サリーは死ぬべきだったのか?

我利我利亡者

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 慌てて腰に佩いていた剣を抜き、その切っ先を黒髪の魔女に向ける。正眼に構え、いつでも切りかかれるように備えた。先ほど王様が上げた声でこちらに注意を向けていた何人かが、俺が剣を抜いたことで悲鳴を上げる。それに釣られた他の人々もこの騒動に気がついたようだ。衛兵の何人かが近くにやってきて、同じく剣を鞘から抜く音がした。
 魔女と王様の距離が近すぎて、迂闊には近づけない。他の衛兵達もその事に動揺しているようだ。俺としては正直王様はどうでもいいが、万が一にでも魔女にオーウェン様へ手を出させる訳にはいかない。鋭い声で魔女に目的を尋ねる。
「貴様、何をしに来た!」
 鎧を身につけた何人もの屈強な兵士に抜き身の剣を突きつけられているというのに、魔女は全く動じた様子はない。当然だ。相手が魔女ならこんな剣なんてただの木剣……いや、紙を緩く丸めて作った棒以下のダメージしか与えられない。そもそも全力で挑んでも攻撃が当たるかどうかだって怪しいのである。殺気立った俺達を相手に、魔女は悠然と微笑む。
「落ち着いて、ホークショーさん。私はあなた達に危害を加えに来たのではないわ」
 俺の名前を知っている? オーウェン様と近しい以外はなんの特徴もない、俺みたいなただの一兵士名前を知っているだなんて、やはり狙いは彼なのか? オーウェン様には、絶対に手出しさせない!
「なら、どうしてここに来た! 何か目的があるんだろう!」
「言ったでしょう? 私がここに居るのは、償いをする為だって。それと、間違いを正す為にもね」
 償いをする? 間違いを正す? さっきから魔女の答えは謎掛けのようで、一向に要領を得ない。魔女ははぐらかすだけで、答える気がないのか? 苛立ちがつのる。
 微笑む魔女と暫し睨み合っていたが、ふと、魔女はこちらを見るのを止めて、別の方向に向き直った。その視線の先には、心配そうにこちらを見つめるオーウェン様の姿が。こいつ、やっぱりオーウェン様が狙いだったか! 償いとは何のことか分からないが、若しかして間違いを正すとは、自分と結ばれる筈だった男が他の女との間に作ったオーウェン様を消すことだとでも? そんなの許さないぞ!
 ところが、意気込んで切りかかろうとした俺の前で、魔女は驚くべきことをした。微笑むのを止めて、悲しそうな表情をし、膝を折って深々と頭を下げたのである。どういうことだ? 魔女は八つ当たりでこの国の第1王子として生まれただけのオーウェン様に、獣の呪いをかけるような極悪人である。人並みの良心など持ち合わせているわけがない。でも、これではまるで、魔女がオーウェン様に謝意を示してるみたいじゃないか。周囲の人々も魔女のその行動に驚いたらしく、ザワザワとざわめきと動揺が広がっていく。
 暫く頭を下げた後、魔女は顔を上げ、凛とした目でオーウェン様を見つめた。その表情はとても悲しげで、深い悔恨の念が伺い知れる。
「初めまして、オーウェン殿下。私の名はマーゴ。ファミリーネームはないわ、ただのマーゴよ。魔女の一族は皆で1つの家族だから、ファミリーネームを持たないの」
 魔女の声は大きく叫んでいるわけでもなく普通に話しているだけなのに、不思議とだだっ広い広間の隅々に広がっていく。誰も動こうとしない。今や広間中の注目は魔女に集まっており、その一挙手一投足を全員が固唾を飲んで見ていた。
「オーウェン殿下。先ず、私はあなたに謝らなくてはならないわ。13年もの長い間、あなたを私の憎しみに付き合わせてしまって、本当にごめんなさい。そこに生まれてきただけのあなたには、自分の両親と私の間にある禍根なんて、関係ないことなのにね。私は裏切られた怒りや、一族と縁を切らなければならない悲しみのやりどころを探し求めるあまり、なんの罪もないあなたに要らぬ重荷を背負わせてしまった。謝って許されるようなことではないと思うけれど、謝罪をさせてちょうだい」
 また、頭を下げる魔女。誰もが驚きと共にその姿を見る。
