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「まず、俺がお前に構われて鬱陶しいがる素振りを見せつつも、内心有頂天になっていたのはさっき話した通り。あの日もお前が手作りした昼食を一緒に食べれた事で、かなり上機嫌だった。それこそ、会合に参加した他の神達から、軽口半分にからかわれるくらいには。しかもからかわれて不機嫌になるどころか『噂に聞いてるぞ、すっかりお互いに夢中みたいだな』と言われて、自分達は噂になる程傍目から見ても明らかに、お互い相手に夢中なのか、と考えてすらいた」
「そ、そんな噂が立ってたのかよ」
「お前があれだけ毎日嬉々として俺のことを追いかけていて、俺もそれを無理に追っ払わなかった訳だから、そりゃあな。今まで俺に構いたがる奴も俺が追い払わない奴もそれこそ皆無だったし、尚更そういう仲だって噂が立ったんだろ」
て事は、俺が邪神に絡んでそれを邪神が雑に相手するっていう一連のやり取りも、あーまたいつものやってるよ、的に見られてたって事!? あの2人のお決まりのやつ、みたいな。夫婦漫才とか、バカップルのお決まりの掛け合いとか、そういう類いのイチャこきだと認定されてたとか……? いや、何もそこまでは言われてないか。……言われてないが、周りからは思われてそうだな。嬉しいような、恥ずかしいような。
「そんな風だから会談の最中は勿論合間合間の雑談の中でも、式はいつ挙げるんだとか結婚祝いは何がいい? だとか、冷やかし半分色々聞かれた。いつもならプライベートを探るような質問は嫌がって答えないんだが、あの時はお前との仲を周囲に見せびらかせる事が嬉しくて、喜んで答えていた。そうして会合後もご機嫌でお前の事を話しながら歩いて行って、丁度廻廊を通りがかった時、少し離れた場所からお前の声が聞こえてきた。会談の休憩時間を狙って俺に会いに来てくれたのか? そう考えて嬉しくなった俺は声のした方を見て……すぐにその行動を後悔した。俺が視線を向けた先で、お前とカーシャがとても楽しそうに仲睦まじく顔を見合せて話をしているのが見えたからな」
「それって……」
「そうだ。俺はお前がカーシャと楽しそうにしているのを見ただけで、普段の自分がしてきた酷い態度も忘れて一丁前に嫉妬したんだ。お前は決して移り気な人間じゃないし、あれだけ俺の事を大切にしてくれてる上で他に目を向けるなんて、冷静になって考えてみれば絶対有り得ないってのに……。あの時の俺は頭に血が上って、お前がカーシャにも粉をかけているのかと酷い勘違いをした。お前が俺にしか見せないと勝手に思いあがっていい気になっていた微笑みを、カーシャにも向けていた事も気に食わなかった。誰にどんな表情を向けようが、完全にお前の自由なのにな」
「いや、思い上がりなんかじゃねぇよ。信じてもらえるか分かんねぇけど、俺はあの時カーシャと君の話をしていたんだ。邪神の小さい頃の話をしてくれるって言うから、それで嬉しくて……」
「な……! という事は、お前のあの笑顔は俺の為のものだったのか……!?」
自分だけのものだと思っていた笑顔を他人に向けられて嫉妬した筈が、その笑顔の訳は自分だった。この展開に邪神は驚き、同時にホッとしたようだった。これまでとは違って俺に対する執着を隠しもしなくなったその様子に、そんな場合じゃないのにドキリと胸が高鳴る。本人は必死になって隠しているらしいが、それでも控えめに聞こえてくる嬉しそうに鳴るゴロゴロという喉の音が可愛らしい。しかし、それも一瞬の事だった。甘く穏やかな空気が流れていたのに、それは不意に邪神が浮かべた深刻な表情を前にして一瞬で霧散してしまう。どうしたのだろうか?
「お前は、カーシャやザイガとは仲がいいのか?」
「え? うーん、まあ……まだ1回しか会った事ないけど、割と良くしてもらったよ。俺が早くこっちの世界に馴染めるように、色々教えてくれて勉強も付き合ってくれたし。あ! でも、勿論俺の1番は邪神だから。そこは勘違いしないでくれよな? まず君への気持ちがある事を大前提として、あの2人への友情が成り立ってんだ。2人には悪いけど、俺にとっては比べようもないくらいあんたの方が大切だ」
俺がザイガとカーシャも邪神と同じように好意を抱いていると感じていると勘違いされるのも、それで悲しい思いをさせるのも嫌なので、予め釘を刺しておく。俺にとって邪神は、何においても唯一で1番なのだ。ザイガとカーシャには悪いがいくら同じ獣人とは言え、どう頑張っても2人と同列には語れない。そもそものレイヤーが違うもの。俺の事が大好きでその事を隠さなくなった邪神は、当然この宣言に喜ぶものと思っていたのだが……。何故か背後に背負っている沈んだオーラが益々暗く重苦しいものになった。え、何で?
