならと、終業式には半袖に袖を通す俊と彩希。
その姿に、敦也も圭も、優しく微笑んで。
新たな夏が、今年も始まるのだった―――。
~fin~
今日一日が充実していた分、明日からの日常に一気に現実感が増して。
皆、想い想いに自信の机に向かい、試験勉強をして朝を迎えた。
それから数日が経ち。
試験が終わったのは、ちょうど七夕だった。
予報どおり空は曇っていて、この分では夜に天の川を見るのはむずかしいかもしれない。
「織り姫と彦星、ちゃんと会えるのかな?」
彩希は教室の窓から空を見上げて、溜息をついた。
そして他の3人も、それぞれが空を見上げて。
静かに祈った。
―――どうか、2人の距離を遠ざけないで………と。
けれど、その日は一日ずっと雲が広がっていて、一向に晴れ間は見えない。
彩希はふと、先日撮った写真を見て、小さく祈った。
短冊に願い事を書いて、皆が同じ事を書いたときのように。
また奇跡が起きてくれますようにと。
俊も、敦也も、圭も、また同じように、その写真を見つめながら、祈りを捧げた。
そして迎えた七夕の夜。
空は相変わらず曇ったままだった。
今年はもう、天の川を見ることは出来ないのかなと、諦めかけていた。
ふと、LINEの着信が入って。
確認すると、グループLINEでの着信だった。
「もしもし?」
『もしもし。ごめん、急に電話して。なんか気持ちがざわついて落ち着かなくてさ。空、まだ曇ってるよね?』
「うん、曇ってる……。やっと2人が会える日なのに………」
俊の言葉に、彩希は自分もずっと気持ちが落ち着かないことを言うと、『そうだよね』と、落ち込んだ声が聞こえた。
『せっかく1年に1度の記念日なのに、コレじゃあ可哀想だよな』
『奇跡でも起きて晴れてくれないかな?』
『奇跡、か………』
『うん?俊、どうかしたか?』
「あ………そっか。ちょうど2年前に私が目を覚ましたのも七夕だったよね?その時のこと、架山君は奇跡だって言ってたから、そのこと?」
『うん………、もう一度起きてくれたら良いなって、思ってはいるけど。そんなに何度も起きたら、奇跡じゃなくなっちゃうよね………』
『う~ん………。確かに、そうかもな』
皆がそう落ち込みながら、空を見上げたときだった。
『『『「あっ!!」』』』
僅かではあるが、雲の切れ間が出来て星空が顔を覗かせていたのだった。
しかもそれは、ちょうど天の川の掛かる位置で、次第にはっきりと夏の大三角形が夜空に浮かんでいた。
「すごい………、晴れたよ!ねぇ、皆見えてる?」
『ああ、見てるよ!』
『マジ、奇跡だ………。すげぇ………!!』
『良かった………』
「これで、2人が迷わずに会えるね!」
『うん!!』
それはまさに奇跡のようで、その一刻だけの晴れ間が現れて、夜空に掛かる天の川がはっきりと見ることが出来たのだった。
そして、その天の川を渡るかのように、一筋の流れ星が走った。
―――幾千の願いを紡いで。
―――今、君に逢いに行く。
その奇跡を見た人たちは、皆、織り姫と彦星が迷わないようにと、皆の祈りが届いたのだと、そう信じて。
あの日、俊の祈りが彩希に届いたときのように。
誰かの想いが、相手に届くようにと。
そして、その奇跡はまた誰かの想いを紡いで、届けられていく。
かけがえのない、大切な誰かに。
この想いが届きますように、と。
今年の七夕の軌跡もまた、俊達の心に強く刻まれていった。
やがて迎える暑い夏。
今年は少しでも変われるならと、終業式には半袖に袖を通す俊と彩希。
その姿に、敦也も圭も、優しく微笑んで。
新たな夏が、今年も始まるのだった―――。
~fin~
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