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「えっ! 例の彼氏君と同棲始めたの!? 確かこないだお付き合いし始めてからて1ヶ月迎えたばっかだったよね!? 展開早くない!?」
昼休憩のランチ中、仲のいい同僚でありゲイ友でもある立花 湊が、驚きの声を上げる。然もありなん。驚かれるのも無理はない。立花が言うことはもっとだ。確かに僕も、交際1カ月で同棲は我ながら色々と早いと思う。例え僕こと馬淵 圭介の彼氏、溝口 隼人が、とってもかっこいいイケメンで、薬剤師として働く程頭もよく、僕のことをとてもよく気にかけてくれる素敵な人だとしても。
「仕方ないだろ。ただでさえ隼人の仕事が忙しくてすれ違い生活なんだから、こうやって一緒にいられる時間を無理矢理にでも増やさないと、お互い不安になっちゃうよ。ま、僕や隼人が相手を裏切るようなことをするなんて、お互いにまかり間違っても有り得ないけど」
まあ、それはそれとして置いておいても、付き合った年月の短さによって同棲しちゃいけないことにはならない。なにより『少しでも2人の距離を縮めたいから、一刻も早く同棲をしたい』というのは年下彼氏の可愛い頼みだ。叶えてあげたいと思うのが人情というものだろう。頼まれたが最後、断るという選択肢はあり得ない。
立花とはまた別のゲイ友に初めて連れていってもらったゲイバーで、隼人に出会ってから早1ヶ月半。出会ってから半月間、隼人の方から『運命を感じた』と猛アタックされまくってお付き合いを始めたのが、出会ってから半月後の1か月前。色々と展開が早い自覚はあるが、僕だって隼人に運命を感じちゃって、率先してホイホイいいように流されちゃってるんだから、まあ、仕方がない。どっちもどっちってやつだ。そうでしょ?
「……でもさぁ、それって本当に大丈夫なの?」
「大丈夫って、何が?」
「だって、馬淵の彼氏君って……ほら、あれじゃん?」
立花がモニョモニョと言いにくそうに言葉を濁す。が、僕は立花が何を言いたいのかは分かっていた。隼人の性格のことだ。
「もう、だから言ったろ? 隼人は立花が思っているような酷い奴じゃないって」
「でも、数時間おきに安否確認のメールか電話強制してるし」
「付き合いたてで時間を惜しまずイチャイチャしたいんだよ。僕が受け入れてるんだから問題ない」
「馬淵のスマホに位置追跡アプリ入れさせてるし」
「僕がどこで何してるのか気になるだけさ。可愛いもんだ。恋人にこれだけ気にかけてもらえるって嬉しいよね」
「同棲する前とか馬渕の部屋にペット監視用の見守りカメラ何個も仕掛けさせてたじゃん」
「それは同意の上だからいいの。風呂とトイレはカメラつけてないんだから、最低限のプライバシーは守られてるんだし、問題ないでしょ?」
なんだよ、その顔。そのかわいそうなものを見る目を止なさい! 確かに隼人はちょっとだけ……本当にちょっとだけ、束縛気味なところがあるのは僕も認めるよ? でもそれを僕が全部受け入れてるんだからいいじゃんか。SМプレイとおんなじさ。普通じゃないことでも双方の合意があるんだから、ノープロブレム。いくら親友とはいえ、外野の立花に文句を言われる筋合いはないやい!
「でもさぁ、馬淵。お前、まだ言われてないんだろ、例の言葉」
ギクリ。立花の言葉に、体が強張る。ああ、痛いところを突かれてしまった。他のことならまだ反論の余地はあるんだけれど……。それ言われるとグウの音もでないんだよなぁ。そんな俺の緊張を目敏く察した立花が、それみたことかと眉根を寄せて僕を諭そうとしてくる。
「なあ、馬淵。なにも俺はお前とお前の彼氏君の仲がいいのが妬ましくって、破局させてやろうとこんなことを言っているわけじゃないんだぜ? 純粋に友達として、お前のことが心配だからお節介上等で口出ししているんだ」
「勿論、そのことはよく分かってるつもりさ。立花の優しさを疑ったこともないよ。でも僕は、友達の立花の思いやりを信じるのと同じかそれ以上に、恋人の隼人の真心も信じているんだ」
「でもさぁ、馬淵。いくら何でも1ヶ月付き合っただけで即同棲に持ち込みたくなるような相手なら尚更、相手に『愛してる』って伝えてくれないのはおかしいことだと、俺は思うぜ?」
「……」
その立花の言葉に言い返すことができなくて、黙り込む。そう、そうなのだ。立花が僕の恋人の誠実さを疑っている原因。ほんの僅かな僕の隼人に対する不信感の元凶。それは、隼人が出会ってからこの方『愛してる』と、1度も僕に伝えてくれないことなのだ。
