心の傷は残り続ける

濃霧

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2 閉ざされた私たちと違和感

会話(→荻原)

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 「そういえば、この学校に残っている八人って物理グループじゃん」
 自分は飯村に話しかけた。「そういえば」を付けることでなんとなく適当に思いついた感を添えてみた。
 「あ、確かにね。そういわれてみれば」
 「え?確かにそうだね!めっちゃ奇跡じゃん!」
 湖さんが自分たちの会話に割り込んできた。別に、湖さんが他人の会話に割り込んでくるのはいつもみる光景なので、そこまで気にはならなかった。ただ、そっけなくその事実を飯村に伝えたかったため、彼女の見せるオーバーリアクションには少しだけ驚いた。
 「じゃあ、私たちが先生に呼ばれたのってそういうことなんじゃないの」
 荻原さんが珍しく口を開いた。湖さんは、「そういうこと」というのが一体どういうことなのかすぐには分からなかった。荻原さんは鋭い。まるで針の穴に糸を通すかのごとく鋭い意見を突き刺してくる。自分もそこまで思考は回らなかった。ただ単に自分も、湖さんと同じような感じの、八人が偶然一緒になったという奇跡を感じていた。だが、それが偶発的なものではなく意図的に仕組まれたものだという視点は自分には欠けていた。
 それを思い起こしてくれると同時に、自分の思考を見直すきっかけにもなっていった。
 「そういうことってどういうことなの?真実ちゃん」
 荻原さんはため息をついた。少し呆れているようにも見て取れる。
 「だから、先週の物理の授業で、なんかあってそれで呼ばれたんじゃないのってこと」
 ああ、なるほど。と湖さんは納得した。確かに、呼ばれたメンバーが全員物理授業のメンバーであったということは、それ関連で呼び出された可能性が高くなる。しかし、そうだと考えた場合、一つの疑問点が生じる。その疑問点を咄嗟に思いつき、荻原さんにぶつけてみる。
 「荻原さんさ」
 自分は荻原さんに話しかけた。怖いオーラが荻原さんをまとっていて、自分から荻原さんに話しかけるということはなかなか勇気がいる行動だった。
 「ん?何?」
 荻原さんは自然な形で返答した。
「えっと、荻原さんは誰に呼ばれて今日学校に来たの?」
「あ、外山君だけど。担任が呼んでるとか言っていたから。最初は行きたくなかったけど、柿本さんとLINEで話しているうち、とりあえず二人で行こうかって感じになったから」
「私もそうだよ」
 湖さんがまた会話に割り込んで言った。
 「んじゃ、みんな外山に呼ばれたってことか」
 仮に物理授業の件で呼ばれたのならば、物理担当の先生から呼ばれるのが普通である。にもかかわらず、外山経由で担任から伝えられたということに少し違和感がある。担任は英語教師であるし、そこまで物理の先生と担任とのかかわりもあまり聞いたことはない。
 ちょうどこの会話をしているとき、三階の廊下をぶらぶらと四人で歩いていたのだが、特に何も誰も見つからなかったため、中央の階段を使ってとりあえず一階に降りることにした。
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