「何で沈んでんの? もしかして、俺の気持ち、ちょっと重過ぎた感じ? もっとライトな感じのお付き合いが良かった?」
「いや、お前のその気持ちは嬉しいんだ。嘘偽りない本心だから、そこは信じてくれ。誰かの唯一で1番なんてなりたくてもなれなかったから、そう言ってもらえて天にも昇りそうなくらいだよ。ただ、その……。ザイガ達を信用し友情を感じているところ悪いんだが、実は俺達の擦れ違いの一番の原因は、あいつらなんだ。それも、大変言い難いが誤解とか不幸な偶然とかが原因じゃなくて、ガッツリ悪意があった上で、あいつらは態と俺達を破局させようとしていた」
「へ? 何それ何で!?」
いきなり話がとんでもない方向に転がっていって、驚き過ぎて素っ頓狂な声が出る。ザイガ達が俺と邪神の擦れ違いの原因? しかも、悪意ありきで能動的に破局させようとしてた? はぁ? 邪神によってもたらされた情報は、あまりにも無知な俺に優しくこちらの世界の習俗やら知識やらを教えてくれた、優しい2人という俺の中の印象とは全く結びつかない。親方! 空から魚が降ってきました! と言われた方が余っ程信じられる。だが、邪神はこんな時によく分からん嘘をつくような奴でもないし、て事は……マジなの?
「何? どういう事? 俺、知らん間にそんなに恨まれてた訳?」
「お前がなにかしたから、と言うより話を聞く限りじゃザイガとカーシャの勘違いと暴走みたいなもんだな。どうもあの二人は俺の幼馴染で幼い頃からの付き合いだからか、一方的に俺のことをいい弟分だと思ってたらしくて……。それはまあ勝手にすればいいんだが、その弟分の俺に異世界から嫁入りしに来た邪神の神子……つまりはお前が、生粋の神の一族好きとどこからか聞き付けて『結婚相手が神の一族なら誰でも良くて、一番絆しやすそうな邪神に手を出したんじゃないか』と兄貴分姉貴分として心配になったらしい。弟分の神子が不埒な輩じゃないか確かめてやる! ってんで適当に言い訳つけて会合の場に着いてきて、お前の為人を見定めようとしたんだと。そしたらお前が自分達神の一族の持つ獣の象徴に大興奮したもんだから、やっぱり神の一族ならなんでもいい好き者なんだ! そんな浮気性、邪神の神子に相応しくない! って決めつけて、親切心でお前と俺との仲を引き裂いてやろうとした訳だそうだ」
「マ、マジか……。確かに邪神以外の獣人を初めて見れてかなり喜んだ覚えはあるけど、それとこれとは別なんだけどな……。なんというか、恋人に対してのキャー! とアイドルに対してのキャー! が違う感じと言うか……。こっちの世界風にはなんて言い換えればいいんだこれ……。えーっと、可愛い仔猫に向ける好きと大切な恋人に向ける好きの違いと言うか……なんにせよ同じ好きでも方向性が全然違うんだけど……」
まずいな、これちゃんと答えないと後々変な誤解が産まれそうだな。お前は俺の事、そういう意味でちゃんと好きじゃないんだろうけど……みたいな枕詞から始まる擦れ違いやらなんやら。そういうの、部屋に閉じ込められてた期間だけでもうお腹いっぱいだから勘弁して欲しい。でも、俺馬鹿だから納得のいく説明ができる気がしない。それでもなんか言わなきゃ……言わなきゃ……。
「なあ、俺がそういう意味でちゃんと好きなのは邪神だけなんだ。本当だ、信じてくれ。確かに俺は獣人……神の一族の見た目が好きだけど、邪神の事は見た目は勿論中身だって滅茶苦茶好きなんだぜ? ていうか見た目のせいで忌避されてるけど、あんたの性格を知ったら誰だって好きにならずにはいられないって! 仕事に真面目で他人に親切で、どんな相手にも思いやりがあってちょっと意地っ張りでツンツンしてるところがまた可愛くて、俺が出す食事は必ず全部完食してくれて、どんなに忙しくても俺の相手をしてくれて、俺にちょっとでも何かあったらすぐ心配して」
「待った! そこまでにしてくれ!」
俺がどれだけ邪神の事を好きなのか。この気持ちをどう言い表せばいいのだろう。焦った頭ではいい考えが浮かばない。だが、浮かばないなりに俺はなんとか自分の思う邪神の好きなところを片っ端から列挙して、こんなにも俺は邪神が好きなのだ! と証明しようとした。しかし、その姑息な作戦は途中で他ならぬ邪神の声で遮られる。そんな、聞き苦しい程に醜い言い訳として、聞いても貰えないのか? いっそ涙目になって、俺は邪神の顔を見たのだが……。
「な……何それ……」
「う、五月蝿い……。仕方ないだろう、照れてるんだから……」
当の邪神は、両耳を落ち着きなくパタパタはためかせながら、ニヤける口元を必死に手で押えているが、隠し切れていない。目元の粘膜がいつもより赤い。黒い被毛でよく見えないが、顔に血が昇っているのだろう。尻尾はシビビビッと毛が少し逆立って、邪神は辛抱堪らないとでも言いたげに、片手でこっそりその先端を掴んでいた。これ、もしかして……喜んでんの?
