心の傷は残り続ける

濃霧

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5 心の爆弾

爆弾

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 小沼さんは自分の机に突っ伏しながら、暫く泣き続けていた。自分としては小沼さんの涙を見るのは今日で二度目となるのだが、一度目とは明らかに違っていた。一度目のときは泣きながらも、彼女は若干の恥ずかしさがありながらすぐに泣き止んでいた。ただ、今回に関しては泣き止む様子は一向にない。もしかしたらもう泣き止んでいるのかもしれないが、机に突っ伏したまま彼女は動く様子がなかった。湖さんや柿本さんは彼女のことが心配でならなかっただろう。湖さんはずっと彼女の隣に立って突っ伏している彼女の背中をさすっていた。「大丈夫、大丈夫」と彼女のかける小さな声が自分の耳の奥深くまで届いてきた。
 飯村はずっと泣いている小沼さんの近くにただ立っていたが、ゆっくりと動き出し教室の後ろの方へ歩き出した。途中で彼は自分とすれ違ったのだが、彼とすれ違うときに発された彼の言葉「はあ、本当に泣きたいのはこっちなのに・・・・・・」が深く重く自分の心にのしかかった。飯村にその発言の意図を聞き返したかったが、飯村はそのまま教室の外へと出てしまい、飯村に話しかけるタイミングを見失った。なんだか自分の心の中に残るやるせない気持ちと、飯村が普段見せないような弱気な発言。そして、小沼さんが最初に発していた「守ってくれるよね・・・・・・」の言葉に対しての自分の行動。彼女が今こうして泣いているのを止めるすべはなかったのだが、どうも彼女のことを守れなかった自分が腹立たしくて仕方がない。これらの負の感情が入り交じり、自分も思わず泣きそうな気持ちになった。
 だが、決して自分だけではなかった。自分よりももっと重い爆弾をそれぞれ七人は抱えていた。その爆弾は決して排除されることはなく、いつまでも心の底に残り続けるものだった。そして、その心の底に残り続ける爆弾がいつ破裂するのか怯えながら、このときを過ごしていた。
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