MARVELOUS ACCIDENT

荻野亜莉紗

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第五章 深い絆で守られし秘密

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 しかし、どうして僕がここに居る事を、永戸は知っていたのだろう。こうして、窓を壊して他のクラスにも侵入して僕を探していたのかな。それとも、窓から僕の姿を発見したのだろうか。

 永戸に対し、いろいろと疑問を抱いた飛華流は、細い腕にいきなり体を掴まれ、そのまま宙に上げられた。永戸に居場所がバレてしまい、彼は担がれたのだ。


 車に乗っている時の様な体の揺れを感じ、生徒らのざわつく声も遠くなり、飛華流は目を開く。そこには、見慣れた風景があった。

 通常より青空に近づいていて、道を歩く人々が小さく見える。怯えた飛華流の瞳に映る永戸は、クールで物静かな普段の彼であった。
 
 住宅の屋根から飛び降り、永戸は飛華流を地へ下す。

「飛華流……ちょっとツラ貸せ」

「えっ? あ、あの……僕、今は学校に居ないといけなくて……」

「あんな無意味で無価値な場所、行かなくていい……前にも言っただろ」
 
 戸惑う飛華流に、永戸はサラッとそんな言葉をかけた。この男に話は通じないと、飛華流は思い出して呆れ果てた。

「あ、はい……あの、どこへ行くんですか?」

「……優の所だ」

「優さん……無事ですか?」

「……見れば分かる」
 
 曖昧な返事を永戸にされ、飛華流はモヤモヤした気持ちになる。言うなら、はっきり言えよ。そんなんじゃ、優が生きているのか死んでいるのかが分からないじゃないか。

 スケルトンホースバイクに乗せられ、飛華流は永戸にしがみついた。退屈な田舎町を走り抜け、二人を乗せたバイクは死んだ森へと入っていく。

 それから間も無くすると、凍りついた異質で城の様な建物、エミナーの屋敷に到着した。

「優は……ここに居る」
 
 お洒落な門の前で、永戸がバイクを停めた。恐らく、エミナーのお世話になっているだろうから、優は生きているはずだ。かなりの重傷を負っていた優の体が、飛華流は心配だった。
 
 屋敷を訪ねた二人を、エミナーは親切に出迎えた。そして、二人は優が休んでいるという部屋へ、エミナーに案内してもらった。

「優さん……永戸さんと飛華流さんが、お見舞いに来て下さいましたよ」
 
 エミナーの声で、優はガチャリと開いたドアの方に目をやる。

「永戸……また来てくれたんだな。飛華流も、久しぶりー」
 
 洋風で高価そうなベッドに横たわる優は、変わらない笑顔を彼らに向けた。しかし、全身を包帯で巻かれ、優はとても痛々しい姿をしている。

 この人がこうなってしまったのは、僕のせいだ。強い罪悪感を抱いた飛華流は、優に向かって深々と頭を下げる。

「あ、あの……この前は、何も力になれなくてすみませんでした」

「いいや、お前らが無事で本当に何よりだよ。……こちらこそ、俺を助けようと最後まで戦ってくれてありがとな。絶対にお前らを死なせたくなかったし、元気な姿見れて良かったぜ。ワンダが来てねーけど……元気か?」

「あっ、はい……おかげさまで。あの、優さん……体の状態は大丈夫なんですか?」

 優しく微笑み、「俺なら平気だぞ」と答える優の後に、エミナーは言葉を付け足す。

「……あの日から、優さんはずっとこちらで治療を受けております。本来、魔法薬を施せば、永戸さんの様に簡単に完治するのですが……優さんの場合、瀕死状態だったので回復までにもう少しお時間がかかってしまいます」
 
 つまり、エミナーに頼らなければ、優は助からない状態だったのかと飛華流は理解した。

「飛華流……ちょっとなー、お前に話しておきたい事があるんだけど良いか?」
 
 優にそう聞かれ、飛華流は面倒に思いながらも頷いた。

「それでは……私はお仕事をしてきますので、皆さんでゆっくりしていて下さいね」

 彼らに気を遣ったのか、エミナーはそれだけ言うと部屋を静かに去っていった。

「ああ……あんな可愛い魔女さんに優しくされて、俺は幸せ者だなー」
 
 ほっそりとしたエミナーの小さな背を、優はニヤニヤしながら見送っていた。相変わらずな彼の様子に、飛華流は少しホッとした。元気そうで何よりだ。すると、優はいきなり真面目な顔つきになり、飛華流に話し出した。

「いいな飛華流……きっと、驚かせちまうだろうから覚悟して聞いてくれ。ドストレートに言って、実は永戸はレッドアイなんだ」

「えっ? あっ、はい……えっと、そうでしょうね」
 
 優の発した言葉で、飛華流は反応に困った。いや、あの狂った永戸を見れば、馬鹿でもレッドアイだって分かるだろ。レッドアイじゃないなら、逆になんなんだよ。妖怪か何かか?

「えーっ! マジッ? 飛華流、気づいてたのか?」
 
 これで分からないのは、あんたらくらいだろ。つった目を丸くさせる優に、飛華流は心でそう突っ込んだ。
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