「そ、そんな噂が立ってたのかよ」
「お前があれだけ毎日嬉々として俺のことを追いかけていて、俺もそれを無理に追っ払わなかった訳だから、そりゃあな。今まで俺に構いたがる奴も俺が追い払わない奴もそれこそ皆無だったし、尚更そういう仲だって噂が立ったんだろ」
て事は、俺が邪神に絡んでそれを邪神が雑に相手するっていう一連のやり取りも、あーまたいつものやってるよ、的に見られてたって事!? あの2人のお決まりのやつ、みたいな。夫婦漫才とか、バカップルのお決まりの掛け合いとか、そういう類いのイチャこきだと認定されてたとか……? いや、何もそこまでは言われてないか。……言われてないが、周りからは思われてそうだな。嬉しいような、恥ずかしいような。
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「それって……」
「そうだ。俺はお前がカーシャと楽しそうにしているのを見ただけで、普段の自分がしてきた酷い態度も忘れて一丁前に嫉妬したんだ。お前は決して移り気な人間じゃないし、あれだけ俺の事を大切にしてくれてる上で他に目を向けるなんて、冷静になって考えてみれば絶対有り得ないってのに……。あの時の俺は頭に血が上って、お前がカーシャにも粉をかけているのかと酷い勘違いをした。お前が俺にしか見せないと勝手に思いあがっていい気になっていた微笑みを、カーシャにも向けていた事も気に食わなかった。誰にどんな表情を向けようが、完全にお前の自由なのにな」
「いや、思い上がりなんかじゃねぇよ。信じてもらえるか分かんねぇけど、俺はあの時カーシャと君の話をしていたんだ。邪神の小さい頃の話をしてくれるって言うから、それで嬉しくて……」
「な……! という事は、お前のあの笑顔は俺の為のものだったのか……!?」
自分だけのものだと思っていた笑顔を他人に向けられて嫉妬した筈が、その笑顔の訳は自分だった。この展開に邪神は驚き、同時にホッとしたようだった。これまでとは違って俺に対する執着を隠しもしなくなったその様子に、そんな場合じゃないのにドキリと胸が高鳴る。本人は必死になって隠しているらしいが、それでも控えめに聞こえてくる嬉しそうに鳴るゴロゴロという喉の音が可愛らしい。しかし、それも一瞬の事だった。甘く穏やかな空気が流れていたのに、それは不意に邪神が浮かべた深刻な表情を前にして一瞬で霧散してしまう。どうしたのだろうか?
「お前は、カーシャやザイガとは仲がいいのか?」
「え? うーん、まあ……まだ1回しか会った事ないけど、割と良くしてもらったよ。俺が早くこっちの世界に馴染めるように、色々教えてくれて勉強も付き合ってくれたし。あ! でも、勿論俺の1番は邪神だから。そこは勘違いしないでくれよな? まず君への気持ちがある事を大前提として、あの2人への友情が成り立ってんだ。2人には悪いけど、俺にとっては比べようもないくらいあんたの方が大切だ」
俺がザイガとカーシャも邪神と同じように好意を抱いていると感じていると勘違いされるのも、それで悲しい思いをさせるのも嫌なので、予め釘を刺しておく。俺にとって邪神は、何においても唯一で1番なのだ。ザイガとカーシャには悪いがいくら同じ獣人とは言え、どう頑張っても2人と同列には語れない。そもそものレイヤーが違うもの。俺の事が大好きでその事を隠さなくなった邪神は、当然この宣言に喜ぶものと思っていたのだが……。何故か背後に背負っている沈んだオーラが益々暗く重苦しいものになった。え、何で?
