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エリーの麻薬

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王国の帝国への服従を約束する調印式が終わるとエリーは、本国に帰っていった。
ボクは彼女のお人形さんにならないと行けない。
その第一関門は驚くべきことにアンと関係を持つことだという。

「レインさんはお人形さんなのですから、私の言うとおりにするのですよ」
「……アンさんと関係を持つとは……、その男女のですよね……」
「イヤ……かしら?失礼ながら私はエリー様とうり二つです。気分がのらないというのであれば、私のことをエリーと呼んでいただいても構いません」
「……いいよ。さすがにそれは失礼すぎる」
「私はエリー様の影武者なのです……。エリーと呼ばれることは慣れていますよ」
「でも……」
「ふふ、真面目なんですね。では、命令させていただきます。私の事はエリー様と呼びなさい……」
「はい……。エリー様」
……正直、目の前の少女はエリーとうり二つで、自分が本当にエリーとこれからするような気分になって……。ボクは男の子として興奮していた。
「かわいいですね。……正直に反応しているみたいですね。男の子は嘘をつけない体していて、この部分を目で見るだけで、ボクがどのぐらい私のことを好きか、よく伝わってきますよ」
「大好きです……。エリー様」
……ボクは心の底からそう思っていた。彼女は王国を救ってくれた……、もし解放軍が来なければ、早晩ボクは民衆に失政をとがめられ処刑される運命だったのかもしれないと。
「いい子ですね……、キスしましょ?舌を出しなさい……」
……ボクが舌を出すと、彼女はそれを存分に味わった。
「私のツバを飲み込んで下さい……」
……いわれるまま、彼女のおいしいツバをゴックンと飲む。
「あぁあああああ……」
ボクは絶叫するとあまりの快楽に気絶してしまった……。

どれだけ、ボクは眠っていたのだろう……。
「……おはよう、レインくん」
……アンさん、いやエリー様と呼ばないと……。
「エリー様……。ボクは何を……」
「あなたが眠っている間に、あなたの精をキチンと搾りとってあげました……」
「えっ……」
「私はブラックシードという麻薬を常用しているんです……、私のツバは麻薬と同じ効果があるのですよ……」
……それであんな快楽が全身に走ったわけか……。
「わかりますか……、私と定期的にキスをしないと、あなたは麻薬の禁断症状で廃人になってしまいます。ふふふ、名実ともにあなたはお人形さんになれたのです。うれしいでしょ……」
……それは同時に、アンというこの少女もエリーの操り人形であることを意味していた。

「ボクは……アンさんもエリーさんも、自分を救ってくれた……としか思えないのです。……たとえそれがこの国の武器が目的だったとしても……」
「はい、そうです。この国には性能の良い武器がたくさんあります。他国に利権を取られるわけにはいきませんから……。あなたには、エリーさまのお人形さんにずーっとなってもらう必要があります」

「……キミも、麻薬やめられないんだよね……」
「はい、そうですよ。でも、私もエリー様に忠誠を誓っておりますから、なにも問題ないですよ……」
「……エリー様とキスしたとき、頭が真っ白になって……、すごい幸せな気持ちになれました……」
「あなたはまだ薬になれてないからですよ……。少しずつ薬に耐性がついていきます……。だから、私はあなたより多い薬の量でもなんともないです」
「……どのみち、ボクはあなた方に逆らう気はないですけどね……」
「なら、ご褒美だとおもってください。疑われているとか、深く考えるのは健康によくないですよ。実際、この麻薬はあなたの知力と体力を増幅する効果もあるのです……。それゆえ、味方に使うことに、特にデメリットがあるわけではありません。非常に高価な薬なのです。それだけ……、期待されているということでもありますよ」
……ボクはそのことを知ってちょっと安心した。エリー様はなぜ、ボクにそこまでするのだろうか……。

「……あの。なぜ、そのような高価な薬をボクに……」
「考えすぎです……。率直にいえば、この国の富にはそれだけの価値がありますよ」
……それもそうか。個人的な好意だったら、うれしいのに。

「……ええと、アンさん。ボクは具体的にこれから何をすればいいのでしょう……」
「そうですね……。政治に関しては私が執行しますから……、自由と言えば自由です。強いていえば、何もしないで頂けると助かります」
……何もするなという命令。それは想像以上に難しい。人は、何かしたくなってしまうものだ。

「……あのう。ボクがココにいる意味ってなにかあるのでしょうか……」
……アンはニッコリと笑うと。
「なにもないですね!あなたは年に一度のお祭りのときに、王子として顔を見せるぐらいが、一番の役目になりますかね」
……そうか。そうだよな。なら……。
「ひとつお願いがあります……。聞いてもらえるか……わからないのですけど……」
……ボクの願い。それは、もう、こんな街に縛られる必要もほぼないのであれば……。ただ、旅に出たいということだった。
「なにかしら」
「年に一度は、この街に戻るので……。旅にでていいでしょうか……」
……アンはしばらく考え込んだ。ボクはドキドキしながら彼女の返事を待った……。
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