僕達は恋人同士なんだから、付き合って日が浅いので回数自体は少ないが、勿論キスもセックスもしている。でも、嫌なとり方をすれば、所詮それだけ。僕は『愛してる』はおろか『好き』だとすら、好意を匂わせる程度で直接的なことは何も隼人から言われたことがないのだ。当然、僕だって隼人の口から『愛してる』と言ってもらえるよう、努力はしたさ。『僕のことどう思ってる?』って聞いてみたり、ベッドの中で強請ってみたり、色々ね。
でも、結局全部失敗した。隼人はまるで『愛してる』とか、それに類する言葉は言ったらいけないと、そう自分に課しているかのようにその言葉を口にしてくれない。その事に少なからず悩んだ僕が立花に事の次第を相談しすると、立花はこんな推測を立てた。『実は隼人は好きでもなんでもないけど性欲処理の為に僕と付き合っていて、しかも本当に惚れた相手以外に好きと言いたくない変なポリシーを持っており、それで愛していると言ってくれないんじゃないか』って。
勿論、僕はそんなことないって隼人のことを信じてるよ? 世の中には言葉にしない愛もある。贈り物をくれたり、抱きしめてくれたり、隼人の行動から愛されていると感じているのも事実だ。でも、こうまで頑なに『愛してる』と言ってもらえないと、不安になるのは確かで……。やっぱり、ハッキリ言葉にしてもらえないと伝わらない部分もあると僕は思うんだよね。
その事は立花にも指摘されていて、僕はそれに対する納得のいく返答というか、自分をごまかしきれる上手い言い訳を未だ思い付けずにいた。当たり前だ。僕自身が隼人の行動に対して僅かながらも不信感を持っているんだから、隼人を信じ切るに値する丁度いい理由なんてそうそう思いつく筈がない。結局僕は今日も、立花に要らぬ心配をかける羽目になっている。
「なあ、絶対おかしいって。普通付き合ってる相手になら『好き』は勿論『愛してる』だって出し惜しみするどころか、寧ろ言いまくるもんだろ? 付き合いたての蜜月なら尚更だ。言いたかないけど、やっぱ体目的なんじゃ」
「そんなことある筈ないって! 隼人はそんながっついてないもん! それに、隼人の方が忙しくて僕達そんな回数こなせてるわけじゃないし、いつも気持ちよくしてもらってるのはどっちかっていうとこっちの方だ」
「ヤリたい時に直ぐヤレる相手が欲しいだけかもしんねぇじゃん。そうだな。体目的じゃないのなら、金とか?」
「まさか! 隼人はまだ若いけど薬剤師だよ? 普通のリーマンの僕とじゃ稼いでくる額が違う。そりゃぁ僕の方が年上だから今の部屋の家賃は多く出してるけど、それだって僕から言い出したことだ。恥ずかしい話僕は貯金もなにもいたって普通でそうたいして持ってないし、将来的に莫大な遺産が転がり込んでくる予定もない。金目的なんて、有り得ない!」
「でも、家賃光熱費食費とか折半した方がお得になるからとか有り得ることねぇ? 馬渕、家事とか得意なんだろ。……あ、じゃあ、他人と一緒に暮らす面倒を差し引いてでも、家事とか身の回りの世話をしてくれる相手が欲しかったとか?」
「そ、それは……」
言い返せない。確かに、家の家事のことは僕が取り仕切っている。なんの取り柄もない僕だけど、だからこそ可愛い年下の恋人にそれくらいしてやりたくて。特に取り立てて得意という訳でもなかったのだが、一生懸命練習して、担当にしてもらったんだ。僕が隼人にしてあげられることなんて、それくらいしか思いつかなかったから。
でも、若し隼人が僕と付き合っている目的がそれだったとしたら? 隼人とはゲイバーで出会った。最初に話しかけてきたのは隼人の方で、カッコイイ年下の男の子に声をかけられたことに舞い上がった僕は、聞かれるままになんでも躊躇いなく喋ったと思う。もしその時隼人が、自分好みの従順な『家政夫』を探していて、こっそり『面接』をしていたとしても、気が付かなかっただろう。
そういえば以前隼人は、僕が自分の方が時間に余裕のあるから家事をやるよと言ったら、自分はそういう事が苦手だから助かると言っていたっけ。あの時、有難うと僕に笑いかける裏でしめしめとほくそ笑んでいたんだろうか? しつこいくらいの安否確認も、便利な自分の所有物を管理してるつもりだから? それか、あれは実は行き先を気にしてるんじゃなくて、なるだけ僕が家にいない時間に帰宅しようと探っていたとか?