「何で沈んでんの? もしかして、俺の気持ち、ちょっと重過ぎた感じ? もっとライトな感じのお付き合いが良かった?」
「いや、お前のその気持ちは嬉しいんだ。嘘偽りない本心だから、そこは信じてくれ。誰かの唯一で1番なんてなりたくてもなれなかったから、そう言ってもらえて天にも昇りそうなくらいだよ。ただ、その……。ザイガ達を信用し友情を感じているところ悪いんだが、実は俺達の擦れ違いの一番の原因は、あいつらなんだ。それも、大変言い難いが誤解とか不幸な偶然とかが原因じゃなくて、ガッツリ悪意があった上で、あいつらは態と俺達を破局させようとしていた」
「へ? 何それ何で!?」
いきなり話がとんでもない方向に転がっていって、驚き過ぎて素っ頓狂な声が出る。ザイガ達が俺と邪神の擦れ違いの原因? しかも、悪意ありきで能動的に破局させようとしてた? はぁ? 邪神によってもたらされた情報は、あまりにも無知な俺に優しくこちらの世界の習俗やら知識やらを教えてくれた、優しい2人という俺の中の印象とは全く結びつかない。親方! 空から魚が降ってきました! と言われた方が余っ程信じられる。だが、邪神はこんな時によく分からん嘘をつくような奴でもないし、て事は……マジなの?
「何? どういう事? 俺、知らん間にそんなに恨まれてた訳?」
「お前がなにかしたから、と言うより話を聞く限りじゃザイガとカーシャの勘違いと暴走みたいなもんだな。どうもあの二人は俺の幼馴染で幼い頃からの付き合いだからか、一方的に俺のことをいい弟分だと思ってたらしくて……。それはまあ勝手にすればいいんだが、その弟分の俺に異世界から嫁入りしに来た邪神の神子……つまりはお前が、生粋の神の一族好きとどこからか聞き付けて『結婚相手が神の一族なら誰でも良くて、一番絆しやすそうな邪神に手を出したんじゃないか』と兄貴分姉貴分として心配になったらしい。弟分の神子が不埒な輩じゃないか確かめてやる! ってんで適当に言い訳つけて会合の場に着いてきて、お前の為人を見定めようとしたんだと。そしたらお前が自分達神の一族の持つ獣の象徴に大興奮したもんだから、やっぱり神の一族ならなんでもいい好き者なんだ! そんな浮気性、邪神の神子に相応しくない! って決めつけて、親切心でお前と俺との仲を引き裂いてやろうとした訳だそうだ」
「マ、マジか……。確かに邪神以外の獣人を初めて見れてかなり喜んだ覚えはあるけど、それとこれとは別なんだけどな……。なんというか、恋人に対してのキャー! とアイドルに対してのキャー! が違う感じと言うか……。こっちの世界風にはなんて言い換えればいいんだこれ……。えーっと、可愛い仔猫に向ける好きと大切な恋人に向ける好きの違いと言うか……なんにせよ同じ好きでも方向性が全然違うんだけど……」
まずいな、これちゃんと答えないと後々変な誤解が産まれそうだな。お前は俺の事、そういう意味でちゃんと好きじゃないんだろうけど……みたいな枕詞から始まる擦れ違いやらなんやら。そういうの、部屋に閉じ込められてた期間だけでもうお腹いっぱいだから勘弁して欲しい。でも、俺馬鹿だから納得のいく説明ができる気がしない。それでもなんか言わなきゃ……言わなきゃ……。
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「待った! そこまでにしてくれ!」
俺がどれだけ邪神の事を好きなのか。この気持ちをどう言い表せばいいのだろう。焦った頭ではいい考えが浮かばない。だが、浮かばないなりに俺はなんとか自分の思う邪神の好きなところを片っ端から列挙して、こんなにも俺は邪神が好きなのだ! と証明しようとした。しかし、その姑息な作戦は途中で他ならぬ邪神の声で遮られる。そんな、聞き苦しい程に醜い言い訳として、聞いても貰えないのか? いっそ涙目になって、俺は邪神の顔を見たのだが……。
「な……何それ……」
「う、五月蝿い……。仕方ないだろう、照れてるんだから……」
当の邪神は、両耳を落ち着きなくパタパタはためかせながら、ニヤける口元を必死に手で押えているが、隠し切れていない。目元の粘膜がいつもより赤い。黒い被毛でよく見えないが、顔に血が昇っているのだろう。尻尾はシビビビッと毛が少し逆立って、邪神は辛抱堪らないとでも言いたげに、片手でこっそりその先端を掴んでいた。これ、もしかして……喜んでんの?
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