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第五章 深い絆で守られし秘密
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しおりを挟む「え、永戸……何で、お前がここに居んだよ……俺様の部下共はどうした」
微かに体を震わす陽翔に、永戸は床で倒れている男達を目で指して教える。
「クッハハ……もうとっくに、動けなくなってるよ。あんな雑魚じゃ、僕を止められないよ」
「ちっ……永戸、お前はよー何がして―んだよ」
「何って……その子は僕のおもちゃだから、僕はただ遊びたいだけだよー。それとも、君から先に死にたーい?」
永戸に怯みながら、陽翔は後退りする。
「……ん? ハハッ……何だ。それは、都合が良いじゃーねーかー。どうせ、そのガキは殺すつもりだったんだ。お前の邪魔はしねーから、そいつで好きに遊べや」
「フッハハ……君に言われなくたって、そうするよー」
陽翔の腕を掴む手に力を入れ、永戸は彼を軽々と放り投げた。そして、ギラギラと光る不気味な瞳を飛華流に向け、嬉しそうにニヤリと笑う。
「やあ、久しぶりだねー。この前、君の事は殺し損ねちゃったから、また会えて良かったよ。……さあ、僕と遊ぼうよー」
「え、永戸さん……戻って下さい」
あっという間に、自分との距離を縮めてきた永戸に強い恐怖を感じながら、飛華流は彼を正気に戻せる様にと必死に呼びかけた。
「さあさあ、まずは何からしようかなー。君の目玉をくり抜いて、その目玉を君の喉の奥まで突っ込んであげようかー? どんな味がするのか教えてねー。そうだそうしよーっと」
飛華流は永戸に頭を鷲掴みされ、そのまま持ち上げられた。頭皮が、剝がれそうに痛む。
「まずは……右目からにしよっかー」
「お、願いします……お願いしますっ! うわぁーーーーっ! 助けて下さいごめんなさいっ! 何でもしますからーー」
永戸の指が、飛華流の目玉に触れそうなくらいまで近づいていた。その怖さから、飛華流は全力で泣き叫んだ。
目玉を抉られなんかしたら、激痛になるに決まっている。それに、視力が無くなってしまう。そんなの嫌だ!
目玉にツンとした感触を感じ、飛華流の視界には永戸の指の裏が映り込む。彼に、目玉を掴まれてしまったのだ。このまま、目玉を奪われてしまうのだろうか。
「永戸、やめないか」
落ち着きのある男性の声がした途端、永戸が飛華流の視界から消えた。勢いよく何かに飛ばされた永戸は、木の枝に体が貫通し、宙吊りになっていた。
血をポタポタと垂らし、流石の彼も苦しそうにしている。助かったと一安心した飛華流だが、何が起きたのかを全く把握できずにいた。
「お前達も、こいつに手を出さないでくれ」
突如、姿を現した高身長で黒金髪の、大人びた美形青年は、ふらふらと腰を上げるメンバー達にそう言った。
どうやら、僕を救ってくれたみたいだ。それにしても、あの永戸にたったの一撃で、これ程までのダメージを与えるなんて――この青年は只者ではないと、飛華流は感じた。
黒髪に黄色のメッシュの美形青年に、陽翔は納得のいかない様子だ。
「え、でもよー蓮さん蓮さん……このクソガキは、俺達の秘密を知っちまった罪人だぜ? 生かしておいて、良いんですかー?」
「……こいつを今後どうするかは、こっちで決めるから……だから、お前らは気にするな」
「……はいはい、分かりましたよー。俺様は、どうなっても知らねーですからねー。……お前ら、帰ろうぜー」
陽翔は蓮に不満げな顔をし、メンバーらを連れてどこかへ行った。
枝に刺さって身動きが取れない永戸は、苦しみながらも十分な殺気を放っている。
「ガハッ……痛い痛い……すっごく、傷が痛むよー。君達には必ず、この痛みを倍にして返してあげるからね。あー、楽しみだなぁー」
「……永戸、お前はそこで待機していてもらうぞ」
気味の悪い笑みを絶やさない永戸に背を向け、青年は飛華流へ接近する。
「お前が、飛華流……だよな? 俺は、イナズマ組の副ボスを務めている、一条蓮だ……宜しく」
蓮と名乗る青年は、飛華流に手を差し出し、優しい口調で彼に話しかけた。この人が、菊谷の次に偉い立ち位置なのか。
道理で強い訳だ。副ボス感はあるな。初対面の蓮が、自分を知っていた事から――飛華流は、恐らくこの組の誰かが、蓮に自分の話でもしていたのだろうと考えた。
「はい……えっと、こちらこそ……」
「ああ……ちょっと、ついて来てくれ」
蓮は飛華流と握手を交わし、彼を洞窟へと連れて行った。
「待ってたぞ飛華流―。いきなり、気持ち悪いものを見て、命を狙われ、大変だっただろう。さっき、愛羅から話は聞いた。助けに蓮を行かせたが、無事で本当に良かった良かった」
菊谷は、洞窟の前で小石を積み重ねて遊んでいた。その無邪気な彼の姿を見ると、飛華流の緊張感がほんのりと和らいだ。なんだか、子供みたいな人だな。
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