巡りだした悪い考えはもう止まらない。すっかり意気消沈して俯く僕に、立花は痛ましげに声をかけてくる。
「まぁ、その彼氏君が悪い奴と決まったわけじゃねぇけどさ。何か訳ありなのは確かだぜ。例えゲスい考え持ってなくても『昔死んだ恋人のことが忘れられないから、その恋人以外に愛は囁きたくない』とか『本命以外に愛してるなんて言いたくないしお前は本命じゃない』位言われるかもしれん。1度しっかり話し合った方がいいと思うぞ」
「うん……。そうだね」
立花の言葉に力なく返事を返し、のろのろと食べかけのランチを口に運ぶ。すっかり冷めてしまったそれは、もうあまり美味しくなかった。
その日の夜。僕は立花と話した余韻で多少暗い気持ちを引きずりながら、2人分の夕飯の支度をしていた。今日の夕飯は酢豚。隼人のご希望の1品だ。ネットで簡単なレシピを探してそれを実践してるけど、それでもやっぱり手間はかかる。久しぶりに隼人と一緒に夕飯を食べられるというのでなければ、作ったりしなかっただろう。
最近ようやくおぼつかなくなってきた手付きで野菜を切りながら考える。『隼人の本当の気持ちは、一体どんな物なのだろうか』と。僕のことを愛してるって言うのは本当なのか。それとも、やっぱり都合がいいから損得のバランスを考えて付き合ったりしてるんじゃ……。
おっと、危ない。そんな暗いことを考えていたら、うっかり指を切りそうになった。料理に血が混じったら事だ。集中、集中。……そうは思いつつもやっぱり意識は思案事に引っ張られるわけで。嫌な考え事は止められない。
本当に隼人はどうして僕なんかと付き合っているんだろう。僕はこれといって取り柄のない、平凡な男だ。特別若いわけでもなければ、見た目がいいわけでもない。性格も、頭も、家柄も、パッと頭に思いつく限りで人を惹きつける何かを持っているのではないのだ。
それなのに、隼人は初対面で僕のことを見初めてくれた。数いる人間の中から、よりにもよって、なんて言ったら聞こえが悪いが、なんで僕が選ばれたのだろう? 怪しいといえば、確かに怪しい。
……やっぱり、こんな風にグルグルモヤモヤ思い悩むくらいなら、いっその事思いきって隼人に僕のことどう思ってるのか聞いてしまおうか。丁度今日なら隼人の帰宅時間も早いらしいし、時間はある。話し合いにはもってこいだ。
そうやって僕が密かに覚悟を決めていると、ネット検索したレシピを見る為に近くに置いたままだったスマホから、急にコール音がした。慌てて手を洗って通話ボタンをタップし、スマホを耳に当てる。
「もしもし?」
『ああ、圭介。俺だよ』
「は、隼人! どうしたの?」
今正に考えていた相手から電話がかかってきたことに動揺して、少し声が震えてしまった。いけない。平常心、平常心。そんな僕の心中など隼人に分かる筈もなく。軽いパニックで変な汗をかき始めた僕とは裏腹に、電話向こうの隼人声はあくまでも落ち着いたトーンだ。
『圭介、悪いんだけどさ……。今日一緒にご飯食べられなさそう』
「え」
『なんか大量の急患と職員の体調不良での早退のダブルパンチで、ペーペーの俺まで駆り出されることになってさ……。今の今まで拘束されててとてもじゃないけど連絡できる暇すらなかったから、伝えるのがこんな遅くになっちまった。もう飯の準備してくれてたんだろ? 圭介の作った料理が食べたいって俺から言い出したことなのに、本当にごめん』
「いや、まあそれは、忙しい仕事だって分かってるから、いいんだけど……」
食事の約束をすっぽかされたのは別にいい。だって隼人が命を預かる大事な仕事……それも、激務についてることくらい理解している。僕の不安事はもっと別のこと。話し合い、どうしよう。時期がズレればズレる程、1度は固めた筈の決意が鈍っていくことは火を見るよりも明らかだ。
そんな僕の不安を目敏く察知し、しかしその不安の内容までは理解しきれなかった隼人は、僕が約束を反故にされて不機嫌になったと思ったらしい。なおも謝罪の言葉を重ねてきた。
『本当にごめんな、圭介。この埋め合わせはいつか絶対するから』
「えっ、あ、いやいや。そんなのぜんぜん気にしなくていいんだよ、隼人。こうして電話越しでも声を聞けただけでも僕は充分嬉しいし」
『でも』
食い下がってくるなー。ま、それだけ気にしてくれてるんだろう。これだけ気にかけてくれているんだから、やっぱり立花の言っていたような『都合のいい関係』なんて、思い違いだったんだ。なんだか変に疑ってしまって、隼人には申し訳ないことしたな。そんな罪悪感に誘われ、隼人にこれ以上気をもませたくないという空回った気遣いもも相まって、僕はついついポロリと言わなくていいことを零してしまう。
