心の傷は残り続ける

濃霧

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2 閉ざされた私たちと違和感

巡回

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 自分たちのグループは校舎内を見て回り、外山率いるグループは校舎外を見て回るということになったため、とりあえず中を巡回すればいいということだ。
 中央階段降りてすぐのところに職員室がある。ひとまず、先生がいるかどうか確認すべく自分たちは職員室に入った。
 一度、自分がすでに職員室に入っているのだが、もしかしたらさっきと違ったことが見つかるかもしれない。しかし、特に職員室に変化はなかった。
 自分はふたたび担任の机を覗き、また担任の机上の隅にあったクラス写真に思わず目がいった。その姿をみた飯村が自分に対して話しかけてきた。
 「ねえ、どうしたの?」
「ん。なんか、このクラス写真、違和感があるんだよね。なんだろ。なんで違和感なのか分からないんだけどさ」
 自分は写真を指差して飯村に言った。飯村は顔をその写真に近づけて、しばらく写真をじっと眺めていた。
 「どう?なんか分かる?」
飯村は自分の質問に対して答えることなくじっと眺めていた。やはり、なにか飯村もその写真に違和感を抱いているのだろうか。何だろう。自分が飯村の回答を待っている間、まるで答案返却をしぶる担当の先生を目の前にして試験結果に対してドキドキするような気持ちがした。
 しばらくして、飯村が自分の質問に答えた。
「ごめん、分かんない」
 自分は少し拍子抜けした。結構、長時間写真を眺めていて何か発見があるのかとてっきり思っていたが。
 とりあえず、その写真のことは少し気になるのだが、写真よりも優先すべき事項がある。職員室を見てみたが特に何も収穫はなかった。湖さんと荻原さんが物理の先生の机を調べてくれたのだが、どうやらその物理の先生も学校に来ているような様子はなく、机の上もきっちりきれいに整理整頓されていた。確かに自分たちの物理の先生は几帳面で潔癖症だと自分で言っていたから、机が整理整頓されているのは何ら不思議なことではない。
 次に、自分たちが訪れたのは警備室だ。一階の一番東にある目立たない部屋で、平日は常に警備員が常駐している。基本、生徒が中に入ることはできない。この部屋では、部室の鍵や特別教室の鍵をすべて管理しており、生徒たちが鍵を借りるためにはインターホンを押して鍵を借りる必要がある。また、防犯カメラの映像などもこの警備室で見ることができる。
 警備室へ到着した自分たちは衝撃の光景を見ることとなった。
 休日の警備室は警備員がいないため、警備室にも当然鍵がかかっているのであるが、なんとその鍵が壊されていたのである。正確に言うならば、こじ開けられていたといった方が正しいだろうか。針金のようなもので鍵をこじ開けたような形跡が見られた。
 自分たちもおそるおそる警備室の中に入った。警備室の中は薄暗く窓一つない。いくつものモニターが壁にかけられている形で設置されており、モニターの向かい側にはいろんな鍵が置かれていた。
 「やっぱり、校門の鍵と職員室の鍵がないね」
 飯村が自分たちに向かって言った。
 このことから、おそらく針金を使ってこじあけた何者かが校門の鍵と職員室の鍵を奪って自分たちを閉じ込めたことはほぼ確実となった。これで、なぜ先生がいないにもかかわらず職員室の鍵が開いていたのかという謎も解決する。
 「それじゃあ、誰かが閉じ込めたということはほぼ確実でいいんだよね?」
 湖さんが飯村に聞いた。
「そうだね」
飯村がそう答えた。誰かが自分たちを閉じ込めているという事実が確実に判明したことで、気味の悪さを感じた。一体、誰が何のためにそのようなことをしているのか。自分たちは果たして大丈夫なのだろうか。
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