 だって、あの魔女だぞ? いくら先に裏切られたからって、なんの責もないオーウェン様にあんなにも酷い呪いをかけた奴だ。しかも、この13年の間、復讐対象である王様になんのダメージも行っていないのに、オーウェン様の呪いを解かなかった。それだけで魔女がどれだけ酷い人間か分かるというものだ。
 それなのに、魔女は後悔の言葉を口にし、オーウェン様に謝っている。なにか裏があるのかと思ったが、その顔に浮かんだ表情はどこまでも真剣だ。オーウェン様も魔女の言動に動転したのか、掠れるような一言を呟く。
「な、にを……」
「あの時の私はあまりにも愚かだったわ。今更言い訳にしかならないけれど、愛すべき第1子に呪いをかければ、コーネリアス……あなたの父親も、私を騙したことを悔いると思ったの。呪いを解く条件も『誰かがオーウェン殿下を心から愛すること』にしたから、直ぐに解けると信じて疑わなかった。呪いはかけた私自身でも最初に定めた条件を守らなければ解くことができないけれど、親が我が子を愛さない筈ないんだから、何も問題はないだろうと思っていたの。愚かな私はまさかコーネリアス達が呪いにかかったあなたを捨てるなんて考えもしなかったわ。もう少し思慮深ければ簡単に分かることだったのにね。コーネリアスやその周囲の人間がそんなに優しい心の持ち主なら、最初から私のことを騙して嵌めたりする筈ないもの」
 その話に俺は耳を疑った。なんという事だろう。魔女の話が本当なら、オーウェン様が呪いで長い間苦しむことになったのは魔女にとっては予想外のことで、最初から王様達が思いやり溢れる人間だったなら、簡単に済んだ事だったということになる。俺の中で王様に対する敵愾心が膨れ上がった。
 それは魔女の話を聞いていた他の人々も同じだったようで、皆が王様に対して不信感を持ったようだ。広間に居る大勢の人々の間に、動揺が広がる。顔を見合せたり、眉を顰めたりする婚約者候補とその付き添いの人やその他要人達。『どういうこと?』、『陛下がオーウェン殿下を捨てた?』、『我が子を愛していなかったって?』と、野次馬根性いっぱい、不安そうに囁き合う声。魔女に向けられていた畏怖の視線が、今度は好奇の色を含んだものに変わって王様に向けられる。
 これに慌てたのはいきなり人々の注目の的になった王様だ。無理もない。周囲からの評価が、今の今まで『多少の落ち度があったとは言え、大切な我が子に理不尽に呪いをかけられた哀れな被害者』だったのに、忽ち『自分のせいで魔女に呪いをかけられた愛すべき我が子を無慈悲にも見捨てた、非道な冷血漢』となってしまったのだから。
 上流階級の人間は大変なゴシップ好きだ。婚約者候補選定のこのパーティーには、国内外問わず色んな高貴な血筋の家から多くの人間を呼んだので、このままではこの不祥事は瞬く間に大陸中の上流階級に、いいや、人の口にとは立てられないので、市井にだって広まってしまうだろう。そして、もう1つの上流階級の人間の特徴として、対面を大変大事にするというものがある。このままでは我が国と王家は遠くの国々、山奥の寒村に至るまで、余すことなく知れ渡るいい笑いものだ。そんなの、プライドの高い王様に耐えられる筈がない。焦った王様は泡を食って反駁を始めた。
「嘘だ! マーゴは……魔女は嘘を言っている! 私を貶めようとして、事実ではない、ありもしないことを言っているんだ!」
 何を言っているんだか。王様がオーウェン様を捨てたのは、本当のことだろうに。俺は王様が……王様やその周囲の人間達が、オーウェン様をどんな酷い環境に置いていたのかを知っている。あんな家畜以下の扱いをしておくことを看過するなんて、ただ捨てるよりなお酷い。
 その事をこの場で糾弾してやりやたかったが、残念ながらそれが俺にはできなかった。俺はオーウェン様に仕える際に、オーウェン様に関する一切の秘密を口外しないという精霊の契約書にサインをしてしまっている。精霊の契約書にサインをしたからには、契約を破ったら即精霊に殺されてしまう。駆け落ちを控えている今、俺はオーウェン様を残して死ぬ訳にはいかなかった。
 そして、王様のセリフを聞いた周囲の反応は半信半疑といった様子。長く悪者として疎まれ続けてきた魔女のことをいきなり信じるのは、あまりにも早計だ。しかし、魔女の言葉は真実味に溢れ、糾弾された王様の態度はいかにも怪しい。一体どちらの味方をすればいいのだろうか。