「本当に、気にしなくていいんだってば。何か心配なことがあったり寂しくなったりしたら、友達の立花とでも電話で話したりして紛らわすから、隼人は心置きなくお仕事に集中してて」
『……はぁ? なんでそこで圭介の友達が出てくるわけ?』
あ、まずった。ハッキリと何がかは分からない。けど、スピーカー越しでもわかる程、一気に不機嫌な響きを孕んだ声を聞いて、瞬間的にそう思った。自分は今、確実に隼人の地雷を踏んだのだ。サァーッと全身の血の気が引いて固まった僕の耳に、隼人の不機嫌な声が無慈悲に追い打ちをかける。
『前々から思ってたけどさ。圭介その立花って人と仲良すぎじゃない? 毎日一緒にランチに行って、時間合わせて一緒に出勤したり退勤したり。2人切りでしょっちゅう飲みに行くし、話題もその人の事ばっか。しかも、相手もゲイなんだろ? 正直、あんまりいい気はしない』
「え……。なに? まさか僕と立花との浮気を疑ってるの? ないない、有り得ないよ! だって、僕達はただの友達で、やましいことなんて1つもない!」
必死に弁明するが、その言葉が隼人に届いた手応えはない。スピーカーから聞こえてくる声は相変わらず酷く冷めていて、容赦なくこちらを追い詰めてくる。
『口ではなんとでも言える。もういっその事洗いざらい話すが、実は前々から圭介が俺以外の奴とコンタクトを取ること自体、あんまりよく思ってなかったんだ。俺達恋人同士なんだし、なにより俺にとって必要なのは圭介だけだから、圭介にとっても俺がそうであって欲しいと思ってて……』
隼人が何か言っているようだが、どうやら自分は立花との関係を以前から疑われていたらしいということがショック過ぎてまともに何も頭に入ってこない。本当に、立花とはただの友達で、1番近くの趣味趣向が合う相手ってだけで、お互い相手の部屋に行った事すらないのに。まさか、昼間隼人の気持ちを疑って、立花とあれやこれや好き勝手言ったから、そのバチが当たったのか? そんな、そんなのあんまりだ。
ショックを受けて茫然自失としてなんの言葉も返せない僕に、流石に隼人もトーンダウンした。先程よりかはいくらか和らいだ声音で、僕に語り掛ける。
『……悪い。仕事が忙しくてイラついた。八つ当たりだよな、こんなの。今回のことは完全に俺の落ち度なのに、こんな話して最低だ』
「ううん、僕の方こそ、隼人が不満に思ってるの、気がつけなかった。ごめんね」
『……呼ばれてる。もう行かなくちゃ。帰ったらまたじっくり話そう』
「うん。そうだね……」
プツッ。と電話が切れて、声が聞こえなくなる。僕は切れた電話を片手に持ち、それを下ろすことすらできずに耳に当てたまま、呆然と立ちつくすのだった。
どうしよう。隼人と喧嘩してしまった。お付き合いしてから初めての喧嘩だ。いつもなら何か困り事があった時は立花に電話なりなんなりして相談するのだけれど、流石に今日ばかりはそんな気分になれない。そういう僕の態度が喧嘩の原因となったのだから、当然だ。はぁーっ、と深く溜息をついて、頭を抱える。
僕は自分でも結構要領がいいほうだと思う。今まで人との意見の対立や、軋轢とは無縁の人生を送ってきた。意見されれば流され、要望を突きつけられたらそれに従い……。いや、これは要領がいいと言うよりは、自分というものがないというべきだな。要領がいいと言うにはあまりにも情けない。
兎に角、そんな滅多にというかほぼほぼ他人と喧嘩したことのない僕は、喧嘩に付随する仲直りの仕方も当然分からないのだ。ああ、このまま隼人と喧嘩別れなんかになったりしたら、どうしよう。そんな事になったりしたら後悔してもしきれない。それだけは絶対に回避しないと。
その為に必要なのは1にも2にも話し合いだ。話し合って隼人の僕と立花に対する誤解を解かなくては。それは早ければ早いほどいい。そう思って僕は、今日は遅くなるであろうと容易に想像のつく隼人を待つことにした。
翌日は休みだったのでどれだけ夜更かししても会社を遅刻する心配はなかったけれど、微妙に体が弱くて少しでも不養生な生活をするとすぐに持病のアレルギーが酷くなる為、毎日早寝早起きを心掛けている僕としてはなかなか思いきった決断だ。けど、例え体調を犠牲にしてでも、隼人と話し合いの場を持ちたかったんだ。今日は隼人が帰ってくるまで、何時間でも粘るぞ。
