赤獣の女王

しろくじちゅう

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十四章 選ばれし者は

90、そんなまどろっこしい

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 そんなまどろっこしい受け答えに我慢ならなくなったアマクサは、いきり立って口を挟んだ。
「世間話をしている余裕があるなら、今すぐにでもエルノックの居所を聞き出しなさい!さもないと、俺の怒りを買う事になるぞ!」
ミキキは、途端にしおらしくなって、うなだれた。「だって、たくさんお話をしないと、ユウカリさんと仲良くなれません…」
そのいじらしい様を見かねたノノバラは、「元帥を叱りつける騎士が、どこの世界にいるかよ」とアマクサをたしなめた。
「元帥だからって甘やかしはしない。俺は、もうじき大騎士になる。そうなったら、赤獣の女王を根本から改革してやるぞ。覚悟しておけ」
 ノノバラは、その言葉を鼻であしらった。すっかり気落ちしたミキキに代わって話をするために、ユウカリの傍らまで寄って、
「エルノックの居所を掴んだのは、やはり対女王戦陣に引き入れるためか」
「エルノックとやらは、赤獣の女王で最も強い騎士だって、アナウンシアから聞きましたの。ならば、放っておくわけにはいきませんわ。一日も早く父の望みを叶えるためにも、彼には協力してもらわなければ」
「だったら、居所を訊いたって答えないか」
「あら、そんな事はありませんわ。あなたが対女王戦陣に加わるのなら教えてさしあげてよ。けれど、あなたは気難しい人だから、どうせ頷かないのでしょうね」
「エルノックの方が、よっぽど気難しい。その事は、アナウンシアだって分かってるはずだ。あの男は、対女王戦陣には絶対に入らない」
「あなたもエルノックも、どうして赤獣の女王にしがみつくのかしら。戦力、財力、組織力。対女王戦陣の方が、すべてにおいて遥かに優れているのに。わたくしには理解できませんわ」
「エルノックと会わせろよ。気難しい者同士、きっと話が通じるぜ」
「よくってよ」ユウカリは、悩む素振りを見せずに即答した。
 聞いたミキキは、突然ベンチから立ち上がり、ノノバラに向けて満面の笑みを浮かべた。その矢先、ユウカリも立ち上がって、
「ただし、連れて行くのは、ノノバラだけですわ。元帥や下手人げしゅにんに内情を明かすほど、わたくしは、お人好しじゃありませんの」
 力尽くで迫ろうとしたとはいえ、下手人呼ばわりされるのは心外であったため、アマクサは、ますます不貞腐れて、苦虫を噛み潰したような硬い表情をした。けれど、ノノバラ一人だけではあるものの、エルノックと対面できる機会をみすみす失いたくなったから、あえて口を慎んで、ユウカリの機嫌を損ねないように努めた。ところが、ミキキが異を唱え始めたものだから、アマクサは肝を冷やす事となった。
「どうしてノノバラさんだけなんですか!?わたしも連れて行ってほしいです!」
「あなたは、非力な元帥として、わたくしたちの風下かざしもに立っていればいいの」それからユウカリは、ノノバラに「さぁ、行きましょう。車を待たせていてよ」
ノノバラは、ミキキの肩に手を置いて、「大聖堂で待ってろ。そのうち戻る」と告げてから、シシタと共にユウカリに連れられて行った。
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