 人々は疑念と敵意、好奇心の籠った目で、魔女と王様を交互に見る。周囲の様子から非人道的な行いをしたと疑われている事を察した王様は、何とか味方を増やそうと更に言葉を重ねた。
 「皆さん! 魔女の言うことを信用してはなりません! この魔女は私に恨みを持っているのですよ? 嘘も混じえて私の事を悪し様に言うのは、当然の事じゃありませんか! 魔女は私憎さに無関係の我が息子、オーウェンに呪いをかけたくらい、無分別で非理性的人格の持ち主です。私を攻撃する為ならば、自分に都合のいい嘘だって平気でつくに決まってます! ですが、私は違います。確かに魔女から魔法を手に入れた手段は少々いけなかった。私も若かったとは言え、もっと他にやり方があった事でしょう。それについては、反省しております。ですが、それもこの国を、民を思ってしたことだ! 決して私利私欲に基づいた身勝手な行動ではないのです! 第一、皆さんご存知の通り息子の呪いを解いたのは、私達王家で、オーウェンの家族なんですよ? その事実に魔女の言っていることは反しているではありませんか! 魔女が嘘をついている何よりの証拠です! 自分の目的の為なら手段を選ばない嘘つきで無法者のこの魔女と、手段を間違えたとは言え民を思い国の為になる事をした私、どちらがより信用すべき相手か、賢い皆さんならもうお分かりですよね?」
 よくもまあ、そんな嘘をしゃあしゃあと。先に魔女を攻撃し、オーウェン様を傷つけたのは、王様、あんただろう! クソッ、俺が真実を喋れたらな。そうしたらここで真実の暴露をしてやるのに。王様の方こそ被害者のフリをした加害者、面の皮の厚い大嘘つきだ!
 ところが、聴衆はそうは思わなかったらしい。ペラペラとよく回る舌から紡ぎ出される耳触りのいい言い訳に惑わされ、魔女ではなく王様の方を信じることにしたようだ。王様を哀れみの目線を向け、反対に魔女に敵意の篭もった目で睨みつける。どうやら広間に居た人間の大半が王様の味方についたようだ。『まあ、なんて酷い』、『自分の誤りを棚に上げて、コーネリアス陛下に責任転嫁しようとしてるんだわ』、『実はコーネリアス陛下が魔女を騙したというのも間違いで、本当は魔女の方が全面的に悪いのでは?』。今度は先程と打って変わって王様を擁護し、魔女を非難する囁き合いが聞こえてくる。俺はそれを忌々しい気持ちでただ聞いていることしかできない。
 そして、広間いっぱいに魔女への憎悪が広がっていって、それが最高潮に達しようとした、その瞬間。魔女へのあらゆる悪感情で淀んだ空気を、凛とした一声いっせいが切り開く。
「……魔女の言ったことは嘘ではない。父上と母上は魔女の呪いにかかって生まれた僕を、一目見るなり遠ざけられた。祖父母も、兄弟も、それ以外の親族も、誰も僕を顧みることなく、生まれて以来つい最近呪いが解けるまで、1度たりとて僕の顔を見にこられることすらなかった。僕の呪いを解いてくれたのも僕の家族ではなく、呪われた醜い僕相手でも見捨てることなく傍に寄り添って愛してくれるような優しい心を持った、全くの他人だ」
 俺も含めたその場にいる全員の視線が、声の聞こえた方に向けられる。そこには、オーウェン様の姿が。オーウェン様は今まで見たこともないような険しい目付きで王様を睨めつけ、壮絶な悲壮感を全身から漂わせている。それが真実とは言え、こんな大衆の面前で面と向かって王様を糾弾するのは、その生育歴からまだ人を怖がるところのあるオーウェン様にとっては、さぞ勇気がいることだったことだろう。強い意志とほんの少しの脅えを見せるどこか心ともない立ち姿が、オーウェン様の覚悟の程を示しているかのようだった。
 突然のオーウェン様の告白に、大衆は色めき立ってもう大騒ぎだ。最早貴人らしく密やかに話すことも忘れて、興奮のままどういう事だ、オーウェン様が言ったことは本当のことか、と言い合っている。突然出てきたオーウェン様の新証言で、場は上へ下への大騒ぎ。1度は収まった王様への好機と侮蔑が大いに入り交じった視線が再び集中する。
 この事に王様は大慌てだ。なにせ、1度は自分に都合のいいように掌握できると思っていたその場の流れが、オーウェン様の発言で全部ひっくり返されてしまったのだから。王様は俺の目の前で顔を真っ赤にしながら怒り狂って叫ぶ。
「オーウェン! 貴様、何を!」