だが、そんな決意も虚しく。現実とは無情だ。覚悟を決めた気持ちとは裏腹に、僕の体は連日の規則正しい生活に慣れていて、当然のように日付を超えたあたりから猛烈な眠気が襲い出す。駄目だ駄目だと思いつつも、三大欲求のうちの1つには抗えず、僕は自分でも自覚しないままコクリ、コクリ、と船を漕ぎ出し、そのまま眠りの世界へと旅立って行ったのであった……。
昼休憩のランチ中、仲のいい同僚でありゲイ友でもある立花 湊が、驚きの声を上げる。然もありなん。驚かれるのも無理はない。立花が言うことはもっとだ。確かに僕も、交際1カ月で同棲は我ながら色々と早いと思う。例え僕こと馬淵 圭介の彼氏、溝口 隼人が、とってもかっこいいイケメンで、薬剤師として働く程頭もよく、僕のことをとてもよく気にかけてくれる素敵な人だとしても。
「仕方ないだろ。ただでさえ隼人の仕事が忙しくてすれ違い生活なんだから、こうやって一緒にいられる時間を無理矢理にでも増やさないと、お互い不安になっちゃうよ。ま、僕や隼人が相手を裏切るようなことをするなんて、お互いにまかり間違っても有り得ないけど」
まあ、それはそれとして置いておいても、付き合った年月の短さによって同棲しちゃいけないことにはならない。なにより『少しでも2人の距離を縮めたいから、一刻も早く同棲をしたい』というのは年下彼氏の可愛い頼みだ。叶えてあげたいと思うのが人情というものだろう。頼まれたが最後、断るという選択肢はあり得ない。
立花とはまた別のゲイ友に初めて連れていってもらったゲイバーで、隼人に出会ってから早1ヶ月半。出会ってから半月間、隼人の方から『運命を感じた』と猛アタックされまくってお付き合いを始めたのが、出会ってから半月後の1か月前。色々と展開が早い自覚はあるが、僕だって隼人に運命を感じちゃって、率先してホイホイいいように流されちゃってるんだから、まあ、仕方がない。どっちもどっちってやつだ。そうでしょ?
「……でもさぁ、それって本当に大丈夫なの?」
「大丈夫って、何が?」
「だって、馬淵の彼氏君って……ほら、あれじゃん?」
立花がモニョモニョと言いにくそうに言葉を濁す。が、僕は立花が何を言いたいのかは分かっていた。隼人の性格のことだ。
「もう、だから言ったろ? 隼人は立花が思っているような酷い奴じゃないって」
「でも、数時間おきに安否確認のメールか電話強制してるし」
「付き合いたてで時間を惜しまずイチャイチャしたいんだよ。僕が受け入れてるんだから問題ない」
「馬淵のスマホに位置追跡アプリ入れさせてるし」
「僕がどこで何してるのか気になるだけさ。可愛いもんだ。恋人にこれだけ気にかけてもらえるって嬉しいよね」
「同棲する前とか馬渕の部屋にペット監視用の見守りカメラ何個も仕掛けさせてたじゃん」
「それは同意の上だからいいの。風呂とトイレはカメラつけてないんだから、最低限のプライバシーは守られてるんだし、問題ないでしょ?」
なんだよ、その顔。そのかわいそうなものを見る目を止なさい! 確かに隼人はちょっとだけ……本当にちょっとだけ、束縛気味なところがあるのは僕も認めるよ? でもそれを僕が全部受け入れてるんだからいいじゃんか。SМプレイとおんなじさ。普通じゃないことでも双方の合意があるんだから、ノープロブレム。いくら親友とはいえ、外野の立花に文句を言われる筋合いはないやい!
「でもさぁ、馬淵。お前、まだ言われてないんだろ、例の言葉」
ギクリ。立花の言葉に、体が強張る。ああ、痛いところを突かれてしまった。他のことならまだ反論の余地はあるんだけれど……。それ言われるとグウの音もでないんだよなぁ。そんな俺の緊張を目敏く察した立花が、それみたことかと眉根を寄せて僕を諭そうとしてくる。
「なあ、馬淵。なにも俺はお前とお前の彼氏君の仲がいいのが妬ましくって、破局させてやろうとこんなことを言っているわけじゃないんだぜ? 純粋に友達として、お前のことが心配だからお節介上等で口出ししているんだ」
「勿論、そのことはよく分かってるつもりさ。立花の優しさを疑ったこともないよ。でも僕は、友達の立花の思いやりを信じるのと同じかそれ以上に、恋人の隼人の真心も信じているんだ」
「でもさぁ、馬淵。いくら何でも1ヶ月付き合っただけで即同棲に持ち込みたくなるような相手なら尚更、相手に『愛してる』って伝えてくれないのはおかしいことだと、俺は思うぜ?」
「……」
その立花の言葉に言い返すことができなくて、黙り込む。そう、そうなのだ。立花が僕の恋人の誠実さを疑っている原因。ほんの僅かな僕の隼人に対する不信感の元凶。それは、隼人が出会ってからこの方『愛してる』と、1度も僕に伝えてくれないことなのだ。
僕達は恋人同士なんだから、付き合って日が浅いので回数自体は少ないが、勿論キスもセックスもしている。でも、嫌なとり方をすれば、所詮それだけ。僕は『愛してる』はおろか『好き』だとすら、好意を匂わせる程度で直接的なことは何も隼人から言われたことがないのだ。当然、僕だって隼人の口から『愛してる』と言ってもらえるよう、努力はしたさ。『僕のことどう思ってる?』って聞いてみたり、ベッドの中で強請ってみたり、色々ね。
でも、結局全部失敗した。隼人はまるで『愛してる』とか、それに類する言葉は言ったらいけないと、そう自分に課しているかのようにその言葉を口にしてくれない。その事に少なからず悩んだ僕が立花に事の次第を相談しすると、立花はこんな推測を立てた。『実は隼人は好きでもなんでもないけど性欲処理の為に僕と付き合っていて、しかも本当に惚れた相手以外に好きと言いたくない変なポリシーを持っており、それで愛していると言ってくれないんじゃないか』って。
勿論、僕はそんなことないって隼人のことを信じてるよ? 世の中には言葉にしない愛もある。贈り物をくれたり、抱きしめてくれたり、隼人の行動から愛されていると感じているのも事実だ。でも、こうまで頑なに『愛してる』と言ってもらえないと、不安になるのは確かで……。やっぱり、ハッキリ言葉にしてもらえないと伝わらない部分もあると僕は思うんだよね。
その事は立花にも指摘されていて、僕はそれに対する納得のいく返答というか、自分をごまかしきれる上手い言い訳を未だ思い付けずにいた。当たり前だ。僕自身が隼人の行動に対して僅かながらも不信感を持っているんだから、隼人を信じ切るに値する丁度いい理由なんてそうそう思いつく筈がない。結局僕は今日も、立花に要らぬ心配をかける羽目になっている。
「なあ、絶対おかしいって。普通付き合ってる相手になら『好き』は勿論『愛してる』だって出し惜しみするどころか、寧ろ言いまくるもんだろ? 付き合いたての蜜月なら尚更だ。言いたかないけど、やっぱ体目的なんじゃ」
「そんなことある筈ないって! 隼人はそんながっついてないもん! それに、隼人の方が忙しくて僕達そんな回数こなせてるわけじゃないし、いつも気持ちよくしてもらってるのはどっちかっていうとこっちの方だ」
「ヤリたい時に直ぐヤレる相手が欲しいだけかもしんねぇじゃん。そうだな。体目的じゃないのなら、金とか?」
「まさか! 隼人はまだ若いけど薬剤師だよ? 普通のリーマンの僕とじゃ稼いでくる額が違う。そりゃぁ僕の方が年上だから今の部屋の家賃は多く出してるけど、それだって僕から言い出したことだ。恥ずかしい話僕は貯金もなにもいたって普通でそうたいして持ってないし、将来的に莫大な遺産が転がり込んでくる予定もない。金目的なんて、有り得ない!」
「でも、家賃光熱費食費とか折半した方がお得になるからとか有り得ることねぇ? 馬渕、家事とか得意なんだろ。……あ、じゃあ、他人と一緒に暮らす面倒を差し引いてでも、家事とか身の回りの世話をしてくれる相手が欲しかったとか?」
「そ、それは……」
言い返せない。確かに、家の家事のことは僕が取り仕切っている。なんの取り柄もない僕だけど、だからこそ可愛い年下の恋人にそれくらいしてやりたくて。特に取り立てて得意という訳でもなかったのだが、一生懸命練習して、担当にしてもらったんだ。僕が隼人にしてあげられることなんて、それくらいしか思いつかなかったから。
でも、若し隼人が僕と付き合っている目的がそれだったとしたら? 隼人とはゲイバーで出会った。最初に話しかけてきたのは隼人の方で、カッコイイ年下の男の子に声をかけられたことに舞い上がった僕は、聞かれるままになんでも躊躇いなく喋ったと思う。もしその時隼人が、自分好みの従順な『家政夫』を探していて、こっそり『面接』をしていたとしても、気が付かなかっただろう。
そういえば以前隼人は、僕が自分の方が時間に余裕のあるから家事をやるよと言ったら、自分はそういう事が苦手だから助かると言っていたっけ。あの時、有難うと僕に笑いかける裏でしめしめとほくそ笑んでいたんだろうか? しつこいくらいの安否確認も、便利な自分の所有物を管理してるつもりだから? それか、あれは実は行き先を気にしてるんじゃなくて、なるだけ僕が家にいない時間に帰宅しようと探っていたとか?