「全て本当のことではありませんか! 父上、僕は何もかも知っています。呪われた僕を殺さなかったのは、対象者を殺すことで魔女の呪いが次にどこに跳ね返るか分からなくてできなかっただけだということも。名付けたのはまた魔女の攻撃が再開されたもしもの時、それに対抗する為の身代わりの魔法を使おうとするのならば、その魔法の起動に必要な生贄を術式に組み込む時に、名無しだと不便だったからという理由だけだということも。全部、全部、知っているのです! 僕を最低限死なせないように世話する為、出入りする噂好きの使用人達が悪し様に言うのを聞いて、教えられましたからね!」
 何だと? それは、俺も知らなかった事実だった。恐らくオーウェン様にとっても、あまりにも悲しく受け入れ難いことだったので、俺に伝えられなかったのだろう。我が子の生き死にを自分の損得だけで決めて、犠牲にすることを前提で生かし、生まれて最初に贈る名前という贈り物にも祝福でなく悪意を込めるなんて。あまりにも酷い。王様達は本当に人の心を持っているのか? これは全部人でなしのやることだ。愛する人の置かれてきた想像を超えた地獄に、俺は絶句する。
 オーウェン様の不遇を思って、身の内でフツフツと怒りの炎が滾った。感情に任せて目の前の王様を睨みつける。王様もそれに気がついて、恐怖でビクッと体を震わせた。俺が本当に王様を殺しかねない目をしていたらしく、慌てて誰かに助けを求めようと周囲を見渡したようだが、他の人間にも似たような目で見られて縮こまる。オーウェン様の発言によって最早王様のことを信じる人は誰もいない。嘘は全て暴かれた。それでも王様は往生際悪く、尚も身の潔白を喚く。
「違う! 魔女がオーウェンに嘘を言わせてるんだ! オーウェンは魔女に嘘をつくよう魔法をかけられている!」
「魔法は便利だけれど、万能ではないわ。そんなことはできないし、できたとしても誰かに言うことを聞かせられるのなら、そんな回りくどいことせずにあなたに自殺させるなりなんなりして、殺せば済む話しでしょう」
「黙れ! この邪悪な魔女め! 誰か! 早くこいつを殺せ! 誰か!」
 しかし、その命令に王族も、貴族も、兵士ですら誰も動かなかった。今や王様の言葉には少しの重みも、価値もない。誰しもが汚物を見るような目を向け、近寄られれば不快感で顔を歪める。王様が何とか周りに言うことを聞かせようとその場で喚き散らす様子は、傍から見ていてとてもみっともなく哀れな光景だった。
 そんな王様を静かに見ていた魔女が、唐突に片手を上げる。その動作に気を取られた王様は、半狂乱になって暴れ回るのを止めて、血走った目で魔女を睨みつけた。王様がこちらに注目したのを確かめてから、魔女は口を開く。
「コーネリアス、あなたは昔と全然変わらないのね。いつまで経っても自分が世界の中心だと思っていて、幼稚で愚かなまま。まるで成長も学習もしない。そんなあなたに、私は今度こそ罰を与える」
「何ぃ!?」
 魔女は挙げた手の人差し指をスッと立て、王様にニッコリと笑いかけた。挙げた手をユックリと下ろし、ある一点を指さす。その指が指し示す先にいるのは、またもやオーウェン様だ。そして魔女はオーウェン様を指さしたまま、とんでもないことを言い出した。
「あなた、あんな酷い扱いをして遠ざけてたくらいだもの。あの子、要らないのよね? 生贄として使おうとしてたみたいだし、どうでもいい命なんでしょう? ……要らないのなら、私が貰うわ」
 一瞬、突き刺すような鋭い魔法反応の閃光が光る。思わず強く目を瞑りそれをやり過ごした後、目を開けた俺は真っ先にオーウェン様の無事を確認した。そして、目の前に突きつけられた光景に愕然とする。
 ああ、なんという事だろう。オーウェン様の体が、薄らと光に包まれている。それは他でもない、あの呪いが解けた日に見たのと同じ、魔法反応による光。オーウェン様を苦しめた、呪いの光だ。しかも今回は魔法解除の為に反応して発光しているのではない。なんの呪いも魔法もかけられていないオーウェン様が魔法反応の光に包まれているとしたら、その理由はただ1つ。魔女が、再びオーウェン様に呪いをかけたのである。
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