巡りだした悪い考えはもう止まらない。すっかり意気消沈して俯く僕に、立花は痛ましげに声をかけてくる。
「まぁ、その彼氏君が悪い奴と決まったわけじゃねぇけどさ。何か訳ありなのは確かだぜ。例えゲスい考え持ってなくても『昔死んだ恋人のことが忘れられないから、その恋人以外に愛は囁きたくない』とか『本命以外に愛してるなんて言いたくないしお前は本命じゃない』位言われるかもしれん。1度しっかり話し合った方がいいと思うぞ」
「うん……。そうだね」
立花の言葉に力なく返事を返し、のろのろと食べかけのランチを口に運ぶ。すっかり冷めてしまったそれは、もうあまり美味しくなかった。
その日の夜。僕は立花と話した余韻で多少暗い気持ちを引きずりながら、2人分の夕飯の支度をしていた。今日の夕飯は酢豚。隼人のご希望の1品だ。ネットで簡単なレシピを探してそれを実践してるけど、それでもやっぱり手間はかかる。久しぶりに隼人と一緒に夕飯を食べられるというのでなければ、作ったりしなかっただろう。
最近ようやくおぼつかなくなってきた手付きで野菜を切りながら考える。『隼人の本当の気持ちは、一体どんな物なのだろうか』と。僕のことを愛してるって言うのは本当なのか。それとも、やっぱり都合がいいから損得のバランスを考えて付き合ったりしてるんじゃ……。
おっと、危ない。そんな暗いことを考えていたら、うっかり指を切りそうになった。料理に血が混じったら事だ。集中、集中。……そうは思いつつもやっぱり意識は思案事に引っ張られるわけで。嫌な考え事は止められない。
本当に隼人はどうして僕なんかと付き合っているんだろう。僕はこれといって取り柄のない、平凡な男だ。特別若いわけでもなければ、見た目がいいわけでもない。性格も、頭も、家柄も、パッと頭に思いつく限りで人を惹きつける何かを持っているのではないのだ。
それなのに、隼人は初対面で僕のことを見初めてくれた。数いる人間の中から、よりにもよって、なんて言ったら聞こえが悪いが、なんで僕が選ばれたのだろう? 怪しいといえば、確かに怪しい。
……やっぱり、こんな風にグルグルモヤモヤ思い悩むくらいなら、いっその事思いきって隼人に僕のことどう思ってるのか聞いてしまおうか。丁度今日なら隼人の帰宅時間も早いらしいし、時間はある。話し合いにはもってこいだ。
そうやって僕が密かに覚悟を決めていると、ネット検索したレシピを見る為に近くに置いたままだったスマホから、急にコール音がした。慌てて手を洗って通話ボタンをタップし、スマホを耳に当てる。
「もしもし?」
『ああ、圭介。俺だよ』
「は、隼人! どうしたの?」
今正に考えていた相手から電話がかかってきたことに動揺して、少し声が震えてしまった。いけない。平常心、平常心。そんな僕の心中など隼人に分かる筈もなく。軽いパニックで変な汗をかき始めた僕とは裏腹に、電話向こうの隼人声はあくまでも落ち着いたトーンだ。
『圭介、悪いんだけどさ……。今日一緒にご飯食べられなさそう』
「え」
『なんか大量の急患と職員の体調不良での早退のダブルパンチで、ペーペーの俺まで駆り出されることになってさ……。今の今まで拘束されててとてもじゃないけど連絡できる暇すらなかったから、伝えるのがこんな遅くになっちまった。もう飯の準備してくれてたんだろ? 圭介の作った料理が食べたいって俺から言い出したことなのに、本当にごめん』
「いや、まあそれは、忙しい仕事だって分かってるから、いいんだけど……」
食事の約束をすっぽかされたのは別にいい。だって隼人が命を預かる大事な仕事……それも、激務についてることくらい理解している。僕の不安事はもっと別のこと。話し合い、どうしよう。時期がズレればズレる程、1度は固めた筈の決意が鈍っていくことは火を見るよりも明らかだ。
そんな僕の不安を目敏く察知し、しかしその不安の内容までは理解しきれなかった隼人は、僕が約束を反故にされて不機嫌になったと思ったらしい。なおも謝罪の言葉を重ねてきた。
『本当にごめんな、圭介。この埋め合わせはいつか絶対するから』
「えっ、あ、いやいや。そんなのぜんぜん気にしなくていいんだよ、隼人。こうして電話越しでも声を聞けただけでも僕は充分嬉しいし」
『でも』
食い下がってくるなー。ま、それだけ気にしてくれてるんだろう。これだけ気にかけてくれているんだから、やっぱり立花の言っていたような『都合のいい関係』なんて、思い違いだったんだ。なんだか変に疑ってしまって、隼人には申し訳ないことしたな。そんな罪悪感に誘われ、隼人にこれ以上気をもませたくないという空回った気遣いもも相まって、僕はついついポロリと言わなくていいことを零してしまう。
「本当に、気にしなくていいんだってば。何か心配なことがあったり寂しくなったりしたら、友達の立花とでも電話で話したりして紛らわすから、隼人は心置きなくお仕事に集中してて」
『……はぁ? なんでそこで圭介の友達が出てくるわけ?』
あ、まずった。ハッキリと何がかは分からない。けど、スピーカー越しでもわかる程、一気に不機嫌な響きを孕んだ声を聞いて、瞬間的にそう思った。自分は今、確実に隼人の地雷を踏んだのだ。サァーッと全身の血の気が引いて固まった僕の耳に、隼人の不機嫌な声が無慈悲に追い打ちをかける。
『前々から思ってたけどさ。圭介その立花って人と仲良すぎじゃない? 毎日一緒にランチに行って、時間合わせて一緒に出勤したり退勤したり。2人切りでしょっちゅう飲みに行くし、話題もその人の事ばっか。しかも、相手もゲイなんだろ? 正直、あんまりいい気はしない』
「え……。なに? まさか僕と立花との浮気を疑ってるの? ないない、有り得ないよ! だって、僕達はただの友達で、やましいことなんて1つもない!」
必死に弁明するが、その言葉が隼人に届いた手応えはない。スピーカーから聞こえてくる声は相変わらず酷く冷めていて、容赦なくこちらを追い詰めてくる。
『口ではなんとでも言える。もういっその事洗いざらい話すが、実は前々から圭介が俺以外の奴とコンタクトを取ること自体、あんまりよく思ってなかったんだ。俺達恋人同士なんだし、なにより俺にとって必要なのは圭介だけだから、圭介にとっても俺がそうであって欲しいと思ってて……』
隼人が何か言っているようだが、どうやら自分は立花との関係を以前から疑われていたらしいということがショック過ぎてまともに何も頭に入ってこない。本当に、立花とはただの友達で、1番近くの趣味趣向が合う相手ってだけで、お互い相手の部屋に行った事すらないのに。まさか、昼間隼人の気持ちを疑って、立花とあれやこれや好き勝手言ったから、そのバチが当たったのか? そんな、そんなのあんまりだ。
ショックを受けて茫然自失としてなんの言葉も返せない僕に、流石に隼人もトーンダウンした。先程よりかはいくらか和らいだ声音で、僕に語り掛ける。
『……悪い。仕事が忙しくてイラついた。八つ当たりだよな、こんなの。今回のことは完全に俺の落ち度なのに、こんな話して最低だ』
「ううん、僕の方こそ、隼人が不満に思ってるの、気がつけなかった。ごめんね」
『……呼ばれてる。もう行かなくちゃ。帰ったらまたじっくり話そう』
「うん。そうだね……」
プツッ。と電話が切れて、声が聞こえなくなる。僕は切れた電話を片手に持ち、それを下ろすことすらできずに耳に当てたまま、呆然と立ちつくすのだった。
どうしよう。隼人と喧嘩してしまった。お付き合いしてから初めての喧嘩だ。いつもなら何か困り事があった時は立花に電話なりなんなりして相談するのだけれど、流石に今日ばかりはそんな気分になれない。そういう僕の態度が喧嘩の原因となったのだから、当然だ。はぁーっ、と深く溜息をついて、頭を抱える。
僕は自分でも結構要領がいいほうだと思う。今まで人との意見の対立や、軋轢とは無縁の人生を送ってきた。意見されれば流され、要望を突きつけられたらそれに従い……。いや、これは要領がいいと言うよりは、自分というものがないというべきだな。要領がいいと言うにはあまりにも情けない。
兎に角、そんな滅多にというかほぼほぼ他人と喧嘩したことのない僕は、喧嘩に付随する仲直りの仕方も当然分からないのだ。ああ、このまま隼人と喧嘩別れなんかになったりしたら、どうしよう。そんな事になったりしたら後悔してもしきれない。それだけは絶対に回避しないと。
その為に必要なのは1にも2にも話し合いだ。話し合って隼人の僕と立花に対する誤解を解かなくては。それは早ければ早いほどいい。そう思って僕は、今日は遅くなるであろうと容易に想像のつく隼人を待つことにした。
翌日は休みだったのでどれだけ夜更かししても会社を遅刻する心配はなかったけれど、微妙に体が弱くて少しでも不養生な生活をするとすぐに持病のアレルギーが酷くなる為、毎日早寝早起きを心掛けている僕としてはなかなか思いきった決断だ。けど、例え体調を犠牲にしてでも、隼人と話し合いの場を持ちたかったんだ。今日は隼人が帰ってくるまで、何時間でも粘るぞ。
だが、そんな決意も虚しく。現実とは無情だ。覚悟を決めた気持ちとは裏腹に、僕の体は連日の規則正しい生活に慣れていて、当然のように日付を超えたあたりから猛烈な眠気が襲い出す。駄目だ駄目だと思いつつも、三大欲求のうちの1つには抗えず、僕は自分でも自覚しないままコクリ、コクリ、と船を漕ぎ出し、そのまま眠りの世界へと旅立って行ったのであった……。
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